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映画化もされたし、本屋大賞の次点も取ったし、面白そうと思いつつも「若年性アルツハイマー」についての本を読むのが怖くて読んでなかった作品。実際読んでみて、かなり辛いトコもあったけど、読んでよかったと思う。一冊の本としての魅力ももちろんあるし、「考えさせられる小説」としての魅力もある。
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最後の一ページ、思わず涙が出てしまった。私の周りの人間にアルツハイマー、あるいは痴呆を患った人はいないけれど、なんだか人事ではない気がしながら読んだ。考えてみれば、主人公佐伯が若年性アルツハイマーを宣告された50才を私の両親は当の昔に過ぎてしまった。だから、彼を自分の親に置き換えて読み進んだのは自然なことだったかもしれない。アルツハイマーはすごく深刻な病気で、実際に罹った人の心の重圧はとてつもないものに違いない。それでもこの作品がなんだか心温まるものだったのは、佐伯の人柄もあるけれど、彼を取り巻く周囲の人たちの優しさが見えやすかったからかな。
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よく練れているなあと思ったので久々の★5つ。若年性アルツハイマーになった男性のお話。渡辺謙主演で映画にもなった。映画といえば韓国映画で「私の頭の中の消しゴム」というのも同じ若年性アルツハイマーを扱った映画だったけれど、会議の日程、人の名前…と、少しずつ、少しずつ忘れていく。純粋に怖いと思う。今まで覚えていたものを少しずつ忘れていくことは。ちなみにこの小説はアルツハイマーになった男性の視点から描かれている。本当に症状がこの人のようになるのかは分からないけれど、忘れつつある状況がリアルに迫る。日記にひらがなが多くなったり誤字をしたりしていくのがまた切ない。あくまで一人称で描かれているので、妻の苦悩などは主人公とのかかわりでしか表現できないけれど、たとえばダンナがこの病気になったらあたしは支えられるのかという問いには「難しい」と答えざるを得ない。もしあたしがこの病気になったらダンナは支えてくれるのかといえば「無理」だろうな。
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渡辺謙主演で映画になった原作。映画を先に観てしまったのでどうしても登場人物に先入観が・・・。まあ、ビジュアルが浮かんで読みやすいには読みやすかったんですが。映画には無いストーリーの方がじんとしました。若年性アルツハイマーに侵されてしまった中年男性の葛藤と哀しみ。最後は何故かすがすがしさが・・・。何でだろう?哀しいのに温かい。
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若年性アルツハイマーになったサラリーマンの話。映画にもなりましたね。
私も眩暈とかも多いし、認知症になる可能性があるような気がしているので興味があって読みました。
ストーリーは記憶がなくなる所でおわっているけど、現実はそれ以降もあるわけで。。
やっぱりならないに越したことはない。
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「誰だっけ。ほら、あの人」
最近、こんなせりふが多くなった。
50歳にして若年性アルツハイマーと診断された男の備忘録が、恐ろしいほどに想像できて怖い。
記憶を奪われていくことに怯える彼を周囲は深い愛で包み込む。
思わず、涙ほろり。
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自分が今、生きている事に深く感謝した。
これは帯に書いてあった渡辺謙からのメッセージです。
確か、この小説が原作の映画に主演したんですよね。
命に関わる病気と闘ったことがあるからこそ。
こんなに説得力があるメッセージが書けるんだと思う。
自分が今、ここに生きていることが本当は当たり前なんかじゃなくて。
健康であることがどんなに素晴らしいのかを思い出させてくれます。
アルツハイマーについての描写がとてもリアルでした。
記憶を失っていくことの怖さがひしひしと伝わってきます。
人間であることの意味。大切な人がいることの喜び。
いろんなことに気づかせてくれます。
それでも、泣けなかったし、感動もしませんでした。
自分に置き換えてしまって、恐怖の感情ばかりが強く残りました。
記憶を失うこと。自分が自分でなくなること。
そして、大切な人の存在まで忘れてしまうこと。
全てが怖かった。僕はただただ怖かった。
最後のシーンはきれいだと言う人もいたけど。
荻原さんの作品はやっぱりコメディタッチのほうが好きかな。
でも、アルツハイマーについて考えるいいきっかけになりました。
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途中は「つらいなぁ」と思うこともあったけど、感動させられるいい作品でした。今までにも荻原の作品で泣かされることはあったけど、それらとは一味違った感動ものですね。娘の結婚式が終わった途端、急に病状が進行するところなど本当にリアルですね。同じテーマで重松清が書いたらどうなるんだろう、とふと思いました。
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50代、バリバリの企業戦士が若年性アルツハイマーにかかってしまうお話。
最初から結末は見えてしまっているわけで、読み出したとたんから、
これヤバイって・・・って予感。
終始悲しい話なわけだけれど、でもドンヨリ暗くさせないのが荻原氏のうまさ。
想像通りのとても悲しい結末になるわけだけれど、最後のシーン、セリフにやられた。
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これはおもしろかったです!!
