紙の本
タイトルはやはり望郷が最適である
2022/04/10 22:24
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投稿者:カレイの煮付 - この投稿者のレビュー一覧を見る
第二次世界大戦終戦直後の中国大陸からの引揚者達の、筆舌に尽くし難い艱難辛苦が偲ばれる。平和に生きていられる現代を有難いと思う。
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新田次郎の戦争を題材とした短編を収めた一冊。
自身の戦後の引き揚げをもとに書かれたものだ。
新田次郎といえば山岳小説や歴史小説だが、この一冊も良い作品が沢山だった。
戦後の複雑な国際情勢や中国大陸の状況などが書かれています。
『夕日』と『生き残った一人』、『西沙島から蒸発した男』が良かった。
心に染みます。
収録作
豆満江
望郷
夕日
七人の逃亡兵
生き残った一人
西沙島から蒸発した男
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小説は、延吉捕虜収容所での生活がメイン、軍人では無かったが技術者であったためラジオを直す仕事が主であったようで、およそ過酷な強制労働は体験していないが、それ相応の苦しくて辛い体験をしているのです。
この小説を他人事のように読まないと辛くて泣けてくる、感情移入すると読めません。
『栄養失調は伝染病ではないけれど、伝染病のようなかたちで、蔓延していった。死者は毎朝何名か出た。その死者を運んでいった男が翌日にはもう動かなくなっていた』・・・。でも目を背けてはいけないと思い最後まで読みました。
およそ先人たちの辛苦を経験した事が無く、ぬくぬくと育ってきた我々世代こそが語り継いで、今を生きる継承者がより良い時代を造る責任があるのではないかと思いました。