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文芸とエンターテイメントの差が如実に
分かるような作品な気がする...。
ストーリーの全てが圧倒的に面白いし、
読んでいての高揚感は上がる一方で、
期待感は終盤に向けて下がる一方という
不思議なバランス。
抗いようのない運命...その痛烈な理不尽さは
強烈に突き刺さる作品だが、ストーリーを収拾するって
意味では、全てが投げっぱなしで歯痒さが残りまくる。
文芸作品ってそういうものなの?
雰囲気と空気感に騙されそうですが、これなら
エンターテイメントとして堂々と読み手の事を
大きく意識してくれる駄作の方が...素敵です。
自分の学のなさや下世話な人間なのは分かってますが、
昔から芥川賞より直木賞派なのはこういった
作品を読んで再認識します。
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お前は、運命を信じるか?東京を仕事場にする天才スリ師。彼のターゲットはわかりやすい裕福者たち。ある日、彼は「最悪」の男と再会する。男の名は木崎―かつて一度だけ、仕事を共にしたことのある、闇社会に生きる男。木崎はある仕事を依頼してきた。「これから三つの仕事をこなせ。失敗すれば、お前を殺す。もし逃げれば…最近、お前が親しくしている子供を殺す」その瞬間、木崎は彼にとって、絶対的な運命の支配者となった。悪の快感に溺れた芥川賞作家が、圧倒的な緊迫感とディティールで描く、著者最高傑作にして驚愕の話題作。
《ブックデータベース より》
《2009年10月25日 読了》
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サラッと読めるのに、薄っぺらくなくて感慨深い一冊。
素直で読みやすい文章。
主人公は掏摸(すり)だし、決して明るい話ではないけど、
読み終わると、身体の内側からじんわりと勇気が沸いてくる。
主人公の容姿等がしっかり描写されているわけじゃないけど、
主人公には芯があって、そのポリシーが普通で
共感できるので、かっこよく感じる。
個人的には、伊坂幸太郎に似ているかなという印象。
伊坂幸太郎の書きたいこと・言いたいことが
素直に書かれていて、読みやすい。
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帯に惹かれて買ってみた。
最近はこってりもしくは極厚なものを読んでいたので、
あっさり極薄を読むのは久しぶり。
ミステリだと思ったら普通の読み物だったのね。
掏摸に関する描写はさすがに緻密。
でも、なぁ。。。
あんまり構成がよくわからなかった。
もしかしてシリーズ物なのかなぁ?
なんかあまりすっきりしなかった一冊。
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これでヒット!っていうか持ち上げられてるのが何故か分からないけど、やっぱり文則さんはすごいなぁと思います。
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中村さんの作品らしい
静かでいて、重量感のある作品だと思いました。
暗くなりがちな裏社会の様子が
ある時から関わりを持った子供との会話で
うっすらと陽が射して救ってくれる。
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実はあまり期待しないで読んだのだが、意外に面白く中断することなく読めた。
著者の小説は都合三冊目だが、短編集にあった非リアリズム系の作品より、こういったリアリズム系の方が活きてくると思う。
主人公の天才スリ師が狙うターゲットはわかりやすい富裕層ばかり。彼はスリ行為に快楽を見い出し、かつ生業としていた。そこへ以前関わった裏社会の男が主人公に仕事を依頼する。
「世界」と対峙する「個人」を描く時、私小説的な「内省」でなく、この作品のような紋切り型のストーリーの方が自然に展開されやすいと思うし、わかりやすい。
絶対的な悪である裏社会の男を用意することによって運命論的な抽象概念が多用されてしまうあたりは、パトスとしてストーリーの高揚はある。が、この小説世界が現実の不条理の実相まで届いたかは疑問が残った。
それでもやはり現実はこうなのだと思う。というのも、主人公を慕う万引き少年が出てくるのだが、少年に万引きを強要する母親は売春を生業にし、母親のヒモらしき彼氏は少年に暴力を振るい、母親に売春を強要する。このあたりはいかにもTV的なジャーナリズムなのだけれど、まさしく僕自身似たような家族を知っているので最後まで俯瞰できなかった。不条理は世界の一端を担うある種のルールかもしれない、などと書くと僕も運命論者的だが。
