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後半は冒険活劇
2019/11/25 22:07
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投稿者:KazT - この投稿者のレビュー一覧を見る
金田一耕助が知人に呼ばれて訪れた通称、迷路荘で連続殺人事件に遭遇します。
片腕の謎の男、20年前の惨劇、地下の洞窟、密室殺人など、金田一耕助シリーズらしい舞台がそろっています。
前半は最初の殺人事件がすぐ起こるものの、その後の関係者の事情聴取がしばらく続き展開が遅い印象を受けます。
対照的に、後半は迷路荘を舞台に事件が次々と起こり、一気に解決とどんでん返しへと進み、冒険活劇のようです。
原案となった中編は最初の事件のみがぶたいですが、これを読んでいる読者はどんでん返しを楽しめないかもしれません。
作者が前半を書いてから、かなりの年月をかけて長編として完成させたため、前半と後半の印象が異なるのかもしれません。
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やり過ぎな感じ
2018/10/27 21:44
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投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『迷路荘の惨劇』(1975)は『オール讀物』1956年8月号に発表された短編作品『迷路荘の怪人』を加筆修正した長編作品で、迷路のような洞窟、過去の殺人事件と現在の殺人事件が絡み合う複雑な人間関係、謎の「片腕の男」などが登場する典型的な舞台設定と言えるかもしれません。
舞台は広大な富士の裾野近くに、あたりを睥睨するかのごとく建つ豪邸名琅荘。屋敷内の至る所に『どんでん返し』や『ぬけ穴』が仕掛けられ、その秘密設計から「迷路荘」とも呼ばれている。ここで昭和5年に名琅荘創設者の古舘種人(たねんど)の一人息子一人(かずんど)が嫉妬から妻の加奈子を殺し、情夫と目された尾形静馬も殺そうとして片腕を切り落としたものの、反撃にあって命を落としました。尾形静馬は洞窟へ逃げ、そのまま生死不明。
時は経ち、名琅荘は一人(かずんど)の息子辰人から実業家の篠崎慎吾に売却され、ホテルに改装されました。そのホテルが本格的に営業開始になる前に昔の姿を偲び、昭和5年に殺された一人と加奈子の21周忌の打ち合わせのため、関係者が一堂に会することになります。篠崎慎吾は辰人から屋敷ばかりでなく妻・倭文子(しずこ)を奪った過去があります。
また、殺された加奈子の実弟である柳町善衛はかつて倭文子と婚約していたこともあり、姉の夫の前妻の息子辰人に対して何らかの確執がある模様。渦中にある倭文子夫人は始終口数が少なく、閉じこもりがちで謎めいています。
古舘種人(たねんど)の妻であった糸女は名琅荘のことを知悉していることから篠崎慎吾に屋敷と一緒に引き取られ、嫣然と支配力を発揮しています。
この複雑な人間関係だけでもすでにうんざりな感じです。
金田一耕助は彼の中学時代の同窓にしてパトロンの風間俊六のつてで篠崎慎吾と知り合い、正体不明の片腕の男が現れてまた消えたために、その究明のために名琅荘に呼ばれますが、彼が到着して間もなく第1の殺人が起こります。次から次へと事件が起こり、結局5人亡くなり、殺人未遂の傷害事件も2件。抜け穴と自然洞窟の探検に大分時間が費やされます。片腕の男が洞窟の中に現れたりして、捜査を混乱させます。
このストーリーはワクワクするのを通り越してやり過ぎの感が否めません。計画殺人と偶発的・衝動的な殺人の両方があり、下手人も一人ではないため、なかなか全容を掴めない構成になっています。
注目に値するのは下手人の一人が、故人が殺人の罪をかぶったために警察から追及されずに生き残ったことと、それを突き止めた金田一耕助が「自白後の自殺」を防ぐために青酸カリを取り上げ、人生を全うするように諭したことでしょうか。つまり、情状酌量の余地はあるものの殺人犯を一人「見逃し」ているわけですね。犯人の自白と自殺で終わらなかったところは珍しいパターンと言えますが、倫理的には若干釈然としないものが残されているように感じました。
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本当にドキドキした。あちこちに「抜け穴」や「どんでん返し」があるお屋敷が舞台だなんて、なんてドキドキなんだ。トリックやストーリー展開自体に、ものすごいインパクトがあるわけではなかったが、迷路荘という舞台は気味の悪さを押し出していて、登場人物も明らかに怪しげな人々で、それによって読み手はドキドキさせてもらえるシーンが実に多い。また、20年前に起きた事件との繋がりなども、金田一耕助シリーズらしい感じがして、こういった根の深さが事件を複雑にしている。なんとなく、八つ墓村に似てるシーンがあるが、インパクトから言うと、八つ墓村よりはかなり弱いかもしれない。 ラストシーンはちょっと「食傷気味」になる感じだった…。相変わらず、残酷だ…。
