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推理小説としてはなかなか面白く、文章を楽しむという点ではそうでもない、という感じ。時代設定のせいなのか、あるいは行間から作品を映像として立ち上げるには視覚情報がやや乏しいからか、個人的な感想としては「世界にのめりこめない」状態のまま、ラストまで行ってしまいました。事件を調べる警察の言葉遣いが汚いことが要因の一つかもしれません。まぁ、作品が書かれた当時の警察は本当にこの程度の品性だったのかもしれませんが。
そこまで重要だと思えなかった人物が実はキーパーソンだった、というのは推理小説の常套手段なのですが、このぐらいしか出てこなかった人がコアになるのかー、と思うと、ちょっと悔しいというが面白くないというか。
最後の謎解きで、とある重要な人物についての描写(真犯人を推理した検事の憶測)が出ますが、これも今の時代に生きている身としては荒唐無稽というか、そんな無茶な解釈があっていいのか?という印象を受けました。
冒頭にも書きましたが、推理小説としては面白いです。最後がなんだか昼の2時間サスペンスみたいな幕引きとなってますが、これも「当時のミステリー小説の流行はこうだった」と思えば、それほど無理はないでしょう。