自分や、周りの人がそうなってしまったらと思うとやりきれない気持ちになりますが…
ラストは胸がしめつけられました(´・ω;`)
映画が見たいな。
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文章の中で主人公が時折過去を振り返った時のなんとも言えない感情にグッときます。
アルツハイマー患者を持った家族のあり方や、患者本人の心情の移りゆきを見事に描写した作品だと思います。
感動しました。
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本書は、映画化にもなりました。
好きな作家であり、文庫落ちを心待ちにしていた作品でした。
昨年秋、文庫落ちになり、喜び勇んで購入しました。
が、いざ入手してしまうと、満足してしまって・・・。
知らぬ間に、積読の仲間入りをしていましたorz
怖い。 記憶を失くすことほど怖いことはないかもしれない。
人間関係は、記憶がなければ成り立たない。
全ての感情も記憶があるからこそ、持てるもの。
そして、愛しいと思うことも、やはり記憶があるから。
これまで積み重ねてきた、人生そのものが、
徐々に欠落していき、記憶から消えていく恐怖を、
主人公の一人称で、抑えめの筆致で描かれていました。
とても読み易かった。 1時間半弱で読了していました。
広告代理店の営業部長である主人公・佐伯雅行(50歳)が、
“若年性アルツハイマー病”に罹り、日に日に悪化していく過程を、
職場や家庭、趣味の陶芸教室など、
日常生活の全体から、リアルに描いたものである。
アルツハイマー病の恐さを、否応なしに知らされました。
働き盛りの主人公・佐伯と、その妻・枝実子。娘夫婦…。
当事者のみならず周囲の計り知れない苦悩が、痛々しく辛い。
作中で描かれる、主人公の日記(備忘録)においても、
病気の進行過程を如実に描写しています。
あまりにリアルで…身につまされ、痛かった。
ラストは、そうですね…
作品として見ると、哀しくもあるが、素敵だと、感じました。
グッときます。
この作品、映像化の方が、面白いかもしれない。
DVD借りてみようかなぁ。
※第18回山本周五郎賞受賞作。
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若年性アルツハイマーにかかってしまった主人公。
仕事でもまだまだ現役、娘の結婚式と孫の誕生を控えて、
妻と二人の老後を思い描く。
それなのに、病気がその可能性を少しずつけずっていく。
悲しいというかせつないというか…
胸がぎゅっとしめつけられたよ。
少し前まで憶えていた物事でさえ、
時間が経つにつれてどんどん思い出せなくなってく。
「さらさらと砂がこぼれるように」
っていう表現が出てきたけれど、まさにそんな感じで。
主人公が最後まで自分であろうとするのがすごく心にしみた。
病気に対する知識を持つことの重要性についても実感した。
自分自身が自分の病気を理解することも大事だし、
周りにいる人たちが病気について理解することも大事。
結末が曖昧…
というか、結論なんか用意されてないんだよ、
っていうところにも考えさせられるものがあった。
そのさきどうなっていくのかわからないけれど、
少しでも穏やかにしあわせに過ごせればいいなぁ…
と読み終えて思った。
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第18回山本周五郎賞受賞作。映画化作品。
広告代理店営業部長の男は齢50にして,
若年性アルツハイマーと診断されてしまう。
仕事では重要な案件を抱え,一人娘は結婚を間近に控えている。
病は銀婚式をすませた妻との穏やかな思い出さえも奪い去る。
基本的には病の進行が淡々と突き付けられ,
夢のような治療ではなく,厳しいまでの現実が描かれるが,
彼を取り巻く深い愛も同時に描写されている。
彼の視点から書かれており,間で彼の手記が挿入されるが,
漢字の使用率の低下や誤字,繰り返される同一内容の記載など,
病の進行をわかりやすく表現している。
彼の葛藤,それに対する周囲,特に妻の対応が涙を誘う。
現実と対比する美しい情景描写も良かった。
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なんだこれ。すごく切ないじゃないか…。どうしてくれよう…。
ラストに近づいていくにつれて涙無しじゃ読めなくなってしまった。
切ないんだけど後味が悪いわけじゃなく。
枝実子さんがいい奥さんすぎる。