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金田一耕助シリーズ
元華族の古舘家から買い上げた屋敷を旅館にした男。迷路荘に残る消えた殺人者の物語。片腕の男。古舘の元妻。殺害された古舘辰人。捜査中密室で殺害された第2の被害者。消えた女中・タマ子。
2010年1月17日読了
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豪華な屋敷、美しい女性、不気味な老婆、と金田一耕助作品には必ずこの3つが出てくるけど、これも例外ではなかった。途中でなんとなく犯人は分かるんだけど、それでも止められない。
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広大な富士の裾野近くに、あたりを睥睨するかのごとく建つ豪邸名琅荘。
屋敷内の至る所に<どんでん返し>や<抜け穴>が仕掛けられ、その複雑な造りから別名迷路荘と呼ばれている。
知人の紹介で迷路荘を訪問した金田一耕助は、到着直後、凄惨な殺人事件に巻き込まれた。
被害者はここの創建者の孫・古舘辰人元伯爵で、後頭部を一撃され、首にはロープで締められた跡が残っていた。
やがて事件解明に乗り出した金田一は、20年前に起きた因縁の地の惨劇を知り、戦慄する・・・。
図書館整理休館中のため、またまた蔵書再読。
そういえばこんなお話でした~。
好きな作品は何度も読んでいるので覚えているのですが、この作品あたりになるとあまり読み返してはいないので、久しぶりに読むと新鮮。
でもさすがに横溝祭りもここまで続くと食傷気味かなぁ・・・。
金田一の後手っぷりがいやに目に付いてきましたよ。こんなかったっけ?
まあ、推理小説の名探偵というのは犯人の計画が終了、もしくはほとんど終わった頃にようやく謎を解くものではあるのですけど。
今回は普通の殺人ばかりで見立てもなく、私の好きな横溝の血の系譜のそこまでではないので、言ってみればまあ普通の推理小説かな。
もちろん面白いのですがね。
ラストのサプライズも、あんな内容なのにほのぼのとしてしまいます。
でもちょっと休憩かな。図書館も開いたし。
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迷路荘の惨劇…タイトルからワクワクしてしまう。屋敷内の至るところに《どんでん返し》や《落とし穴》がある。斬新なトリック。
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昭和60年代刊行の文庫の表紙は、黒いマスクとサングラスの陰気な男の横顔と地下に降りていく階段、トリックに使われた滑車・・・おどろおどろしさたっぷり。富士山の裾野に迷路のようにつながった華族の豪邸。明治維新の折に暗殺を恐れて作りこまれたどんでん返しや隠し扉。太古に自然が作り出した地下洞窟の上に建ち、まるで迷路。そこで20年前に起こった殺人事件の因縁がまた惨劇を引きおこすのです。著者得意の戦後の混乱を潜り抜けた直後の雰囲気と因習が絡み合った独特の雰囲気は今回ちょっと薄め。昭和40年代に横溝リバイバル後に書かれた作品だからでしょうか。2/3ほどを費やして、誰が何時何分にどこにいたかを延々描写していくという、僕がもっとも苦手とするパターンに陥った。でも、その後の展開はなかなか。当たり前なんだけど、探偵は謎を解くものの、警察や検事じゃないから法的に裁くことはしないんだよね。なかなかラストもひねる。
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「ああ無残!」 さすがというべきか、グロシーンの描写がなくても凄惨さが伝わってくる文。見覚えのあるトリックが多数出てきます。
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「迷路荘」と呼ばれる屋敷で、展開される連続殺人。名探偵金田一耕助の推理が、犯人を追いつめる。スリル連続の傑作長編。
【志學館大学】ニックネーム:まめしば
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金田一耕助シリーズ定番の、旧家の因縁もの。
そ、そのいきなりの館トリックはさすがに反則なんでないかい!? みたいな唐突な展開もあるんだけど、全体的にはどろどろ~の因縁話や、館トリックが実に楽しい。
不気味なレッドへリングも上手い具合に効いてます。
そしてそして糸女刀自のキャラがなんとも!
