紙の本
この一冊だけで読み終えてはいけない
2009/09/25 20:20
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:空蝉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
獄中のBLもの、などとかいたらなんだか凄まじいもののように聞こえるけれど、実に淡白で、現実に根ざした作品だった。
現実、すなわち現実の社会に生きるための常識・ルールは同性愛ほか禁断の愛(死語)においては不可欠なメタファーであると同時に最大の試練でもある。
たいていこの手の作品にはそっちのケがある男がノーマルな男に熱を上げてすったもんだの押し問答を繰り返した挙句、落とす、というのが定番。
期待を裏切らず、本書もそれに近い。そういう意味では新しさもなく、お決まりパターンではある。
完全にノーマルでまっとうな真面目な人生歩んできた堂野が痴漢の冤罪で獄中生活を強いられた・・・まともな人間にとって獄中生活は苦悩そのもの・・・というのはわかるけれど。
正直だからどうしたって言う域を超えない。その苦悩っぷりも生ヌルい。
けれど、中盤から後半にかけて喜多川という人間として「欠けた」同獄者がかかわり、彼の欠陥性が現れてくることで興味が出てくる。
彼が「普通の人間」である堂野に触れ、心を開き、子供のように吸収していく姿は痛々しくも感じるし、結局それがこの物語の主題になるのだと、ようやくわかる。
ノーマルな堂野が、いきなり同性の喜多川から告白されコトに及ぶ、そのことに対してこんな程度の感想なのか?普通もっと衝撃を受けるんじゃないか?などと感じてしまうわけだけれども。
それは獄中生活ゆえの麻痺なのかとも思える。
正直、深い感慨や感動を呼ぶ物語ではなかった。しかしそれでもこの作品を推したいのは続刊『檻の外』に感動したからだ。
是非、続編を読んでほしい。この『箱の中』一冊そのものが『檻の外』という続編(後半)のための含みだったと分かるはずだ。
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痴漢の冤罪で懲役を科されたサラリーマンと、服役中の殺人犯の箱の中での話。
色々いたたまれなくなってくるけれども好き。
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評価は5にしたいのはヤマヤマなんですが、どういうことでしょう?一冊中3行も言葉が1行単位で抜けてました。書下ろし「脆弱な詐欺師」P172、P225、P239です。蒼竜社さん、なんだか腹立たしいです。落丁ではなく、構成ミスですよね?それとも、私が買ったこの本だけがこんなことになっているのか?本屋で立ち読み確認したところ、私の持っている本は行単位で抜けてるのに売ってる本は抜けてませんでした。ショックだ!!
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おっおもっおもしろかっt…! もー全編かなしくて終始涙目…。サンマルクで読み始めたらホントとまらなかったー。おもしろい、って言葉にしちゃったらいけないくらい重い内容なんだけど、重いって言葉自体もこの小説の前には軽薄な気がする。自分じゃBL小説読まないので、ダ・ヴィンチに超感謝!
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いろんな方の感想などを参考に
購入した本。
刑務所内での話。正直、喜多川
の愛が怖かった。が、もう読ん
でしまったら最後、続編「檻の
外」は必ず読みたくなります!
というのか読まなければ意味が
ない!
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初めて読んだ木原さんの作品がこれでした。檻の外をなんで一緒に買わなかったのかと後悔する位のめり込んで読んでました。
ちょっとした気遣いや優しさが自分や相手にとって救いになったりする。
誰にでも有り得る事で喜多川にとってそれが堂野であっただけ。
箱の中という閉ざされた空間での擬似的な勘違いでない事が書下ろし「脆弱な詐欺師」でよく分かる。
芝さんの台詞で号泣でした。
たくさんの方に読んでもらいたい作品だと思います。
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この作品で、音瀬の世界にまた舞い戻ってしまいました。
こんなに泣きながら読んだBLは始めてでした。
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かなり有名らしい。
続きが気になって仕方がないタイプの私は箱の外が出てからセットで買った。
確かに私も好きだーーー(笑)
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冤罪で刑務所に入った男が主人公のお話。
とても面白かったです。続きが気になって、すぐに続編の『檻の外』を購入しました。
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「檻の外」と是非セットで読んで欲しい。BLとかどうとかジャンル分けするのが無意味に思える、大変良質な小説。
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初・木原音瀬。BLっていうより、同性愛入った純文学って感じ。話に厚みがあって、BL芥川賞に大いに納得。この重たさがいい。後半の脆弱な詐欺師なんかとてもよかった。続き期待。
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人が人を好きになるきっかけって、こんなもんだよな。と気付かされました。自分にとっては何気ないことで他人にとっては特別だと思えたら、それはどんな形にせよ恋なんだと思う。BLノベルで刑務所ものは結構読んだけど、何度も同じページを捲ったのはこれが初めてだ。
七青
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『箱の中』『檻の外』二冊で完結します。これがBL小説なの!?と、クオリティの高さにびっくりしました。堂野があくまで普通であるのに対し、喜多川の変人ぶり。妙な言動、強い執着、そして脆い感情。わたしは喜多川が大好きでした。喜多川の一生を見守れて、幸せでした。
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喜多川が子供みたいでいとおしいです。みたいでと言うか、実際中身は子供なんですよね。
堂野から与えられる様々な言葉や感情が少しづつ喜多川を変えゆく下りの喜多川の戸惑いや奇行がとても好きです。
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至極、普通の人生を歩んできた堂野が、ある日冤罪をかけられて刑務所へ入るところから物語りは始まります。冤罪という現実に苦しみ壊れていく堂野。その堂野の心を繋ぎとめたのは、愛されたこと、人の優しさに触れたことのなかった喜多川という男でした。はじめて人から駆け引きのない優しさを受けた喜多川の、一途すぎる思いは見ていて無意識に涙が出るほど切なく思いました。これはぜひ、続編「檻の外」と一緒に読んでいただきたいです。