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タイトルから今の世の中への批判満載な内容なのかと思っていたがそうではなかった。
精神科医であるがゆえに、現代の困った人々のこころを冷静に捉えていると思う。思わずドキッとしてしまうような指摘が多々あった(つまり自分も困った人々の一員)。
対象喪失を受け入れられないことで成熟拒否を起こし、ひきこもり、他責的な性格、うつへとつながる。そしてその根本には幼児期での自己万能感がある。誰だって自分だけが(は)常に正しいと思いたいし、思っている。問題なのは、問題の起こったある時において喪失を受容できるかどうか。「受容」に至るには、否認や怒りを含めた辛い過程をたどる必要がある。でもその一つ一つが現実と向き合っていくことに他ならず、そして自分以外の誰しもが同じ経験を経ていくものだと認められるようになれば、それが成熟するということなのかもしれない。
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成熟拒否、自分自身はどうだろう。そうしなければならないときには断念できているだろうか。何かをあきらめる、断念するときには、何らかの痛みが伴うけれども、その痛みを受け入れたくないがために、いつまでも、何かにしがみついていることはないだろうか。そして、いつまでたっても、成果を手に出来いないことがあったとして、それを周りのせいにしていないだろうか。
http://glorytogod.blog136.fc2.com/blog-entry-961.html
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タイトルにはひかれたが、やや期待外れか。
まともに勉強したこともないので間違っているかもしれないが、心理学の教科書に出てくる定説を順番に紹介しているだけの様な印象。
フロイトをそこまで取り上げるか。なぜマイケルジャクソンをそれほど詳しく例として紹介するか。
総論として成熟拒否の子供、そのまま育ってしまった大人が増えているのは間違いなかろうが、それをだらだらと紹介しているだけという印象。
たとえば親として、兄弟として、上司としての具体的な接し方などをもっと紹介して欲しいと感じた。
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現代日本人の蝕む3つの病理「打たれ弱さ」「他責」「依存症」について。その主たる原因はこれも現代日本を覆う「自己責任」に端を発すると説く。
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「打たれ弱さ」「他責的傾向」「依存症」という三つの問題の根源に横たわるのは同じ病理であるとして、「成熟拒否」の人々、「対象喪失」をきちんと受け止められない人々が増えているという近年の社会現象を、精神科医の立場から読み解いた一冊。このような社会を「一億総ガキ社会」とばっさり切り裂く著者についても興味が湧いた。
(要旨)
著者(精神科医)が最近の臨床現場で感じている、三つの特徴的な傾向がある――1.ひきこもりの増加にみる打たれ弱さ、2.何でも他人のせいにして切り抜けようとする他責的傾向、3.覚せい剤や合法麻薬などにすがる依存症の増加……。これからの根源に横たわるのは、実は同じ病理である――いずれも、「こうありたい」という自己愛的イメージと、現実の自分とのギャップが大きすぎ、ありのままの自分を受け入れられないのである。「自分は何でもできるんだ」という空虚な幼児的万能感をひきずったままの若者・大人の増加。その「成熟拒否」の背景には、親の過大な期待と、現在の幼・青年期には失敗や喪失体験が少なく、精神分析でいう「対象喪失」が機能しなくなっていることがある。本書では、臨床例・事件例をもとにこの問題を分析。喪失を受けとめ、地に足のついた真の再生を果たすための処方箋を示す。
子育てや教育は、「いかに失敗させるか」ということがとても重要であることを再確認。チャレンジを推奨して、一方では失敗した時のケアをしてあげる大人の存在が必要不可欠。
日本社会全体的にトライ&エラーができ易い教育の仕組みを構築することが急務なのだけど、なかなかそうはならないのが日本社会のメンタリティの部分での根深い問題。
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引きこもり、他責性、依存症。これらは成熟拒否、つまり諦めることを覚えずに大人になるということ、により引き起こされるらしい。
中々面白かった。人生において諦めることは非常に重要なのかもしれない。最大の諦めは「死」であって、昔はそれが身近にあったが、最近は医療も発達し核家族化も進み「死」が非現実的なものになったので、失うことの経験が無くなったという。
最終章でいきなり小話みたいな変な展開にしていったのが、残念だった。
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乱暴なタイトルで自己満足的な展開になるのかと思ったが、実は精神科医によるキチンとした分析本。
キャッチーなタイトルも善し悪しあるな。
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何かを諦める難しさ、について考えさせられました。私自身、常に「もっと自分はいろんなものが得られる」という諦めの悪さに苦しまされています。大人になる、ということは可能性を喪失することだ、と誰かが言っていたことを思い出しました。まあこじつけに思えるところもなきにしも、ですが、今の「夢や希望」を持つことが無条件に賞賛される社会の気持ち悪さを感じました。
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エリート精神科女医が現代人の病巣を明快に説明していて痛快な良書です。引きこもりも、薬物中毒のジャンキーも、切れキャラのモンスターペアレントも病因は同じだと指摘する。これらはみな傷つかずに育ったマザコンで いわゆるI love me!のうたれ弱い現代人が自己防衛反応として起こしているという。 私たちは様々な困難や失敗をして傷つき、克服し大人になっていく、このプロセスを妨げる過保護が根底にあり この過保護な親のことをカーリングペアレントと呼ぶらしい
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自分自身、甘ったれてばっかだなあとずっと理想と現実のギャップに悩んでる。
どうやったら理想の、なりたい大人になれるのかを知りたくて手に取った本。
大人になることは何でも出来るようになることじゃなくて、何でも出来るわけじゃないと認めていくことなんだ。と納得。
ガキのわたしには、耳が痛いことばかり。
処方箋は、失敗したときに他人の所為にせず敗因を分析し自分で起き上がることを何回も練習する。
具体的にどうしたらいいのかまだわからないけど、それを簡単に言葉で解答できたら一億総ガキ社会になんてならないか。
うーんがんばってみようかな。
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ひきこもり、新型うつ、モンスターペアレント、モンスターペイシェント(患者)・・・
「成熟を拒否する」彼らは、なぜ急増したのか?