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迷路のようなお屋敷、美しい奥様、美少年、老婆・・・
そして、片腕のない不振な男の出現・・・
相変わらず、おどろおどろしい状況での殺人。
横溝先生の世界は深いなあ。
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この作品は横溝正史の作品としては後期のものになります。(1975年刊 但し原型となった短編は1956年発表)事件は1950年の秋に起こったことになっています。金田一耕助が名探偵として知られるようになった頃です。読んでいても25年のギャップを感じさせない。今だったら迷路荘の見取り図が貼付されているでしょうね。ある意味現在のミステリーに通じる奇妙な館ものです。展開も面白く一気に読めました。
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広大な富士の裾野近くに、あたりを睥睨するかのごとく建つ、豪邸名琅荘。
屋敷内の至る所に『どんでん返し』や『ぬけ穴』が仕掛けられ、その秘密設計から、別名迷路荘と呼ばれていた――。
金田一耕助は、迷路荘到着直後、凄惨な殺人事件に巻き込まれた!
事件解明に乗り出した耕助は、二十年前に起きた因縁の血の惨劇を知り、戦慄する……。
斬新なトリックと溢れるサスペンス、巨匠横溝正史の長編本格推理! ! (以上、Amazonより抜粋)
密室から消えた男や20年前の事件の真相など盛りだくさんです。
第1の殺人から2人目の犠牲者が出るまでが長ーい!
そこからはトントン進むのですが…
もちろんその間、懸命な調査や聞き取りが行われるのですが、読者としてはもう少し短くできなかったのか…と思ってしまいました。
また、犯人がすんなりお縄につかないのはお約束なのですが、敗北を知らぬまま死ぬのはモヤモヤが残る!
個人的に八ツ墓村の美也子が理想。
しかし、女性陣の死に様がグロイ。映像化ではどうなっているのか。
2012/10/29-31
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金田一ジッチャンの方の事件簿。
冒頭に登場人物一覧ページがあって、非常に助かる作品。
登場人物が多い上に、血族・姻族の関係が複雑なので、中盤までは一覧を見返すことしばしば。
トリック全般はどうということはないが、タイトルに「惨劇」とある通り、一部被害者のやられ方が、まぁ酷い。
それと、金田一作品には珍しく犯人が救いようの無いワルで(※)、金田一も嫌悪感を顕わにしている。
※孫の『金田一少年の事件簿』でも共通しているが、大抵は被害者の方がどうしようもない奴で、犯人には酌むべき事情がある場合がほとんど。
加えて、全編通してのヒロインが存在しないのも珍しい。
強いて言うなら、迷路荘の主の娘、陽子だが、タマッペこと女中のタマ子と合わせても、他の作品のヒロイン一人分にも満たない程度の存在。
もちろん面白い作品ではあるのだが、若干冗長か。