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本当にアホな戦争をしたものだ。
昭和史を振り返ってみれば、当時の政治家の愚かさや見識のなさがよく見える。
著者のこの本はとても分かりやすく解説してくれる。
あの戦争でどれだけの人が死んだのか。祖国のためと死んでいったのだが、本当に死ぬ価値があったのか。
怒りさえ覚えてくる。
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ある意味禁断の昭和史を非常に分かりやすく解説している。
これなら、中学生の教科書としても使えるんじゃないかな。
日本の軍部が如何に傲岸不遜で無能であたっか!
日清、日露の勝利は僥倖であったと言えば、言い過ぎかもしれない。
確かにあの2つの戦争は、国運を賭けて国民が一体となって闘った上での
勝利であるし、落とし所を弁えた結果だと思う。
然るに、第二次大戦はそういった一体感や危機感、先見性が全く見られない。
本書は、いまけなしあいおしている2大政党のお歴々に読んでいただきたいものだ。
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高校で日本史は高1までしかやっておらず(※高2から理系コースだったから。。)危機感を覚え、また現代史を理解するためにはここから勉強する必要があると思う中、
生協で見つけたこれを購入。
はじまりは日露戦争からである。その勝利(と言っていいのか分からないが)が何をもたらしたのか?から話は始まる。そこから、軍部・政府・天皇(側近含)の
3軸で昭和の最初が展開されていく。
この本のテーマを一言で書くとするならば、「日本での組織が腐敗するとどうなるのか?」である。度々この本に記述される、自己過信を起こした軍部・政府が、
「自分達に都合の悪いことは起こらない前提とする」考え方を元に何度も重大な決定を狂わせていく。
ドイツが、イギリスを打ち破りソ連をコテンパンにする、という目論見で方針を正式に閣議や議会で決定したら、
その日の前後にすでにドイツが敗れている。など誤った判断どころではない、判断が全てを狂わせていく。。
著者が結びで書いていることを引用する。(P.507)
「日本をリードしてきた人びとは、なんと根拠なき自己過信に陥っていたことか、(中略)その結果、まずくいった時の底知れぬ無責任です。
(中略)今の日本人にも同じ事が多く見られて、別に昭和史、戦前史というだけでなく、現代の教訓でもあるようですが。」
現代に何となくでもいいから疑問を持ち、それが官僚や政治家・政治システム・企業などの組織のせいだと思う人に、是非とも一読をお勧めしたい。
そこから、だから組織が悪いと演繹してくるのではなく、じゃあ自分はそこにどう影響しているのか?を考えられれば良いのではないだろうか。。
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具体的で、そして、リアル。歴史系の本は、堅苦しい文章のものが多いが、これは文芸春秋の編集出身の著者が、一部で口語体を交えるなどして、できるだけ多くの人に伝えることを目的として書かれているのだと思う。ノモンハン事件に対する見解など、一部で偏りがあると思われる部分もあるが、極力、双論併記にしてあって、客観的で、頭にすっと入ってくる。ファクトに基づかない思考による現実逃避など、現代の経営に対しても示唆がある。
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歴史を誰かが語る時点で、それは完全な史実ではなくなる。主観がどうしてもはいってしまう。
私は著者の主観(とくに日本軍をボロクソに言うところ)は好きなので、この本は評価したい。
勿論、この本だけで戦前をすべてを理解したつもりになるのは危険である。
他社の語る昭和史も是非読んでみたい。
そういうきっかけをくれた本としても、やはり評価できる。
(さらに言えば、どれもこれもバカ高い平凡社ライブラリーの中で、とても手が出しやすい価格帯であるのもよい)
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新書ばかり読んでいて久しぶりの重厚な本
日本史は全くもって勉強していなかった(興味がほとんど
無かった)ので、恥ずかしいことに本書に書かれている
ことのほとんどを知らなかった。
通史としては秀逸だと思う(他の著書を読んでいないので
偉そうなことは言えないが・・・)
「起きて困ることは起きない」
今の日本人がしっかりと戒めとしているのだろうか?
