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戦後復興からいわゆる失われた10年、そして日本経済の現状と将来の展望に関して非常によくまとまっている新書です。文章も非常に読みやすく、論理的にも明快で経済おんちでもわかった気になれます。ただこれはあくまで岩田先生流の経済解釈である、ということは念頭に置いたほうがいいかもしれませんね。なんにせよお勧めの一冊です。
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経済の回復より構造改革を優先させては、「改革」そのものが、危殆に瀕するという、「改革」の本格的論議が述べられている。基本的に著者は、「改革」については賛成しているのだが、デフレの状態にある社会を、マイルドな「インフレ」の情態にまで持っていかない限り、改革の意義が達成できないという。
■この点では、岩田の議論は、一貫している。日銀が、量的金融緩和の解除への意志を、年次目標も無く言い募っている現在(2005年11月)日銀の金融政策が、マクロ経済としてみた場合、正当なのかどうか吟味するには、岩田や、深尾の見解を抜きにしてはまっとうな経済議論は出来ない。
現実経済では、様々な要因により、市場競争が妨げられたり、マクロ経済が不安定になったり、環境が破壊されることがある。その要因は、競争を制限する規制、業者の利益を図る裁量的な行政、一部の業者を優遇する公共調達、受益者負担のない公共事業や補助行政、不十分な情報、市場の外部性、マクロ経済における「合成の誤謬」である。後者の二つが、構造改革によっては解決の出来ない事態である。
財投機関債と財投債の政府保証の及ぶ改革方法の手順の間違いのある郵政民営化、年金改革の賦課方式による若年層の負担増大の悲劇、地方財政改革の日本的悲劇、道路公団の民営化の上下二階方式の規制改革の不徹底と不備、英国の供給側の改革をそのままデフレ不況下の日本に当てはめる愚かさ、構造改革と少子高齢化の問題、日本の企業統治など、現在の日本が抱える社会の問題の縺れた解決の糸を解きほぐす便にはなるに違いない。
memmo
有料道路事業を経営する特殊会社は、自ら資金を調達して、採算性を見ながら、道路の建設費用を負担する。が、それ以上の費用については、公団の資産と債務を継承する保有・債務返済機構からの資金調達や、国・地方公共団体の資金負担を仰ぐ方法も残した。採算を度外視した道路の建設の可能性が残る。
■日経新聞を含めたマクロの経済の見方、特にマスコミの日銀の金融政策についてのコメントに飽き足りない人には、向く新書版だと思う。
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恥ずかしながら、初めて完読出来た新書。(たくさん放置中・・・いつか読む・・・)
基本的に「市場感覚」が全然ナイねんケド、なるべく身近な例に結び付けて考えてみると、経済も面白いなァと思い出しました。
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日本経済の過去・現在・未来を見渡せる良書。著者はリフレ派の代表格であり、マクロ経済の安定化のデフレ克服の重要性を説く。小泉政策の功罪も冷静にまとめられており、非常に有用。良い本です。
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恐らく近代日本史の知識があれば、この程度は既知であろう。
しかし、何故だかこれまで異常に毛嫌いしていたため、一切知識は無し。その食わず嫌いをようやく克服した一冊。
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高度経済成長期から平成不況までの日本経済の軌跡を経済政策に焦点を当てながら詳細に解説。
最後に、今の日本の課題と採られるべき政策を提示しています。
バブル崩壊、失われた十年といった言葉は知っていても、『なぜ起きて』『何が問題だったのか』がよくわからないという人にオススメ!
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大学生向けということもあり、非常に分かり易く戦後の日本経済がどのような変遷を遂げてきたのかが網羅されている。基本としては最善の部類に入る本。何故政府による産業政策が不要なのか、何故緩やかなインフレが必要なのかがちゃんと説明されてて、「インフレ=悪」と思ってる様な人ほど読んだ方が良。この程度の知識もないのにエコノミストとか言ってる人は凄いなぁと変な意味で感心する。
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-なぜ、戦後長い間、株主と経営者や従業員との間に利害対立が生ぜずにすんだのでしょうか-
アカデミックなタイトルですが、内容は、バブルやその崩壊、その後の経済停滞といった事象・現象が「なぜおこったのかを解明する」というアプローチなので、日本人なら誰もが肌で感じた「疑問」の回答を与えられ、スッキリすると思われます。後半は日本的経営の話や、環境問題にまで切り込み、問題が「今」の私たちの日常に近づき、飽きさせない。就活直前の学生と経営者には必須で読んでほしい一冊。
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日本経済についていろいろ触れている作品。
今後の日本のあり方や今までの日本経済の経緯について
論述されている。
自分はとくに失われた10年のところに関心があって
非常に面白い意見を聞くことができた。
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[ 内容 ]
わが国の経済は、この先、安定的な成長路線に復帰できるのだろうか。
不良債権処理、累増する国債、少子・高齢化と年金といった問題が山積している現在こそ、戦後の高度成長期から平成の「失われた一〇年」までを丹念に振り返る必要がある。
「日本的経営」の行方、コーポレート・ガバナンス、規制改革や構造改革などの課題を、さまざまな観点からダイナミックに捉える、最新で最良の日本経済入門。
[ 目次 ]
第1章 戦後復興から高度経済成長期まで
第2章 バブル景気から「失われた一〇年」へ
第3章 日本的経営とその行方
第4章 日本の企業統治
第5章 産業政策と規制改革
第6章 構造改革と少子・高齢化
第7章 日本経済の課題と経済政策
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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内容は充実していて、それでもって堅苦しくないから読みやすかった。今までの断片的だった経済に対する知識が少し整理された感じ。まだ詳しく知らない単語とかが出てきたから、もっと勉強してから読むとより楽しめるかもしれない。予備知識が全く無いと難しいかもしれない。
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高度成長から「失われた10年」を中心に、それらがなぜ起こったかについて丁寧に解説した本。
ニュースレベル程度の経済の基礎知識は最低限必要だと感じた。
起こった事柄の原因や対処方法がちりばめられており、逆に反対意見を知りたいと思わせるほど説得力がある。
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日本経済について歴史と政策について書かれた本。競争政策・安定化政策・小泉政権に焦点が当てられている。
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2回ほど読みました。日本経済の概要を理解するのに最適の書。日本経済の関する基礎知識を身につけたい方に最適の本です。
文章は平易で、バブルの問題、企業統治、産業瀬策などの現象を、非常に分かりやすく解説しています。
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通産省が行った産業政策は効果が無かった、行政完了や政治家には事業を育成する本当の誘引(インセンティブ)が無いので成長産業を見極めできない。
自由な市場で人々が創意工夫することこそ成長に繋がるなど、、いわば正統的な経済学の知見を易しく説いています。
今話題の金融政策については、インフレ期待形成について強調していますが、日銀の国債直接引受は明確に否定していますし、規制緩和や財政政策の組み合わせも大事と、あまり過激な金融政策一辺倒の話はしていません。ただし、どう金融緩和が実体経済に波及するかは簡単にしか説明されていません。
新書という制約もあるかと思われますので、また翁-岩田論争を読み返してみないと(前に読んだときは経済学の基礎がわかっていなかったので、理解が足りなかったと)。
2004年に書かれた本ですので、やや古いですが、今読んでもじゅうぶん面白かったです。