文体は著者の特徴である「だった」の過去形で切られる近代小説的な文体だが、そのおかげで作品の緊張感を持続させることに成功していると思うし、愚直さもあって好感がもてる。その誠実さが好ましい。
ただ、無理に内面を表現しようとする描写があり違和感がある。その一方、会話文が出てくると突然人物が動く。「他者」を描くのは非常に巧いと思う。
著者の小説を読むとき、デビュー作「銃」の前にこの作品を読むことをお勧めする。
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本の紹介文にあった内容に入るまでに半分以上読まないと到達しないのにびっくり。
掏摸にも掏摸なりの美学がある。
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読んでて伊坂幸太郎さんみたいだなぁと感じた。
伊坂さんよりもサラッと読めます。
世の中には色んな人がいていろんなことが起こっているらしい。
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天涯孤独の天才スリ師が主人公。他人の運命を操ることを無上の喜びとする巨大な悪人に課題を与えられる。課題を必死にこなしていく主人公だが、最後は巨悪に翻弄される。
自分の育ちから抜けきれない主人公の自分の運命との戦いでもある。
エンターテイメント性はイマイチ。
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以前読んだ受賞作の印象が強くて
それから、この人を食わず嫌いしてましたが、
これはたまたま評判を聞いてマイマネーで購入。
読んでみたら面白かったよ!
ワザとか悪とかみんなの知らない世界。
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中村文則さん最新刊。
どうやら巷で話題になっているようです。
相変わらず、痛い。
鼻の奥がツンとします。
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運命に翻弄される一人のスリ。
運命って神様だけが握ってるものじゃないのね。
どうしようもなく大きな力を感じるときに、自分って本当に小さな生き物、ただの駒だって思うよ私も。
実はもっともーっと悪人が出てくるかと思った。
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けっこう話題になっていたので図書館で予約し、半年ほど待ってようやく読んだのだが・・・
こういう小説は僕にはもう必要ないみたいだな。
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芥川賞受賞作家でも一度に大量には刷らないらしく,二月で8刷だって~僕は人のモノを盗む経験を成長期の食欲を充たすため,おにぎりを掠め取ることで憶えた。石川や立花と組んでの集団掏摸や,空き巣を狙ったことがある。その筋では知れ渡った存在であることに自覚は持てない。今は単独で裕福な者から財布を抜き取り,現金だけをデパートのトイレで抜き取って,カード類は免許証を含めてポストに投函する。いつの間に盗ったのか自覚のない場合もある。海外に逃れていた石川がやばい仕事に巻き込まれ,報酬500万円を約束する木島に手を貸して強盗を装った書類泥棒に手を貸すと,翌日の新聞には,家の主の惨殺記事と国会議員の不審死が報じられていた。石川は横浜から出発して逃げると言っていたが,知りすぎたために木島に消されたのであろう。スーパーで万引きをする母子が見え透いた手で万引きをする現場を目撃し,子どもの方に近づいて,万引きの手口を教えてやると,その子が懐いてきて困ったことに,追い回される。子に現金を手渡すと母は身体で返してきた。その子との繋がりを掴まれ,木島から3回の抜き取りを命じられる。携帯は2度目で成功し,指紋の付いたライターは簡単に,コートに縫い込まれていた封筒は,ナイフで生地を切り,気付かれる前に携帯で金との交換申し出に応じてすり替えた。木島は運命を握る神のように振るまい,狭い路地裏で撃たれて,血まみれの500円硬貨を路地の表に投げて誰かに気付いて貰うしか,生き残るチャンスはない~新しいアウトローの世界だ。人知れずこっそり盗る技術が求められ,それは誰でもが持つモノではなく,貴重ではあるが,使い捨てされる。犯罪の全体像は朧にしか見せず,手先となって消えていく男の見聞きしたモノで想像を膨らませるしか,読み手には情報を与えないというのは新機軸かな