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◆あらすじ◆
ええ、はい。あの事件のことでしょ?───幸せを絵に描いたような家族に、突如として訪れた悲劇。
深夜、家に忍び込んだ何者かによって、一家四人が惨殺された。
隣人、友人らが語る数多くのエピソードを通して浮かび上がる、「事件」と「被害者」。
理想の家族に見えた彼らは、一体なぜ殺されたのか。
確かな筆致と構成で描かれた傑作。『慟哭』『プリズム』に続く、貫井徳郎第三の衝撃!
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一家惨殺の被害者たちを語る関係者たち、その証言によって被害者の人間性が浮かび上がる……
ようにもみえるけどその実語る関係者たちの視点によって、さまざまな被害者像が語られ、
そのイメージは、語る人と被害者の関係性が深まるにつれて、どんどんと崩されていく。
なんかなあ…善人っていないですよね、って感じの暗い気分になります。
そういう気分にさせてしまうところが作者の腕のすごいところだと思うけど。
ミステリの構成としてはとても面白かった。最後でああ、と腑に落ちる。
どうでもいいけどKO大学の内部事情がいやにリアルで面白かった。ほんとかどうかしらないけど。
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中身自体は普通に。
何がって、解説がつまらない。中身を意識しすぎて解説の意味がなくなっている。
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貫井徳郎の愚行録。この人の作品は以前「慟哭」というのを呼んだんですが、まあ相変わらずの救いのない話ですね。とはいえ、ストーリー展開は暗いわけではないんですが。ストーリーは、1つの殺人事件の取材をするライターがいろんな関係者にインタビューしているのがひたすら並べられるだけなのですが、なんとも不気味ですね。語られる事件の被害者のこともさることながら、インタビューされている本人が自分の\"愚行\"を何も意識せずに話している姿は人間の怖さ、おろかさがよくあらわされています。それが本当に身近にいそうな感じなのがまた怖い。各章の話はそんなに思い感じではないんですが、1冊読み終わると自分の行動を振り返って気が重くなってしまいました。とはいえ、ミステリーとしては特殊なスタイルで非常に読みやすいので一気に読んでしまいました。まあ、この作者の本は面白いことは面白いのですが、読後感があまりさわやかという感じではないので、読むときの自分の精神状態を見極める必要がありますね。
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な、なんじゃこれは!!
怖い、恐すぎる!
いつになったら犯人分かるんじゃい!って巻末も間近でヒヤヒヤしたけど、
決定的な瞬間はスローモーションでやってくる。
そしてそれはとてもとても恐ろしいものだった。
ホラー描写とかじゃないの。
怖いのはあくまで人。
犯人の家庭環境と人生そのものがありえそうなんだけど、狂いすぎててまじこわい。
最初から最後まで狂ってんの。最後の節でも狂ってんの。え、そこまで?みたいな。
すげえ。
残酷。
犯人に行き着くまでに、殺害された人と交友があった人にインタビューしていくんだけど、
語り手の被害者に対する観点や評価の相違から与えられる違和感が、私の読むスピードを速める。
結末をはやく知りたいとせかす。
おぞましい話です。
今回もネタバレ控えます。
読んでみて。
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こういう感じの話は好きです。
一家殺害事件の話と聞いていたので、もっと凄惨なものを想像していましたが、思ったより軽くて読みやすかったです。
一人ひとりの人物描写がとてもリアルで、思わず自分のことも考えてしまいました。
ただ、インタビュー形式の作品は何冊か読みましたが、ついつい有吉佐和子さんの『悪女について』と比べてしまいます。
そしてどうしても物足りなさを感じてしまうんですよね。
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トリッキーな小説だろうということはあらすじや過去の著者の小説の傾向からわかっていたし、実際に巧妙で全貌は最後まで予想できなかったけど、騙された爽快感は無かった。内容が内容なので読後感もわりと気持ち悪い。
一家惨殺事件の被害者の知人たち計六人の証言から構成されていて、読むほどに被害者夫婦の人物像が浮かび上がってくる。さらにその合間に関連性がわからない謎の女の独白が挟まれる。