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9月12日読了。第一次世界大戦直後から第二次世界大戦終焉までの「昭和の日本」を説明する書。実際の講義から本にまとめたものであるようで、語り口調で読者にやさしい。第一次世界大戦でのドイツの敗北とナチスの台頭から第二次世界大戦の勃発、日本による満州支配・盧溝橋事件・二・二六事件から日本の参戦・敗戦と昭和の全ての出来事は互いに密接な関係があり、歯車のようにかみ合って歴史を動かしてきたのだなということが分かる。昭和に起きた数々の出来事を今もって把握し位置づけることが困難なのは、当時下されたであろう数々の判断の真意がつかめなかったり、国民の熱狂に押されあり得ない決断が下されていたりすることにも一因があるのだろう・・・。著者は昭和天皇擁護派かつ小泉批判派なのか?著者の意見めいた記述には若干違和感も覚えるが、まあひとつの情報としてこの本の内容を捉えればよいこと・100%の盲信は何に対してもあり得ないということだな。
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もともと日本史の知識がないので、人の名前がいっぱいで困難中。 今ちょっとお休み中です、また余裕で来たら読もうかと( _ _ )
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昭和20年までの昭和史を「語り部」である著者が丁寧に語りかけてくれる一冊。
昭和の歴史を作った人々の証言や著作をもとに、非常に分かりやすく日本の起こした過ちを綴っている。私は日本史が苦手なほうであったがそれでも大筋の流れを追うことができた。(登場人物や役職名などが多く、難しいがこれは理解するうえで避けては通れない身なのでしょうがない。)
著者が提示した5つの教訓や「全ての大事件の前には必ず小事件が起こるもの」という訓示は現代にも通用する日本人の弱さを表していると思う。
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昭和史に馴染みのない人にとっても読み易く分かり易い。毎日出版文化賞特別賞受賞作品。
日清戦争、日露戦争に勝った日本がどのように大正・昭和(1926-1945)の時代を駆け抜けていったのか、
満州事変をスタートとして、太平洋戦争まで激動の時代を著者が分かり易く語ってくれる。
著者が語っているように、「歴史とは何かを考えることは、つまり、人間学に到達するのである。」「・・なんと多くの教訓を私たちに与えてくれるのかがわかる・・しっかりと見なければ見えない、歴史は決して学ばなければ教えてくれない、ということであると思います。」
まさに、私たちはこれからの時代、自分たちのために歴史の教訓を学び、役立てていかなければならないと痛感する。
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63年におよぶ昭和史を戦前・戦後に分けた内の戦前版。話は張作霖爆殺事件から始まり、太平洋戦争の降伏文書に調印するところで終わる。
面白い。面白く読みやすく内容も濃い。500ページ以上あると思わせない。
通読してみて感じたことは、あの戦争はある種運命的、必然的なものだったのではないか、ということ。それぞれの場面での小さな判断が積み重なって、結局勝ち目のない戦争に突入してしまった。誰もが(軍部までもが)負けるとわかっていたのに。
あの戦争が「侵略か自衛か」は現在もそしてこれからも永遠に議論され続けるであろうが、結論としては「どっちの面もあった」としか言えないだろう。明らかに軍部が暴走したのも事実であり、アメリカも日本と戦争したくて追い詰めたのも事実。どっちにとっても正義があったのだ。
それゆえ確定的な歴史観がない昭和史には慎重さ、客観性が求められる。日本・アメリカそれぞれの都合の悪いことを書かなければどちらを正当化するのは容易いからだ。
本書のスタンスとしては著者が司馬遼太郎と親交が深かったかことからも伺えるかもしれないが、まとめとして「それにしても何とアホな戦争をしたか」の一言に集約されるという。「そういう視点で見てるんだなぁ」とかまえて見る必要がある。
「歴史は教訓」。100パーセント本書の内容を信じるのはあまりに危険であるが、歴史の一面を捉えているのは間違いない。得たものはたくさんあった。お薦め。
