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紙の本

植草甚一が生きていたら、このような本をつくらせなかったのではないかと思う

2010/01/17 19:33

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:本を読むひと - この投稿者のレビュー一覧を見る

 キング・ヴィダー論があるので読んでみた。植草甚一は以前、単行本でかなり読んでしまったが、最初に読んだのは、まだ彼がそれほどの人気はなかったろう1960年代、映画雑誌のなかでだった。
 たぶん『映画の友』連載の評論で、ベルイマンの『野いちご』評や、ジードの『パリュード』などにふれた言葉が妙に記憶に残っている。面白い文章なので単行本に収録されていると思うが、70年代になって何冊も植草本を続けて読んだとき、そういうことが頭にあったかどうかも忘れてしまった。ともかく、植草甚一自体をもうずっと読んではいない。
 ところで本書は、1950年代を中心に『スクリーン』(刊行元から発行されている雑誌)に執筆したものを集めたものだが、これまでの単行本には収録されていないものが多いのだろう。晶文社刊〈植草甚一スクラップ・ブック〉の担当編集者の能力を信ずるとすれば、面白かったら収録されていたはずである。残念ながら本書収録の映画監督論には、つまらないものが多い。
 特に目当ての「映画芸術家研究 キング・ヴィダー物語」は海外資料を参考にしただけらしい初期ヴィダーの軽い伝記風よみもので、しかも連載2回だけで終わっており、新しい本に収録する価値があるとは思えない。
 この本のなかで面白いのは「ウィリアム・ワイラーと話した五分間」である。来日したウィリアム・ワイラーに植草甚一が英語で話しかけて通じない。
 順番に並び、植草の番のところで簡単な挨拶のあと、「あなたにお会い出来るなんて夢にも思いませんでした」(〔ルビで〕アイ・ネヴァー・ソウト・アイ・クッド・シー・ユー)と言う。ワイラーは《ちょっと頭をかしげて、かがみ込みながら『えっ』といったような顔をする。》だが著者がもう一度、元気を出して同じことを言うと、《今度は分ったとみえ、すぐ、『スプレンディッド!』と大きな声をだして、笑顔を》見せる。
 パーティーの会場で植草甚一は、もう一度ワイラーに話しかける。
 《『ワイラーさん、一つ質問があるんですが』(ミスター・ワイラー・アイ・ハヴ・クエスチョン)と言ってみたが、全然通じない。同じ言葉を、もう一度出来るだけハッキリ発音してみたが、やっぱり通じない。情けなくなったところ、そばにいたパラマウントの外人が『クェスチョン』と言い直してくれたので、どうにか通じた。》
 そのあと二人はかなり専門的な映画の話に打ち興ずる。
 植草甚一は10代のころから英語のすごい本(たとえば私など、この年になっても歯がたたないヘンリー・ジェイムズの「ジャングルの野獣」など)を読んでいたことをどこかに書いており、読む能力にかけては抜群だと思っていた。
 だが単語の発音のせいでアメリカ人とは通じない顛末が、このワイラー論に描かれていて、その意味では面白かった。
 だがこのエッセイが単行本では初めてであるのかどうか、そうしたデータが本書にはないので、今までの植草甚一の本を調べないと分からない。ヒッチコックについても、この本には、悪くないエッセイがある。
 ワイラーやヒッチコックについての比較的面白いエッセイは、すでに〈植草甚一スクラップ・ブック〉に収録済みかもしれない。だがそうした面白いエッセイがあったからといって、この新刊を評価できない理由はいくつもある。第一に、前述したように単行本収録は初めてであるかどうかなどのデータがない。第二に、本文の記述とあまり関係のないスチール写真は、意味がない。第三に、『ぼくの採点表』と対照的だが、ページの余白が多すぎる。
 各評論の末尾に、初出の雑誌発行年月が載っているので、かろうじて救われている。
 本書を刊行した出版社は、自社の雑誌に延々と続いた双葉十三郎の連載「ぼくの採点表」の単行本化を、かつて自社ではできなかった。
 すぐれた編集者の努力によって、双葉十三郎の膨大な映画評(『スクリーン』以外に載ったものも含む)は理想的なかたちで分厚い何冊かの本になって、現在手にすることができる。
 残念な言い方になるが、本書をざっと読むだけで、『ぼくの採点表』を自社刊行できなかったことが、よく分かる。

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