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「均ちゃん」をめぐる3人(正確には4人?いや5人?)の女性がそれぞれ新しい道を切り開いていく過程が描かれていておもしろい。ありそうでなさそうな設定や、落ち着いた感じの文体も好み。
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失踪した均(きん)ちゃんの家に泥棒が入る。
本人不在のため、
関係者が集められるがそこに居合わせたのは。
元妻と彼女を含めた3人の女たち。
均ちゃんという共通点を持った3人が
箱根に不思議な旅行に出かける。
3人それぞれ、
そして均ちゃんからの視点から物語が出発する短編集。
放浪癖があって、
だらしがなくて、
お金もなくて、
自由奔放で、
でも憎めなくて、
妙な才能を持ってて、
タイミングが抜群なのに、
かわいそうな均ちゃん。
こーゆー人にきっと女性は弱いはず。苦笑
ってか、私が弱い!笑
本当に勝手な男なのにね、均ちゃん。苦笑
本当はもっと深くキャラクターを掘り下げてほしかったけど、
さっぱり読むにはこのくらいが丁度良いかも。
「信じられないわけでも、信じたくないわけでもないが、
信じて待つのはエネルギーがいる。
信じさせるにもエネルギーがいるだろう。」
きっと私は、薫に近いけど空穂が好きだし憧れる。
女は強い、と信じたくなる本!
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中島京子さん”均ちゃんの失踪”読了。ふらふら生きる均ちゃんと女性達のお話。ストーリーは、ありそうで無さそう‥無さそうでありそう‥普通っぽいけど、斬新‥すごいなぁ‥ユーモアとセンスの良さに溢れる文章も最高!超おすすめ!
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「今ここ」にいない人物である、情報で形作られていく「均ちゃん」。均ちゃんが縁で集められた「今ここ」から「その先」を見つめる三人の女性たち。
もどかしさやままならないところから、ちょっとばかし抜ける三者のエピソードが気持ちいい。
岡目八目、自分も端から見たら滑稽なんだろうと思うと、ちょっと楽になる。
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再読
ふらりといなくなった均ちゃんの家に泥棒が入り、均ちゃんの元妻とイマカノら三人が顔を合わせることに
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初めての作家さんでしたが、なかなか面白くて一気読みしました。均ちゃんと関わりのある3人の女性が、均ちゃん失踪中に急接近。ありそうでなさそうなお話に先の展開が気になってしまい、読む手を休められなかった。均ちゃんはダメ人間だけどなんだか憎めないなぁ~。最後はちょっとかわいそうだったけど、自業自得ということで。
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14/12/02
この世の憂さを忘れるには、目をつぶって寝てしまうのがいちばんいいと思っている均ちゃん。なんて掴み所のないだらしない適当な男なんだと思いつつ、なぜかきらいになれない。均ちゃんは優しくてかわいそうなひとだから。
景子先生の“筋金入りの楽天的思考”はいいなあ。すごくいい。
「みんな、いなくなる」
と、情けない声を出した。
「均ちゃんが悪いのよ」
空穂は均ちゃんの頭を抱き寄せ、自分の頬をくっつけて目をつぶった。
「均ちゃん、四ヵ月もほっぽっとくから、女はみんないろんなこと決めちゃったのよ」(P227 出発ロビー)
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肝心の「均ちゃん」は失踪しているので、登場シーンが少なめで、それがかえってこの作品を、男ひとりと3人の女という設定ながら、ベタベタどろどろした恋愛小説とは一味違ったものにしている。
会えない時間が愛育てるのさ~という昭和の歌謡曲があったが、会えない時間の中で女性達が変わっていく様が、心地よい。
振られ上手な男は、もてるだろうけど、本人はやはり悲しいのかもしれないな。
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失踪した内田均をめぐって、50代の元妻と二人の彼女、一人は均をセコンドと位置付ける30代の重役秘書とやや本気の20代のティーン向け女性雑誌編集者の奇妙な友情の物語。
やや、強引な設定なのですが、そこが何とも言えない可笑しみです。どこか一点をずらして話を進める。それが中島さんの面白さなのかもしれません。
三人とも最後は自分の道を進み始めるというごく普通の顛末ですが、軽く吹っ切れて行く姿に心地良さを感じます。
