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「何んでもない」という短編が良かったです。
何処にも桃源郷がないのなら
お創り致しませう
上は椎名林檎の曲「葬列」の歌詞ですが、そんな感じのお話。
夢野久作では「ドグラ・マグラ」も大好きな作品ですが、この作品が一番好きかもしれないです。
まず、言葉遣いが良い。まさに大正ロマン。
文章にしっとりとした可憐な色香を感じます。
ドグラ・マグラが逸脱した「キチガイ地獄」ならば、少女地獄は元来人間なら誰しも持つような日常的な感情が肥大して生まれた狂気を描いています。その感情とは、『人によく思われたい』。
姫草ユリ子は、すべての人間に好意を抱かせる、生まれも育ちも良い、噂の天才美人看護婦。だけどその実態は天才的な虚言癖。
ユリ子が自分のイメージを獲得するために必死な様子は人間くさくて哀しく、それだけにいっそう不気味です。ユリ子ほど天才的とはいわずとも、真の狂気とは人間らしい欲望の中にあるのかもしれません。
多くの人間が持っている要素と、狂気への紙一重に戦慄しつつそれがクセになる…そんな不思議な感覚を覚えます。
嘘をつけばその嘘を守るために嘘を重ねなければならず、限界に達したときユリ子は自殺する。すべてを虚構で塗り固めたユリ子にとって、その仮面が剥がされるのは自ずと、自分が死ぬのと同じことだったのだと思う。囚われたらさいご命すらあやうい魅惑の地獄。
少女というのも実は嘘ですが。
ユリ子はすべての人を虚構で魅入らせ、自分自身も虚構に魅入られて、虚構のうちに散った。何が幸せかは人それぞれで、「何んでもない」それも、寂しいですがひとつの生き方だったのかもしれません。築き上げた桃源郷を守ろうとした姿は哀しくもいじらしく、周りの人間も、嘘をつかれているのを分かっていて、その桃源郷を一緒に守ろうとした。狂気めいているのにこの温かさはなんだろう、不思議な世界観です
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エログロナンセンスを体現したような作品。それにしても、表紙が不気味すぎて手にとったら痒くなるので、読んだあとは必ず手を洗っていたな
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丸尾末広に影響されてこの本を買ったが、読み始めて10分と経たない内に次第に悶々としてきて、それでも給食を無理矢理食べさせられる児童の如く(という程でも無いが)読みきった感想は「わっかんねーよ!!」。つまらなくは無いんです。僕に読解力が無かったんです・・・。
あと表紙絵を米倉斉加年が描いていて、教科書に載っていた人がこんなエロい絵を描いとる・・・と子供心にショックでした。
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この文庫本の裏にも江古田青柳書店の店主の筆跡の値段があるから、買ったのは13,4年前ということになるか。昨日の『グリーン・マイル』に引き続き実家の段ボールに眠っていたのを引っ張り出してきた一冊。
とは言っても、今年の春、夢野久作ブームが僕にあって、青空文庫に収録されている夢野作品はほとんどよんでしまっていて、本文庫の表題作は既に読了済み。というわけで今回読んだのは「童貞」、「けむりを吐かぬ煙突」、「女鉱主」の小品3つ。どれもオチの付け方が今ひとつで、カタルシスを得られない。残念。
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虚言癖のある看護婦の話、連続殺人犯かもしれないバス運転手を疑い恐れながらも惹かれていく女車掌の話など、なかなか面白いこの独特の雰囲気が好き
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夢野久作はこれしか読んだことがないけど、何度も読み返してる大好きな本。初めて読んだ頃は「なんでもない」に出てくる《赤》の意味が分からなかった。米倉斉加年の表紙絵も好き。
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夢野久作の短編集。彼の作品は生涯をかけた長編『ドグラ・マグラ』が有名だけど、短編もかなりおもしろい。大正時代の作品なのに、今読んでも古さを全く感じない。特に『童貞』は僕の中でベスト3に入る短編。
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短編集なのだけど、表題の「少女地獄」は、あの「ドグラマグラ」の混乱再びかと思ったら、3編が混入されているだけでほっとした。死を持ってしてまで嘘を突き通す病的な虚言癖のある少女の話が、意外とあるよね〜という感じで怖かった。
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短編がいくつか詰まっていますww
なんだかよんでてたのしくなるってか引き込まれましたw
私の拙い文章力じゃうまくせつめいできません・・・・
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『何んでも無い』の姫草ユリ子は確実に境界例なんじゃないかと…。初夢野でしたが一発で夢野ワールドに惹き込まれました。『童貞』のラストはちょっとだけ笑ってしまいます。
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姫草ユリ子の嘘で塗り固めた人生…
嘘に嘘を重ねたら、
こんなに大きな嘘になるのかっっ!
醜女の改心の一撃っ!「火星の女」も面白いです。
「ドグラ・マグラ」よりこっちの方が好きです。
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夢野久作短編集。
うち「殺人リレー」は「ユメノ銀河」というタイトルで映画化。
「童貞」が面白かった。
ドグラマグラの何倍も読みやすいです。
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「ドグラマグラ」を読む前にこちらから。夢野久作入門に良いのでは?読み始めたら止まらない、嘘・妬み・嫉みが渦巻く永遠の少女地獄世界。(6/15)
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少女っていう生き物は残酷でグロテスクである。そう断言したくなる本。そこなのかよ、っていうオチが意外すぎてあっぱれ。めっちゃおもしろいです。
ドグラマグラは最後まで読めなかったけど、これは大丈夫だった(短いからか?)
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「ドグラ・マグラ」があまりにも有名な夢野久作の怪奇短編集。
表題作は病的なくらい自分を嘘偽りで飾り、虚構の世界に生きようとした少女の破滅を描く。作者の現実社会への不信感が作品に暗い影を落としている。少女の嘘はたわいもないものから他人の人格を辱める重大なものまで及ぶのだが、いずれも巧妙で、周囲の人々の安穏な生活が徐々に彼女の虚構の世界に引きずり込まれていくのが不気味。