紙の本
人生とは「孤独」と悟ること
2006/12/24 10:10
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:濱本 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間、生まれるも一人、死ぬのも一人、元来孤独な動物である。それを癒す為に恋愛をし、結婚をし、家庭を設ける。しかし、結局は、一人なのである。だったら、人間孤独である事を自覚し、その覚悟で生きていく方が建設的な生き方である。私は、生涯独身を決めた。家庭も子供も持たない。平日に会社に出ている時は、仕事仲間に囲まれ、仕事に追われ、孤独を感じる余裕は無い。だが、時には、自分の仕事の姿勢が受け入れられなくて孤独を感じる時もある。休日は、いつも一人である。ほとんど会話の無い休日も有る。定年退職後の生活は、こういうものかと思うと寂しくなる時もある。旅に出るのも一人だ。だが、孤独を積極的に受け入れると、これほど良いものは無い。何が良いか、それは、「自由」が有るという事である。子供を持ち、家庭を持って孤独を避けるという事は、それだけ「自由」を削る事である。
人間、本当に孤独を忘れる瞬間がある。それは、セックスにおけるエクスタシーの瞬間だ。この瞬間こそが、全く孤独の悪魔から解放された瞬間である。人間誰でも、この瞬間の快楽を追求する。しかし、これは、正に瞬間であり、また、飽きという悪魔も垣間見る事が出来る。
本書では、結婚しても孤独、離婚しても孤独、愛人が居ても孤独、死に別れても孤独、生別でも孤独、兎に角、人間、孤独の悪魔からから逃れる事は出来ないという主張を展開している。特に、「老い」に対する孤独は、大きな問題として挙げている。この悪魔から逃れるには、「孤独」を避けるのでは無く、積極的に取り込んだ生しか無いと私は思った。
私の人生は「孤独」である。しかし、「自由」である。人間、一人で生まれ、一人で死ぬ事を考えると、それで良いのだと思う。これからも、肩を張った生き方で無く、いつまでも、孤独で生きていきたい。
投稿元:
レビューを見る
あれ、イメージ出ない…。瀬戸内寂聴のエッセイです。孤独を感じたら、悪魔に身をゆだねそうになったら読んでください。
投稿元:
レビューを見る
いろいろな種類の孤独をとりあげ、最後には誰もが逃れられない老いの孤独で締めくくり。
途中で寂聴節炸裂してたけど。仏陀や一遍上人、西行などの残した、孤独を突き詰めた果ての孤独についての言葉が印象深いです。
投稿元:
レビューを見る
ものすごく孤独を感じてた時に読んだ本…。当時色んな本を気を紛らわすかのように読み漁っていたので、内容を余り覚えていないのですが、中の一編の描写に、夜ホテルの窓から外を見ている作者の姿があり、それだけ覚えています…
投稿元:
レビューを見る
偽善の言葉に騙されそうになる。無償の愛ほど胃潰瘍になる原因もないだろうと感じる。無償の愛は僕に限りない見返りを求める。生きることを強制され、苦しみの中で勝手な価値観を押し付けられる。怖い本。
投稿元:
レビューを見る
これは必ずかばんに入れてある本。
時間があるときに目を通すと、
人間ちっぽけな事でイジイジしないんだ
と、思わせてくれたりします。
投稿元:
レビューを見る
素晴らしい作品です。
人は皆孤独である。孤独でない人は一人もいない。
生まれる時も一人、しぬ時も一人。
他人に理解してもらえることのほうが稀有なことなのだ。
だからこそ、心が通い合ったときはうれしいし、悪いところまで含めたあるがままの自分を受け止めてもらえたときには心が打ち震える。
孤独であることは悪しきことではない。
己が孤独であると知っている人こそ、他者を受け入れ、愛することができる。
これが大筋の話。
私は、寂聴さんが「性」という漢字を「「心を生かす」とも「心で生きる」とも「心を生む」とも読める」と表現したことにひどく感動を覚えました。
投稿元:
レビューを見る
拘留中の女優が読んでいるということ。
煩悩を絶つために仏門に入った、
寂聴さんと重なる部分があったのか
投稿元:
レビューを見る
「ようこそお越しくださいました・・・」と瀬戸内さんのいる寂庵に招かれたかのような設定で話は進んでゆく。恋人がいても、家族がいても、若くても老いても人は結局ずっと孤独とともに生きていかなければいけないのだ。愛する夫を癌でなくした29歳の妻が瀬戸内さんに寄せた救いを求める手紙はとても切なく、つらいものでした。でもそこにかすかな光がさすのです。強くなり、前へ進もうとするのです。けなげなその女性の姿に涙がでました。
投稿元:
レビューを見る
2010/04/07
語り口調に馴染むのに、慣れないと少し時間はかかりますが、
読み進めていくうちに、ぐっと胸に染み入る一冊です。
病床の良寛に、貞心尼が寄り添って看護する様を書いた
小説の抜粋には、かなりじんとくるものがあります。
投稿元:
レビューを見る
「本当の愛は人を謙虚にします。」
「愛したら執着し、執着したら独占欲が生まれます。すると苦しみが生まれます。」
「たいていの場合、欠点は美点で、美点は欠点にもなりうるのです。」
など名言が多かった。
未熟者には勉強になりました。
投稿元:
レビューを見る
「人間は生まれて死ぬまで孤独な動物だというのが,七十年生きてきた私のゆるがない乾燥です。」
このような出だしではじまります。
人生すべてに孤独がつきまとい,人間は悩む。
そんな人生の儚さについて僧侶的な発想で書かれています。
その孤独とどのように向き合うか。
孤独を楽しみ,飼いならすすべも述べられているので,人生の節目でまた読みたいと思える本でした。
投稿元:
レビューを見る
なんかで知って読みたくなった本。母親が寂聴さんの本読んでた気がして少し気になる人だったし、43版とあってベストセラーじゃんと思ってね。
この人の生涯には全然触れてない本だけど、いろいろな恋愛をして、51歳で出家した方。(出家であってるか不安…)
人間は、産まれるときも死ぬときも一人とはよく言うけれど、やっぱそうなんだろうね。
みんなといても孤独、一人でいても孤独。
あなたはその孤独にどう向き合いますかという問いかけ本。たくさんの、寂聴さんの元に届くお手紙をもとに進められる気付きの本です。
友達が、二人で立ってると思ってたけど、一人で立ってたって気付いちゃったんだよね、って言ってた。
真理です。
投稿元:
レビューを見る
【レビュー】孤独という概念についての仏教的な視点が、具体例を交えて分り易く表現されていたように感じた。仏陀の言葉の中には、とても詩的で鋭い言葉が多々あり、唸った。
投稿元:
レビューを見る
中盤以降女性の結婚生活に焦点を当てた記述が増えた。現時点で興味がある序盤と終盤のみ読んだ。
「孤独は人の皮について離れないもの」であり今までになかった憧れを手にしても、孤独からは逃れられない。しかし、孤独はマイナスのものでもなく、孤独を感じるときにしか得られない感性がある。作中にも記述があるが、孤独を感じる日の読書ほど心地よい時間はない。
孤独を強く感じるからこそ、他人の孤独を理解し、分かってあげられる人間になりたい。