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評判の本だったので購入してみた。確かにわかりやすい本で、データの見方などを教えてくれる。けれど、この手の本はほんとにたくさん発売されており、目新しいものが何かあったわけではなかった。対象を細かくきって、分析的に思考しなければ確かに議論にはならないのかもしれないが、全体思考というか、そのような思考もまた絶対に必要な気はする。そういう意味では物足りない。ちいさくまとまっているような感じがする。
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[ 内容 ]
ニート問題から財政赤字、平成不況まで、いかにももっともらしい議論がメディアを飛び交っている。
じつは国民的「常識」の中にも、根拠のない“ダメ議論”が紛れ込んでいる。
そうした、人をその気にさせる怪しい議論を、どのようにして見抜くか。
そのための五つのチェックポイントを紹介し、実例も交えながら、ダメな議論の見抜き方を伝授する。
論理思考を上手に用い、真に有用な情報を手にするための知的技法の書である。
[ 目次 ]
第1章 常識は「何となく」作られる(「常識」とは何か なぜこの本を読もうと思ったのですか? ほか)
第2章 ダメな議論に「気づく」ために(場の「空気」による支配 もっとも単純な対応法 ほか)
第3章 予想される「反論」に答える(「真の幸福」論法 「データは現実を表していない!」 ほか)
第4章 現代日本のダメな議論(思考の練習問題 「最近の若者」批判のダメさ加減とは? ほか)
第5章 怪しい「大停滞」論争(バブル悪玉説のここがヘン バブルは日本だけではない! ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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ダメな議論を機械的に見破り、論ずるに値する議論を選別する方法が述べられている。
実際にこの本に書かれているチェックポイントを使うと、容易く怪しい議論を見抜く事が出来る。短期間に著書を大量に出している著名人や、テレビでコメンテーターとして活躍している、怪しい肩書きの学者などが展開している議論は、大抵このチェックポイントに引っかかる。政党が掲げているマニフェストの論拠も引っかかる。
この本を読めば、いかに自分の周りにダメな議論が渦巻いているか、そしてそのダメ議論やダメ議論を信奉する人に振り回されているかが良くわかる。しかし、怪しいと思う議論に出くわしても、わざわざ裏を取ったりデータを引っ張り出してくるのは時間も手間もかかるし面倒くさい。そこで結局、論者の肩書きや人柄から「この人がそう言うんだから、まあそうなんだろうなぁ」となってしまうのが現実。上司のダメ議論を論破しても、社内においてプラスになる事は無いし、有名人のダメ議論はそもそも一般人が論破する舞台が無い。結局は上司のダメ議論を適当に相槌を入れつつ褒め称え、居酒屋で同僚と愚痴り、有名人のダメ議論をブログで孤独に批判するのが関の山でしょうね。
感情思考が蔓延るこの国に論理思考が根付く日は来るのだろうか。来て欲しい。でも無理な気がする。
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場の空気や、感情が意志決定の支配要因となっていないか。そもそも確か(らしい)ことは何かについて見抜く要素を提示しています。比較的わかりやすく解説しているので、そんなに疲れずに読めるのでは。
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まず「ダメな議論」とは、「誤った」「無用な」「有害な」言説のこと。
と定義し、常識とされているものにもこのような言説が多く含まれていることを指摘。
その上で必ず正解を見抜く術ではなく、ダメな議論を簡便に見抜くためのチェックポイントとその応用方法をレクチャーする一冊。
備忘録として著者の挙げるチェックポイントを記します。
1、定義の誤解・失敗はないか
2、無内容または反証不可能な言説
3、難解な理論の不安定な主張
4、単純なデータ観察で否定されないか
5、比喩と例話に支えられた主張
感想としては、著者の主張もチェックポイントももっともだけど、
「ダメな議論」を見抜くというのは実際とても面倒で大変な作業だということ。
著者は繰り返し「人は自分の感覚と合うものを正しいと思う」述べている。
自分が正しいと感じてしまったものを疑って読み込み、手間をかけて調べて正否を確かめる人がどれ程いるか甚だ疑問。
でもこれから何かの議論に触れた時、それを自分のなかの常識にしてしまう前のワンクッションにはなると思う。
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正解は容易に見つけることが出来ないにしても、ダメな議論は見抜くことができる。
・定義の誤解・失敗はないか
・無内容または反証不可能な言説
・難解な理論の不安定な結論
・単純なデータ観察で否定されないか
・比喩と例話に支えられた主張
という五つのチェックポイントでダメな議論を除いていけば、残った議論は有用である確率が高くなる、というわけ。
特に2番目の「無内容または反証不可能な言説」は間違ったことを言ってるわけじゃないだけに「それは何も言ったことにならないダメな議論だよ」ってわかるかどうかが大事だと思う。「定義の誤解・失敗」や「比喩と例話」のダメな議論もそうだな。
とにかくこのチェックポイントを共有して「これをクリアしない議論はダメな議論だから言うな!書くな!」という合意を作るだけでもかなり生産的な話ができるようになるんじゃないかと思う。マスメディアにかかわる人にはぜひお願いしたい。ニュース番組のコメントとか、結構ダメな議論が目につくからね。
