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紙の本
会話不能の純情…
2007/03/21 11:49
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hamushi - この投稿者のレビュー一覧を見る
新米バーテンダーである広海の心情が、思春期の子の一途な初恋そのもので、なんともけなげな印象でした。好きな人が店に来るだけでうれしいけれど、その人が女性を伴っていたりすると苦しくて、そんな感情を悟られないように必死で隠して、泣かずに我慢して、でも耐えきれずに泣いてしまって…
いまどき、二昔も前の女子中学生の初恋みたいな、こんな純情な恋心を読めるのは、このジャンルの作品だけではないのかと思います。このジャンルに初老世代の隠れファンが案外多いのは、もしかしたらそのせいもあるのではないのかと想像したりしています。もっとも、純情な展開だけではお話がすまないのも、このジャンルのお約束なのですが…。
広海の思い人である牧野田は、純情路線とはほど遠い人材で、自分の素性も気持もろくに説明しないまま、仕事帰りの広海を自宅に連れこみ、一途な思いにつけ込むようなやり方で関係を結んでしまいます。当然、広海は牧野田に遊ばれただけだと理解し、一回限りの思い出として、その夜のことを封印しようとするのですが、なぜか牧野田は広海の休日の前夜を狙うようにして、店に現れ、広海の仕事が終わるのを待って、自宅に連れ帰ります。しかも毎度、美しい女性を同伴してきては、広海に見せつけるような仕打ちをする牧野田。好きな人に弄ばれ続けることに、広海は次第に疲れ果てていき……。
ものすごく好きな相手の本心を知りたいけれど知るのが怖いという心情は、女子中学生に限らず、乳幼児を除く全年齢に渡って誰にでもあるものだと思いますが、ここまで苦しむぐらいなら、ストレートに「あなたは僕のことどう思っているのですか」と聞いてみたらいいのにと、読んでいて相当にもどかしく思ったのは、自分がもうけなげでも一途でもない読者だからなのでしょうか。年若い広海はともかく、大人で社会人で、付き合いの経験も豊富な牧野田のヘタレ具合には、ほとほと呆れました。焦らして焼かせて本心を言わせるというのは古典的な常套手段ですが、相手を泣くほど苦めて追いつめるというのは、明らかに引き際の判断ミスで、普通ならそのままフラれて当然です。それほど自信がなかったということなのでしょうけれど、アプローチの強引さを考えると、「好き」の一言もいわずにイジメ続けた点については、全く同情の余地なしと言えましょう。
好きな相手ときちんと会話で意志疎通できてこそ、まっとうな大人だと言いたいところですが、中学生レベルの甘酸っぱい純愛を描いている作品なのですから、まあそこは大目に見るべきなのかもしれません。今後の成長に期待します(誰の?)。
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