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再読。エッセイ集。身の回りの些細なことを豊かな表現力で手渡してくれる。向田さんという人間に迫れそうで、でも真ん中の芯は上手に隠されているような、上手さがある。あとがきにもあるけれど、飛行機の描写が出てくると、本当に悲しくなる。
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向田邦子の本はこれが初めて
事象を観察して、的確な言葉で表現し、
ユーモアと鋭さを兼ね備えた文章に
ぐいぐい引き込まれた
「西洋火事」の、“「火事だろ」か「火事じゃねえかな」”のくだりは笑いが止まらなかったし
「少年」の、使用人の少年が、自分が引き受ける現実の理不尽さへの怒りをあらわに木を蹴る描写は、だった1週間の滞在でここまで少年の人生を立体的に捉えてすごいなと思う
面白かった
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歳月は、思い出の中に、記憶をパッチワークみたいにはめこんでしまうのである。
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« Le temps ajuste la réminiscence dans la mémoire comme un patchwork. »
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向田邦子の『霊長類ヒト科動物図鑑』を読んだ。
その前に、柴田元幸さんの本を読んで、翻訳って面白そうと思ったので、『霊長類』のなんでもいいから一文を仏文訳してみた。
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向田さんと言えば飛行機事故が思い出されるが、このエッセイ集の中でも、「ヒコウキ」というエッセイがあり色々思い返されてしまう。
最終の「1番病」というのの最後に、本当に怖いのは2番の人ではないかとある。1番は、軍旗を持って格好よく飛び出すが、タマに当たって壮烈な戦死を遂げる率が高そうだ。競輪でも、先頭切る選手は風圧でバテてしまう。最後に笑うのは、二番手につえておいて、土壇場で追い抜く人ではないだろうか。というのが面白い。
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図書館で借りた本なので、発行所:文藝春秋、昭和57年第11刷。
声を上げて笑いながら読了。観察眼が羨ましいです。でも、どう転んでも向田さんにはなれないか。
今まで、全く向田邦子さんの作品は読んでこなかった。これから全作品を読破します。
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航空機事故の直後に出版されたエッセイ集が本書。霊長類ヒト科、まさに人間の色んな側面を著者自身も素材にしつつ、綴っている。
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とりとめなく軽く書いている風ですが、短い文章の中に言葉が緻密に組み立てられていて、ユーモアと教養とセンスが詰まっていながらもチャッチャと進む(ご本人も’せっかち’だと何回も書いている)リズム感がある。やはり凄い人なんだと改めて思います。
一つの随筆中に三、四つの異なるエピソード構成の時は、「なんでこのタイトルになさったのかな」と考えられるので二度と楽しいです。
•助け合い運動 →同種が同種のお世話になる話
•知った顔 →知らん顔する時、知らん顔できない時
•いちじく →身近にあった、後からよさに気づく物
あの時代にこんなオープンな人間観察も面白いし、まだ珍しかったであろう外国への洞察も鋭い。
•ヒコーキ を読んで切なくなりますが、大好きなお父様が先にお亡くなりになっていてまだ良かったと思いました。(父親にとって愛娘の墜落事故死は辛すぎると思いますので...)
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向田邦子さんのエッセイは面白いなぁ。
30年以上前に書かれたもののようだけど、描写などは時代を感じるものの感覚は今と変わらない気もする。
各エピソードの最後の一文にグッとくるものが多かった。
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文春文庫
向田邦子 霊長類ヒト科動物図鑑
人間のささやかな喜びを探している感じのエッセイ。セリフまわしや場面描写がうまくて短編みたい
他のエッセイより、著者の作品に反映された 視点や生き方 が多く盛り込まれているように思う
「合唱団」の「絶対に目立ってはいけない。それでいて 絶対に手抜きをしてはいけない。個でありながら 全体なのだ」という言葉 や「一番病」の「最後に笑うのは、二番手につけておいて、土壇場で追い抜く人」という言葉は、組織社会での生き方をよく捉えている
「浮気」「丁半」の指摘はなるほどと思う。博打や浮気で 人生をダメにしてしまう人は、日頃 小さな丁半や浮気で 暮らしの憂さ晴らしをしていない人、とのこと。「人生到るところに浮気あり」は 名言だが、時代的には失言か?