異性間の駆け引き、または同姓同士の異性をめぐる駆け引きや報復行為など狡猾で汚い部分が出てきて、その中心には殺害された夫婦がそれぞれ超然として各証言者たちの人生に関わっていたことがわかる。
「被害者がどんな人間だったか」の表裏一体となって「証言者がどんな人間か」ということが上手く描き出されていて、誰もがしゃべればしゃべるほどにうっすら嫌な人間であることと、それらの合間の女の過激な独白とが相まってかなりグロテスクな小説になっている。このあたりの書き込みは上手い。
『愚行録』というタイトルが指すのは被害者夫婦の愚行のことだろうけど、敢えて一捻りするならこの小説に出てくる人間すべてを包括していることになる。別に捻る必要は無いけど。
(たぶん殺人症候群以来三年ぶりぐらいの貫井徳郎)
09.8.12
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文体は嫌いな部類だが、物語の運びがいいのかぐいぐい読めた。事件の動機あたりは個人的には弱い感じで何だかなぁだが、ちょこちょこ伏線が張ってあるのに気づくのが面白い。
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途中から「愚行」の意味が見え始めた。人のことをとやかく言う人の愚かしさ。自分のことも思うようにならない人間が、人のことをあれこれ言うなんて、本当に愚かだ。
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世田谷の一家惨殺事件をモチーフにしている。
被害者の知人へのインタビュー形式で話はすすむ。
恨まれる人たちではないと言いつつ恨み言をいう人たち。
誰も彼もが似た感じ。
インタビュー形式って、一人芝居的でまどろっこしいから
あたしは肌にあわないナー
人なんて色んな局面あるんだから
ある面からみたら「いい人」で ある面からみたら「嫌な人」で そんなもんだよネ
そのへんは全く興味もてずに読み終えましたヨ。
( ・_ゝ・)< 負の連鎖ってヤツは強い
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内容もさることながら、物語とは全く別の点で面白く読みました。著者の貫井氏、そしておそらく物語の被害者夫婦とも同世代の私。東京で大学生活を送っていた頃の「香り」がこの本に立ち込められていました。しかし慶応義塾大学って・・・。上京していた4年間、私に慶応の知り合いが一人もできなかった理由がわかったような気がしました。
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正しく、愚行なのは当人たちを語る周りの人間自身。
一人の人でも関わり方でそれぞれの人から違って見えるものですね。
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閑静な住宅街に起きた一家四人惨殺事件。
幸せな家族を襲った惨劇をインタビューする中、見えてくる事件と被害者のカタチ。
タイトルの愚行とは何か?
衝撃の結末に打ちのめされてください。
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一家惨殺事件の被害者家族に関わる複数の人たちへのインタビューと「妹」が「兄」に向けた語りだけで構成された作品。
インタビューだけで構成された作品だと、宮部みゆきの『理由』とか恩田陸の『Q
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冒頭に掲げられた新聞記事。殺害された一家とは違う苗字の謎。さしはさまれたエピソードの謎。読者をひきつける要素はたくさんある。だけれど、本作のすごいところは語る/語られることの裏を描いて見せたところだ。
ミステリとしては普通のレベル――とりわけ貫井作品にとっては――だといっていい。この程度の謎賭けならば、ほかの作家でもできる。だけれど、語る/語られるという軸をすえたとき、なんと読者は無防備なのだろうと感じさせられるのだ。
語っているのは、誰か。そちらに目が向くよう仕掛けられているのも確かだ。謎を解くために語られている、そのあとには答えが待っている。読者は謎ばかりを追うくせに、提示されていない謎についてはなかなか目を向けない。「聞き書き」という形式がそれを助長する。聞く行為は、謎解きのために用意されているという思い込みだ。
しかし、語るからには語られる者がいて、その何者かは意識を持っている。予想する。探偵か? 警察か? それとも、文字通りルポライターなのか? 想像のできない結末は、この「語られる者」によって作られている。こうして読者をもてあそぶ貫井は、果てしなく優れたエンターティナーである。