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KiKi には子供がいないので、昨今の学校教育で歴史がどのように教えられているのか知る由もないのですが、少なくとも自分が学生だった時代には「昭和史」というのは「受験に必要な最低限の事件の名前と発生年、その概略のあらまし」のみを覚えるもの・・・・・・という位置づけだったと思います。 だから、この本の裏表紙に書かれているような「通史」としての理解とはかけ離れたものが昭和史の理解だったと言っても過言ではありません。 大人になってから「これじゃいかん!」と幾つかの本を読んでみたことは何度もあるのですが、多くの場合それらの本も1つ1つの事件(そこそこの期間を取り扱っていたにしろ)に主眼が置かれているため、更にはそれぞれの本の著者の私見に振り回され、「あっちの本ではこう言うし、こっちの本ではこう言うし、結局のところどうだったんだ?」と悩まされることが多く、正直なところ「さっぱりわからない!」というのが未だに KiKi の昭和史理解レベルです。 そういう意味ではこの本は頭の中を整理するのにはとても重宝しました。
現在販売されている様々な昭和史関連の書籍の個別タイトルとして、終戦記念日をはさむこの時期に放映されるTV番組の個別タイトルとして、歴史年表の1行の記述としてのみ頭に残っている様々な出来事がどのような因果関係にあるのか・・・・とか、そこでどんな人たちが何を考え、悩み、決断し(もしくは決断せずに)1つ1つの事件が発生したのかの概略はだいぶすっきりと整理できたような気がします。
欲を言えばこの本では、それなりの状況説明として当時の中国の状況やらソ連の状況、米英のスタンス等々に関してさらっとは書かれているのですが、ちょっと深みが足りないかな・・・・という印象です。 KiKi は当時の日本人が犯した様々な過ちを正面から見据える必要があるだろうとは思っているけれど、少なくとも戦争に至る道には「日本が単独で原因を作った」要素もあったかもしれないけれど、「相手があって、当時の価値観があって、自ずとできあがっていると見えた道程」みたいなものもあったはずだと思うのです。 そこをきちんと理解しなければ反省も学ぶこともできないのではないか・・・・・と。 もちろん KiKi は「当時の日本人は決して間違ってはいなかった」とは思っていないんですけどね。
(全文はブログにて)
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史観というものは当然個人差のあるものなので、実際どれが真実なのかはわからないが、筆者は司馬遼太郎と親しかった事もあって「坂の上の雲」と基本的な線は共通している。特に昭和史において大きなウェイトを占める、日中〜太平洋戦争における軍部の腐敗と独走については非常に近い意見のようだ。日清、日露戦争の戦勝からきた驕りや精神至上主義が、現実的な対応ができない日本軍を生み出したのか。人間は失敗からよりも、成功から学ぶ事のほうが却って難しいのかもしれない。そして歴史の中では軍部だけが暴走したように描かれがちだが、マスコミも、国民も、程度の差はあれども同じように踊っていたのではないだろうか。後から批判する事は容易いが、そこから教訓を得なければ、また同じ過ちを繰り返すだろう。
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優しい文体でわかりやすく複雑な昭和史を描き出している。日本が戦争へと向かっていく無責任な人々の様を、そしてそれに巻き込まれていく人々を取り巻く空気を理解し、感じ取ることが出来た。読んでよかった。この本に出会えて本当によかったと思った。戦争の残酷さを学ぶと共に、何故戦争へと突き進んでいったのかを学ぶことが大切である。危ういこの国に、再び道を誤らせないためにも、明治から昭和への歴史をもっと学びたいと思った。
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「起きると困ることは起きないことにする」
この本を読んでいないと、「日本人はラテン系か?」
と思わせるが、坂を下り落ちていった昭和の戦前40年を
追ってみると、最終的な結語として「もっとも」と納得させられる。
自分の人生も下り落ちていかないように、
肝に銘じておきたい重い一言。