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初めて読んだ中島京子さんの小説。
読んでいておかしいんだけど、滑稽なんだけど、そこに人間の真理がある…と気づけばとても深い。
ふらりと家を出たまま失踪した内田均(通称均ちゃん)。
彼が不在の間に家に泥棒が入り、この家に出入りしていた元妻(50代高校美術教師)と現恋人の2人(30代重役秘書と20代雑誌編集者)が警察署で鉢合わせ。
均ちゃんへのそれぞれの思いを胸に、ひょんなことから3人揃って箱根の高級温泉旅館に行くことになり…。
殊に恋愛で人が一生懸命になっているときって、どうして他人のことはよく見えるのに自分のことは見えなくなってしまうんだろう。
他人のことなら冷静に観察して馬鹿だなぁと思ったりするのに、自分も似たような馬鹿なことをしてしまっていることに全然気づかなかったりする。
そういうおかしみとか滑稽さを表現するのが本当に巧いなぁと思いながら読んだ。
均ちゃんはちっとも格好良くないし、お金持ちでもないけれど、なぜか女からモテる。それというのもおそらく、人の懐にすいっと入っていくのが上手いからだ。
何となく気づいたら隣にいる、みたいな。淋しいときなぜか連絡してしまう相手、みたいな。
そんなわけで女たちはそれぞれの立場で均ちゃんとの関係を築いているわけだけど、均ちゃんがいない間に女たちがちょっと仲良くなったりわちゃわちゃして、結果的に均ちゃんがいない状況で新たな恋を掴んだり新たな道に踏み出すあたり、女の強かさを感じずにはいられなかった。
女たちはちゃんと人を愛して向き合って苦しんで泣いて、そして吹っ切って新たな切符を手に進んでいく。
でも均ちゃんは誰のことも愛していないのかもしれないから(誰にでも優しい男って結果的に誰にも優しくないのよね)そういう人って何も手に残らなかったりして…ということを思ったりした。
面白いのにちゃんと残る作風。押しつけがましくなく、ふっと気づかされるような。
設定として均ちゃんは津軽地方出身なので、弟と津軽弁で罵り合うシーンなんか、私は分かったけど津軽以外の人は分からなそうだな、と思った。
唐突なそういうシーンもまた滑稽さがあって良かったのであった。
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p.44
あの人はね、こう言うたら何やけど、通過地点のようなものなんやわ。女にとっては。うまく言えへんけど、あの人は大人になれへんからね。そこがあの人の、かわいそなとこやね。
突然いなくなった中年男性(イケメンではない女たらし)を巡る女性の話。わけわからないながらも3人が結束を深めて友情が微妙に芽生えてくるのがいい。
均ちゃんをきっかけに、それぞれの女性の背景や心情が明らかになる、その気質の違いであったり生い立ちであったり、その書き分けが上手だと思う。
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登場人物ひとりひとりに感情移入できる小説。
笑えるところもあるし、いやな気分にもならない。
面白かったです
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均ちゃんはやっぱ「平均」の「均」なのかな。このふわふわした「均」ちゃんに振り回されているんだか、振り回しているんだか、4人の女性の物語。みんな似ているようで似ていない。一番一般的な感じは片桐さんかな。恋したらそういう感情に悩まされるのはごくごく普通だ。突然消えたと思ったら、実は他にも女がいることが分かってとかさ。混乱するわ。ただ他の女性が一風変わっているのでどろ沼にならず、逆に親睦を深めていくのがいい。こんな出会いは面白い。空穂さんがキャラとしては好み。最後、均ちゃん一人になっちゃった。味わい深い、実に。
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どうしようもない男は
優しさとダメさを抱えながら変わらない。変われない。
一方、女たちは苦しさと対峙して変わってゆく。
愛情ゆえにその失踪、喪失に悩み、苦しみ、
もがきながらも自らの想いと闘う。
ラストに哀しみのなかにスカッとする思い。
読後に前向きになれたのは、私も女だからかな。
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一見どうしようもない女たらしの均ちゃんだけど、借金しまくったことにも訳があり・・・。
元妻は教師、現恋人は大企業の重役秘書、売れてる雑誌の編集者。一見しっかりした女性ばかりだが、均ちゃんのゆるさに、緊張が解け、癒しを感じて惹かれたのかもしれない。
3人はなぜか旅行する仲間となり、それぞれの話を始める。そして、それぞれが人生の結論を出す時、均ちゃんは・・・。うん、女の人って、たくましい。