昭和56年当時に「味噌カツ〜いまに日本中を席巻する」と目をつけていたのは さすが
豆腐
「古いカレンダーをはずして、新しいものに掛け替える〜過ぎ去ってしまえば、もはや思い出すことさえない時間と気持ちの積み重なりが、年の終わりの古いカレンダーなのである。取って置こうかなという未練を断ち切るように、すこし勢いをつけてくず籠にほうり込む」
助け合い運動
「なんのかんの言ったところで、年をとったのである〜老いの悲しみと屈辱のなかにも、ささやかな喜びはある」
引き算
「人間が小さいせいか私は借金が出来ないタチである。どんなに苦しくても隣からなど借りないで、自分の力だけで分相応に暮らしたい」
大統領
「到らぬ人間の到らぬドラマが好き〜欠点だらけの男や女の、すべった転んだが描けたらそれでいい」
安全ピン
「私は安全という字をうたがっている〜この二字がつくとかえって警戒して、気をつけなければならない」
孫の手
「男の一生として考えると、苦労の多い割には実りが大きかったとは言えない人生だったが、母に背中を掻いてもらって威張っていた父の姿を考えると、男としては幸せな人だった」
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これは、すべてのエッセイの原点ですね。向田邦子さんの文は、人間臭さに満ちていて、読んで良かったと、心底思える。涙あり笑いあり。
『無敵艦隊』『味噌カツ』は特に面白かった。
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昭和40年代に子供時代を過ごした私にはすり鉢を押さえるお手伝いなど懐かしく思い出されることも多かったです。言葉遣いが丁寧で、ご自身の考えがあり、とても頭の回転が速い方という印象です。「安全ピン」の件は笑ってしまいました。確かに!
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蒸して塩を少々、至ってシンプル。
優しい噛み心地なのにケモノ臭さを感じる複雑な旨みの骨付肉
って感じの内容。
しかし文体は夏の着物。籐の椅子。
さっぱり心地いい。
登場人物はその瞬間の主役。
矛盾を含んだ魅力的な人ばかり。
感情、匂い、肌触り、雰囲気、時代の空気までが文字に閉じ込められていて、読むとそれらがぱーっと立ち上る。
飛び出す絵本、いや、口の中でパチパチはじける駄菓子みたい。
どれも上質のエッセイだけど「浮気」「声変わり」が好き。
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いい。
僕の親の世代、僕が子供の頃、今、そして、不透明で先が読めない未来を照らしてくれているようなエッセイ。
僕より40年近く上の世代で、40年以上前に書かれている。
時代は移り変わろうと、変わらない「人の頭の中」というのもある、ということを、向田邦子さんは自身の苦い体験や失敗談をもって、読む人を笑わせたり、なるほど、と唸らせたりしてくれている。
昨日(元旦)から読み始めたこのエッセイ。
これからの僕に光を与えてくれる気がする。
このエッセイは、向田さんが飛行機事故で亡くなってから1ヶ月後に刊行された。
生きていたら、その先もどんなに素晴らしい脚本やエッセイを生み出せたことだろう。
とても地味だが、それぞれが普遍的な光を放つエッセイ集。
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せっかちで気にしい、辛辣なところにとても共感した。お父さんの話にはやはりイライラしてしまう。狭間の時代をとても感じられた。
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人間というのは滑稽で、ちょっと悲しい生き物だ。
そして、なんて愛おしいのだろう。
このエッセイは40年以上前に書かれたもので、昭和の暮らしぶりが伺える。
向田さんが幼少期の頃のエピソードもある。
生活スタイルは随分違う気がするが、人間の中身はあまり変わっていないようだ。
全52篇の中から少し紹介すると…
「寸劇」
来客の抱えている風呂敷包みの中身が気になって仕方ない。
決まり文句をいい、月並みな挨拶を繰り返しながらの名演技。
向田さん、うまいこと言うなぁ。
クスッと笑える。
「浮気」
大きなスーパーで買った食材を持って、馴染みの店の前を通る後ろめたさ。
美容院の浮気…
分かる、分かる。共感。
「泣き虫」
お父様が亡くなった時のエピソード。
たった数行の文章に泣かされてしまった。
向田さんの観察力はすごいなぁ。
ユーモアに溢れる軽快な文章は、時折読み返したくなる一冊。
こちらの作品は、shukawabestさんのレビューを読ませて頂き、素敵なエッセイだなぁと手に取りました。
ありがとうございます!!