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みんなのレビュー7件

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7 件中 1 件~ 7 件を表示

紙の本

永く読み継がれるであろう、世紀の大傑作

2002/02/27 22:53

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:キイスミアキ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 原題を直訳すると、『二年間の休暇』となる本作は、1896年(明治29年)に英訳から翻訳されて以来、『十五少年』という題名で親しまれている不朽の名作。孤島に漂流してしまった少年たちが、いったい何年の間、ロビンソン・クルーソーのような生活を強いられてしまうのだろう。このような興味は、『二年間の休暇』というタイトルでは失われてしまうが、最終行に書かれているヴェルヌのメッセージを考えると、納得のいくどころか、素晴らしい題名であると思えてくる。
 
 『八十日間世界一周』、『海底二万里』、『十五少年漂流記』と、ヴェルヌの作品につけられた題名は、原題からの邦訳であっても、英訳からの邦訳であっても、邦訳独自の題名であったとしても、どれもが印象深く、作品への興味を掻き立てられる、抜群の響きがある。
 
 『残像に口紅を』などの美しい題名を冠した作品を書いている、日本のSF作家筒井康隆は、題名を思いつくところから創作をはじめる、というようなことを述べている。ヴェルヌもそれに近かったのではないか。きっと、魅力的なアイデアに直結した、響きのある題名を思い浮かべるだけで、潜水艦の暗躍、冒険者の旅路、少年たちの漂流といった物語を想像できてしまうのだろう。
 
 生息しない生物が存在するなど多少の齟齬はあるものの、舞台となる島の豊かな自然は、ヴェルヌの確かな自然科学の知識のよって描かれている。虚実、真贋は別にしても、舞台の設定は、非常にリアルであると感じさせるものだ。しかし、この作品で自然環境などの舞台以上にリアルに描かれているのは、少年たちの強さではないだろうか。十五人の少年たちが登場するこの物語は、孤島に漂流するという絶望的な状況であっても、子どもであるが故に状況を楽しむことができるという、独特の強さに基づいている。『十五少年漂流記』は、少年たち──この冒険には加わっていないが、勿論同年代の少女たちも──の強さを讃歌する物語といえるだろう。
 
 読者も、絶望感を味わうことなく、悲惨さを感じる前に、少年たちの冒険を自らも体験したいと感じてしまう。「自分ならこうする」と想像を逞しくするだろうし、少年たちを羨ましいとさえ思ってしまう。少年の強さにリアリティを感じるからこそ、自身を困難な立場に投影しても、不安を感じるどころか、愉しさを感じてしまうのだ。
 
 200ページごろで、少年たちの生活は半年を越える。この頃になると、様々な鳥類やイノシシなどの大きな動物が確認される。家禽、家畜となる動物たちを捕らえ、飼いならすことで少年たちの生活にも変化が訪れる。さらに時が流れ、10ヶ月が経過すると、少年たちのリーダーが交代する。それまでのリーダーが、流れ着いた島を自分たちの植民地だと位置づけ、植民地としての生活を維持することを目標としていたのに対して、新たなリーダーは島からの脱出と家への帰還を第一の目標とした。
 
 リーダーが交代することによって、15人の生命を守り、家禽を育てるなどの植民地的な生活様式を取り入れ、島のサバイバルの基盤を作りあげる時期から、海の外への気持ちを向ける時期に移ることは、なにか象徴的に思える。極端にいえば、大人のいない自由な生活から、大人のいる世界へと自ら進もうとする、モラトリアムの終結となるのだろうか。集団の目標が変化し、その変化によって独立心を煽られ一部が離反するなど、少年たちは困難に見舞われることとなる。自分の将来を見据え、現実的な目標を立てたとき、人はそれなりに悩むものだ。
 
 登場人物が多いことを感じさせない、人物たちを書き分ける筆力も流石。学年ごとにコンビを組ませたり、友人の相互関係が偏ることでグループを作ったりすることで、人数の多いキャラクターを確実に認知させ、読者に上手く愛着を持たせている。

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2006/09/02 19:11

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2006/12/14 11:49

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2007/05/13 00:26

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2007/07/24 20:50

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2009/04/04 00:47

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2019/01/04 11:48

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