俗流若者論やバブル悪玉論など、例題を斬っていく後半も痛快。経済的な観点はさすがエコノミスト。
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若手ながら最近各所で有名な経済学者が、議論に必要な最低限の要素をまとめた本。「世間にある議論のうち、少なくともダメと思われるものはこういう条件を満たしているので気をつけよう」というのがスタンス。だが逆に自分が議論をする(意見を発信する)場合にも、自分でチェックすることでより有用な議論を行えるようになる。この本の内容を無批判に受け入れるのもまた問題なのだろうが、一つの基準として心に留めておくことは意味がある。
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今から20年以上前、私が大学のころ、コメ自由化問題が花盛りだった。さまざまな議論が交錯していて、もっとわかりやすく、整理して議論できないのかと思っていた。
あれから、ニュース番組も増えて、多様化しているが、相変わらず、感情的な議論が多く、建設的な議論になかなかなっていかない。
本書のような考え方が常識になって、議論が進めばもっといいのにと思います。
面白かったのは、食料自給論でよくいわれる「てんぷらそば」のたとえに対して分析して、新たな見方を示しているところ。
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思考メソッドの一方式として、アカデミックな視点が欲しい場合に最低限必要な情報が入った本という感じ。非生産的な視点ではあるが、読んどいて損はない。
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ダメな議論を見分けるチェック項目
①定義の誤解・失敗はないか
②無内容または反証不可能な言説
③難解な理論の不安定な結論
④単純なデータ観察で否定されないか
⑤比喩と例話に支えられた主張
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何事も盲目的に受け入れてはいけないよ、ということを改めて認識させてくれる。
P.87でツチヤ教授が紹介されている。
「真の」「本当の」という言い回しがナンセンスであり、その探求が不毛であるということは、土屋賢二氏の著作などで詳しく解説されています。
ツチヤ教授偉い!
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言説の妥当性を調べる5つのチェックポイント
1.定義の誤解、失敗はないか。
2.無内容または反証不可能な言説
3.難解な理論の不安定な結論
4.単純なデータ観察で否定されないか
5.比喩と例え話に支えられた主張
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世の中に氾濫する提言や主張が果たして信じるに足りるものなのか。著者は機械的に危ない議論を排除することを提唱する。とくに「定義がない」「反証不可能」なものがいかに多いかを巷に溢れるであろう経済や政治にまつわる例文から証明する。「確かに」と思う部分も多いのだが、果たして実生活に活かせるのだろうか。
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常識とは,一般市民が「空気」として「なんとなくそう思う」,あるいは「なんとなくそう信じている」ところから生まれると著者は主張する。その常識は,やがて世間に受け入れられる中で「言説」として成立することになる。そういった傾向が社会のあらゆる側面にみられる中で,著者は,一部の天才と呼ばれる人間を除いては,統合的思考より,分析的思考が有効であり,私たちは分析的思考を駆使して今まで「常識」として受け入れられてきたものを分析しなおし,有用なものを見出す必要があると述べている。著者は,「虚無論法」や「自然論法」にも触れ,なぜそれらがダメな議論なのか,言説として信じられているものを見破る具体的な手立てを提示している。具体的には,5つの基準が導入され,それぞれの基準を実際に著者が応用させ,様々な議論を論破してみせている。大学生,あるいは社会人にとっても非常に有用な著書だと考える。
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書いてあることは、すごーく真っ当であり、基本的なことです。
ここに書かれているチェックポイントを意識していれば、日々流れ込んでくるニュースや感情に任せた支離滅裂な意見、一見すると破綻してなさそうだけど実はトンデモないことを主張している意見などに惑わされずに、事実を突き止めていくことができるようにはなると思います。
ただ、主張されているポイントそのものには、目新しさを感じませんでした。それは、この本で挙げられているチェックポイントが古くなったという訳ではありません。
むしろ、ここ数年で急増した感がある「デマに惑わされないようにするには」「政府が主張するデータはどこで改竄され、政府に都合のよいように加工されているか」「発表されている事実は、本当に事実なのか」などといった論調の、様々な書籍やブログに触れてきたことで、この本で主張されていたポイントが、自分にとってはもはや「意識して身につけなければならない視点」では無くなった、ということだと思います。
逆に言うと、そういった視点からニュースや報道、政府発表などを疑う習慣を持っていない人にとっては、この本は入門としてはかなり好いのではないかとも思います。
「自分は出てきた情報を鵜呑みにする傾向があるなー」という自覚があるなら、手に取ってみる価値はあります。痩せると報道されただけでトマトジュースを買い占めるようなタイプの人なら、是非読むべきだと思う。