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電子書籍

男の中の女が目覚めると瞳の色が変わる

2021/01/16 19:44

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:M★ - この投稿者のレビュー一覧を見る

この本の美麗な表紙の作者は、小島文美さん。
実物を見たくて、電子版を讀んだあと古書を買いました。
良書なら、紙本も欲しくなります。本文にあるシュリルのイメージとピッタリの表紙絵。
挿絵が無いし、表紙が綺麗、人前でも平気で開いて読める安心装丁。

美しいシュリルが、凌辱されて苦しむ場面の連投ですが、場面や世界感が御伽噺風の綺麗な描写なので、可哀そう・恥ずかしいと思いながら、惹きこまれて読めてしまう。

主人公シュリルは、周囲を圧倒する美麗な容姿の聖将軍、国王の守護12将軍。
革命が起きて王や多くの貴族が逃亡先で死亡。
シュリルは、マクシミリアンとラモンの計画により隣国のマクシミリアンの城へ追い込まれ、そのまま軟禁されてしまう。
シュリルの首は懸賞金をかけられ、本国へ戻れない。

「魔性性の美」シュリルは、男でも女でもない美しさを持つ人。
シュリルの不思議な体と瞳を知るにつれ、魅力に惹き込まれていく二人。
シュリルは地獄の凌辱を受けるのに、容色の美しさは増していく。
シュリルの秘密が暴かれた後の着衣は常に女性用が用意される。・・軟禁中のシュリルは「姫」と呼ぶべきかも。

3章以降から、シュリルのトラウマをマクシミリアンが解消していく・・愛しているのに、上げた拳を下げられないマクシミリアン。
シュリルが意思を持たない人形のようになった理由は、幼少期のトラウマ。
父に何度か殺害されかけて、「命にかえても両性具有を隠し通すから」と父に助命を懇願したシュリル。
シェリルが怖れるのは「自死しかない状況に自分が追い込まれる事」 国教で自殺は禁止されている。
マクシミリアンに「私にはお前が必要だ。自分を殺して救ってくれるから」と言っう。
その数日後、シュリルは本国に返還となり、死ぬより辛い日々を送ることになる。

シュリルが蟄居する城はラモンの管理。ラモンの監視下で暮らすシュリル。
ぞっこん惚れたラモンは、シュリルの秘密を公にして正妻に迎える手続きを始める。
シュリルが怖れる両性具有の公開。
「結婚=秘密の公開を死を以って拒否」したいシュリルは、殺してもらうためにマクシミリアンの城へ逃亡する。
マクシミリアンに殺されることが、シュリルの甘美な夢。

追ってきたラモンとマクシミリアンの決闘。
ラモンの攻撃をシュリルが身を呈して止める。
ラモンに斬られたシュリルが意識を戻して目を開けるのか、心配になってしまうけれど、「目を開けたらもうひとりじゃない」で終り。
あっけない耽美風というか、簡素で余韻ない結末でした。

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2006/09/26 22:15

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