そこにある精神は、
「自分とは本来、これだけ素晴らしい自分である」という自己イメージを
「あきらめ」られず、
悪いことは「他人のせい」と決め付ける=他責傾向。
そういったことを根源としている。
たとえば、ひきこもり。
「偉大なる自分」という自己イメージを、
部屋にひきこもり、他者との共存(競争)を拒否することで、
守っている。
モンスターペアレント。
「完璧なる我が子」が、悪いことをするはずがない。
何か問題があれば、すべて学校、教師のせい。
そういった精神が、今の、「打たれ弱さ」「他責傾向」「依存症」という人々を
生み出している。
著者は、その原因に、「対象喪失」する機会の減少を上げています。
それがゆえに、
子供の頃抱いた、たとえば、「プロ野球選手になりたい」「スターになりたい」といった
「偉大なる自分のイメージ」を「断念」することが出来ないまま、
身体だけが大人になってしまい、
現実との齟齬を受け入れられない精神が、
「打たれ弱く」「他責傾向」で、「依存症」のある大人を生み出してしまう、とのことです。
では、どうすればいいのか?
「断念する」ことを、知る。
それが、著者の結論です。
「プロ野球選手にはなれない」「スターにはなれない」
「断念」を知り=対象消失を受け入れる、
そこから、地に足のついた「大人」への階段が始まる。
それが、著者の結論でした。
論法としては、理解しやすいです。
「そのように説明されれば、そのような結論が出るのもうなづけます」
という、感想は持ちます。
ただ、その結論を自分自身が納得して受け入れられるか?
というと、
うーん?
と、いったところ。
まず数ページを読んで思うのが、
「著者は一体、何故こんなにも怒りに満ちているのか?」
ということです。
タイトルからして「ガキ社会」ですから、
最初からそういうテンションです。
ただ、読み進んで行くうちに、
大人と呼ばれる年齢の人たちの、
精神的な大人になりきれていなさ、
というのは分かりますので、
怒りのテンションも、受け入れて読めるようになりました。
ただ、最初から最後まで受け入れられなかったのは、
「私たちは、偉大なる自己イメージなどを内包しているのか?」
ということです。
「なんでも出来る」「なんにでもなれる」という万能感より、
「何も出来ない」「何をしてもムダ(むくわれない)」
そんな状況で、もちろん「夢」なんて描けない。
なりたい自分もない。
それがゆえに、何もする気になれない。
そういう無気力感に支配されている人の方が多いように感じる���ですが・・・。
そういう「無気力」時代を書いた本もたくさんありますので、
この本は、それとはまた違った角度から見た
「現代の大人になれない大人」を書いたものとして読むにはいいかもしれないですね。
著者は精神科医で、診療も行っています。
最近の、
「自分が仕事で失敗したのは、会社、上司のせい。
そのせいでうつになった。
仕事に行こうと思うと、身体が動かず、遊びには行ける」
そういった患者に怒りをもつのは分かりますが、
この著者の元には受診しに行きたくないな、とは思います笑
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対象喪失。成熟拒否。
死亡体験の欠落と、死に対する救いの消失。
欲望を諦めさせてくれない消費社会。
パーフェクトチャイルド、パーフェクトペアレント。
幼児的万能感。
否認、怒り、取引、抑鬱、受容。
キーワードの多い本。
若干引用が多い気もするが、今の社会を見るに、良い入門となると思う。
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「スゴイ自分」を捨てきれない大人が増え続ける日本社会に警鐘を鳴らす。ちょっと前にそこそこ話題になった本。
ひきこもりやモンスターペアレントや依存症患者は「あきらめる」ことができないという点で同じであり、彼らのような人が増えた背景には、「あきらめるな!」というメッセージを発し続ける社会の影響があるというのが主な主張。
ちょっと言い過ぎな感じも受けたけど、なかなか納得できる本だった。「『あきらめない』のであれば、当然、そのために重ねるべき努力も、あがくことに伴う苦悩も、失敗したときに味わう絶望も、引き受ける覚悟がなければならない」という著者の言葉が重い。
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・3/6 読了.確かに成熟するということは難しいし一部の人達には環境的にも境遇的にも無理があることは想像がつく.人類皆が総じてできることではないだろうから、これも現代病の一種としてあることを前提とした社会を作っていくしかないのかもしれない.過去の時代に戻ればこういう病はなくなるかもしれないが、それは解決策とは言わないだろうし.
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モンスターペアレント、モンスターペイシェントの生まれる過程を社会の移り変わりを交えて説明していく。
第4章は哲学的な内容が続いてどうも苦手だった。