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全体的に古臭くていまいちだが、「えらい人」は良かった。主人公の少年目線を通して間接的に周囲の人間を描写することで、かえって人間心理がぐっときた。
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一日一話で時間をかけて
8話の短編集。8話目は飽きて読まなかったが、7話を読み切った。
普段ならさくっと捨てるんだが、今回は「そのうちいいのもあるだろう」と怠惰に続けてしまった。
愛するサンショウウオが実は教え子に食われていたというオチが光る「逃亡癖」というラス前の作品がけっこう印象に残ったが、後はイマイチ。残念だ。
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城山三郎の短篇集。一篇目の展開から、ミステリになるかと思っていたら、純文学でした。
ジャンルとしては、サラリーマン文学というような、被雇用者の悲哀であり板挟みでありというもので、開高健や源氏鶏太と似たようなジャンル。開高健ほど毒を食らわば皿までという開き直りはなく、むしろどの作品も、盛り上がりで殺されかけたり、一生強請られかけたりと、ミステリに入っていく要素が強い。その後どの作品も、「改心したようでよかったね」となるのは、時代が違うということか。
書かれた時期は戦後すぐなのか、「四十六万円、リベートは1割として四万六千円。給料よりも高い」「五千円という大金は痛い」など、金銭感覚が今ひとつピンとこなかったところは地味に引っかかったが、幕切れ部分以外のストーリー展開は、どの作品も秀逸であります。