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単行本刊行時には『うたう警官』だったという本書。文庫化にあたって改題されたのだが、『笑う警官』と言われればマイ・シューバル&ペール・ヴァーレーのマルティン・ベックシリーズの有名な一冊を思い出す人が多いだろう。確かにその経緯があとがきで書かれ、オマージュとして改題したともあるのだけれど、ではこの物語で「笑う」がテーマなのかと言われれば首を傾げる。やはり「うたう」ことこそが主題だろう。安直な改題という印象分だけ★ひとつ減。婦警殺しで交際相手の警察官への射殺命令が出ることが唐突な気はするが、考えなしに組織改変されることの苦労は身に染みているのでその辺りは実感。地味な捜査と派手な命令の間で少しバランスの悪さは感じるが、自発的にチームに加わる人々の短いリミットの中での地道な捜査ぶりには好感が持てる。というわけで★3.5だけどおまけして★4にしときます。
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2007/8/24 ジュンク堂住吉シーア店にて購入
2008/1/18〜25
札幌市内のアパートで、女性の変死体が発見された。女性はミス道警にも選ばれたことのある水村朝美であった。容疑者は水村と交際していると思われた津久井巡査部長。最初に捜査をした所轄の佐伯警部補達は、本部に捜査権を奪われてしまう。津久井には覚せい剤、拳銃保持の疑いもかけられて射殺命令がでた。佐伯はかつておとり捜査の相棒であった津久井の無実を信じて極秘に捜査を開始するが。
今野氏の安積班シリーズとはまた違った警察小説。ネタばれになるので詳しく書かないが、最後の数ページの緊迫感は見事。また、必読の警察小説が増えた。
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16時間のタイムリミットの中で、えん罪で射殺されようとしている同僚を救うため、警察組織の中に秘密の私的グループが結成されるという、非常にあり得ない設定でありながら、高いサスペンス性に引っぱられて読み進める。主人公はほとんど活躍せずただ電話を持って指示するだけ。なのに存在感がでかい。手足となって働く仲間たちがそれぞれ個性的で魅力的。映画化には最適の一冊。キャストが楽しみだ。
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何よりも、これ文庫版になってタイトル変わったそうですが、作者も担当もアホかと思いました…もとは「うたう警官」だったらしいが、笑うにしたことで内容とまったく関係なくなった。しかも理由が映画化にあたってわかりやすいように?ポリシーないのか。呆れた…話がそこそこ面白かったから余計に…(-_-#)それだけで星1つ減点!
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面白かったです。まず始めにこの小説はフィクションなのかノンフィクションなのか・・・その辺がよく判りませんでした。解説を読むと元になるノンフィクションがあったそうです。内容的にはまあこんなもんかって感じでした。
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不祥事を隠蔽、無実の罪を着せようとした上層部からかつての部下を救いだし、真実を明らかにしようとした即席チームの物語。
最初から最後まで、緊張の連続です!
しかも、実際の事件をモチーフにしているので、リアリティも抜群です。
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道警警官全てに出された一人の警官の射殺命令とそれを阻止しようとする有志の警官数名との対決を描いている見事なサスペンス性を持った作品です。
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おばちゃんが食べ放題のときにもってる皿みたいな感じ。
一冊の本におもしろさが詰まってる。
ただ盛りすぎでお腹いっぱいって感じも・・・。
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北海道県警の汚職と腐食
その告発(告白)
題名のつけ方がうまくて引かれたけど
現実に起こっているだろうし起こりそうな題材のわりに
やはり作り物・・・と言う感じがしてしまう所があった
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2008年59冊目
佐々木譲さんの道警シリーズ第1作。来年には、映画にもなります。同作の監督でもあり、版元のオーナーでもある角川春樹さんは佐々木さんにシリーズ10作まで、書くように叱咤激励しているそうです。
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すっかりはまってます。面白いですよ。
バスの待ち時間の合間を縫って古本屋に行きそこの在庫一掃してきました。う〜ん。警官の血は自分で買うかなあ〜
組織がらみの犯罪の隠蔽工作。よく聞かれる話ですが実際よくあることなんだろうと思います。犯罪とまではいかないレベルですが大なり小なり組織と名のつく団体には何かしら不正がついてくる感はあります。ただそれを権力のある公的組織が行うのは問題ですよね。今の日本の公的機関に自浄能力はあるのでしょうか。その辺りは大分不安になります。
北海道警察のお話ですが深読みしても面白いし、ただたんにストーリーとして読んでも面白い。それにしても佐伯さんは切れるなあ〜。この人捜査は不慣れってのはちょっと信じがたいかも(笑)面白かったです。
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北海道警察の裏金疑惑で証人となる予定の警察官(うたう警官)に対して、婦人警官殺しで射殺命令。潔白を証明するためのタイムリミットは16時間。
推理小説的には見え見えの真犯人で、主人公だけが最後まで見ようとしない立場を貫くあたりに少々作りすぎの感はありましたけど、迫真の展開で最後まで一気に読ませてくれました。
(2008/12/26)
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札幌市内のアパートで女性の変死体が発見された。容疑者は元交際相手の巡査部長・津久井。異例の射殺命令までもが出たこの捜査方針に違和感を感じた警部補の佐伯は、信頼できる仲間を集め独自に捜査を行う。北海道警察内部の思惑に踏み込んでいった彼らが知る真相とは…。
翌朝までに事件を解決しなくてはならない理由が佐伯たちにはあるのだが、まるで24-twentyfour-のようなスピード感は◎です。
ただ、感じてほしいのは、1人称と3人称の使い方のうまさ。
簡単に説明すると、それは、電話で端的に出る“うまさ”だ。
隣で誰かが電話を始めるとする。
現実では、隣にいる人物の話しか聞こえない。
だが、小説では電話の向こう側にいる人物の話す内容も
「カギカッコ」にて表現するだけで、簡単に伝えることができる。
だが、現実では、そんなことはありえない。
電話を切ったあとに内容を伝える工程が必要になる。
作者は、電話のシーンで相手側のセリフを書かず、
こちら側の人物のセリフだけを並べる手法を取る。
作者が誰の目線でこの小説を読んでほしいのか、
どこが重要で、どこが重要でないかを伝えられる。
とても手っ取り早く、そして高度なテクニックだ。
その目線で読むからこそ、ラストに向けて、
事件のナゾをともに共有することができる。
話題の佐々木譲さん。
初めて読みましたが、内容よりも、そのテクに驚きました。
道警シリーズまた読んでみます。(泉)
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後半になればなるほど、読み進めたくなる作品。
途中で辞めるなんて到底出来なかった。
最後は一気に読んで、その展開にドキドキさせられた。
人情で動く現場と、言い方は悪いけど嫌みと建前の上層部。
どっかで見た構図だ。
それでも面白いと素直に思える作品。
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立て続けに佐々木譲を読んだ。「組織に潰される個人」を好んで描くようだ。
ちょっと無機質すぎるぐらいの文章だが、雰囲気がある。本作でも、安田の淹れるコーヒーが芳香を運んでくる。
ITに強い婦人警官(という設定は地味に新しい)小島の存在感もいい。
『うたうことだけは、許せないんだ』
という男はしかしチーム佐伯の密告者だ。ちくるという行為自体ではなく、警察組織への「裏切り」という結果に心理的抵抗の源があるのだろう。実際の警察官を私は知らないが、警察の内部告発は大変だと聞いたことはある。ちなみに、背景となっている郡司事件にはモデルがあり、舞台も同じ道警である。
『その目は佐伯に言っているようだった。
それがどうした?』
津久井を追い詰めた親玉ですら、組織にとっては駒に過ぎなかった。組織はどこまで還元したら個人に行き着くのだろう。それが見えないところが組織の不気味さである。
ラストは少しバタバタしてスッとは読めなかった。映像化した方がわかりやすいかもしれない。