紙の本
天才アラーキーの珠玉の人生論。
2010/07/27 11:11
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サトケン - この投稿者のレビュー一覧を見る
「顔こそ究極のヌード」という、天才アラーキーの人生論。「顔に始まり、顔に終わる」という、何千何万とポートレートを撮ってきた写真家による、体験からにじみでた、実に味わい深い珠玉の人生論である。あまりにも説得力ありすぎる。
アラーキーのいう「いい顔」とは「美しい顔」のことではない。
「男40過ぎたら、自分の顔に責任をもて」。若い頃よくこのようにいわれた男性は多いと思う。いまの若い人たちもオヤジ連中から、そういわれることもあるのだろうか?
すでに40歳を過ぎた私は、自分の顔がどうであるか自分には判断しかねるが、年齢を重ねて、それなりに味のあるものになっているのではないかと思っている。歳を取るのはけっして悪いことではない。
もちろん女性も同じだろう。長年にわたって多くの女優を観察してきた映画監督の大島渚も、どんな女優も40歳過ぎたら、いままでの人生がいい面も悪い面も含めてすべて顔に現れてしまうと、以前あるインタビューで語っていた。
男も女も、生きてきた軌跡がすべて顔として表出されてしまう。面白いことでもあり、また実に恐ろしいことだ。
写真に写された人物を取り巻く関係性が顔に表出する。「幸せな顔」とは、愛し愛される関係がにじみでたものだ。どんな人であれ、生きている最高の瞬間がもっともいい顔になる。いい顔になっていないは、職業選択を誤ったということだ。
そしてまた、写真を撮る側と撮られる側の、見るものと見られる者の関係。撮影する側の気持ちが被写体の表情に写り込む。
写真好きの友人からその凄さを教えてもらって、天才アラーキーの存在を知った日からすでに30年近いが、いまでも現役で走り続けている荒木経惟の生き方そのものに敬意を表したい。そして現時点で到達した人生論にも。
天才は、死ぬまでカメラを離すことはないだろう。生き方が、カメラそのものと化しているからだ。幸せな人による、幸せになるための人生論なのである。
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荒木 経惟さんの写真に対する思いがつづられたエッセイ。
70歳になった荒木さんの目線から語られています。
やっぱり、作品に取り組む目線が素敵です。
ただもう少し作品が載っていたらうれしかったなぁ。
顔が一番のヌード。
私もいい顔になっていきたいなぁ。
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アラーキーについては良く知らなかったが、写真の勉強(?)の為に購入。ほぼ見ていないのだが、これからはこの人の写真を見てみたいと思う。
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アラーキー独特のことばで書かれていて、読みやすかった。
さぞ明るい人生なんだろうと思っていたけど、そんなこと全然なくて、「愛しているひと」について考えさせられます。
両親の死からまなんだというフレームワークやアングル、妻の死にも触れていて、こんなふうに愛されたいと思いました。
写真集もみてみたいです。
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表紙反則でしょ
図書館でよく置いてたなぁって思います。
そーゆう
ゆるーいかんじなところが
いいね
練馬区図書館
顔を撮る
っていうか
その人を撮る
っていうの
ありのままの
それって
楽しいことだと思うんだよね
どんな表情でも
みんな絵になるよ
いまスタバで下書きしてて
左に1人
右に2人
全員勉強しているけど
いい顔してるもーん(アラーキー口調)
左前にいる
パソコンで
グラフ作っているサラリーマンもいいよ
彼の場合
少し古くなったトレンチコートや
大きすぎるカバン
Yシャツから浮き出るタンクトップ
そして
結婚指輪
この辺も
絵になるよなぁ
右前の女性は
携帯いじりながら
手帳に書き込みながら
ぼーっとしている
彼氏を待っているのかなぁ
その
なんか
せつない感じの顔も
絵になるよ
時計を見る顔なんかいいよね
そう考えると
あくびしながら
スキャンしているおれも
絵になるんだろうなぁ
リップスライムの
beauty focusを思い出したよ
いい曲だよなぁ
beauty focus
http://www.youtube.com/watch?v=WklOdysLDQY
JOURNEYって
アルバムの最後の曲なんだけど
JOURNEYってアルバムで
最後の3つ前が
SPLASHって南の島の恋愛でSPLASHって曲で
その次が
STAIRSって山登りをしながら
もう1歩前へーって曲で
最後のbeauty focusは
いまが素晴らしいじゃないって曲
もう
リップたまんないなぁ
いいなぁ
いいよなぁこの感じ
スーさんとPESの
ところがほんとにいいです
閃きをファインダー越しに切り取れば
カメラブレしてても笑顔が撮れた
止めた足元にフォトジェニック
咲いた花やら何やら健気に
水辺にそっと浮かんでる白鳥もキレイだね
気にくわない逆光も何とも言えず
絵になるからスナップ
ありきたりのお宝をスクラップ
白いフラッシュあびた思い出を綴じ
語りかけているよ ネガとポジ
今そこにある出来事にピント合わせたら
コントラストに目を凝らす
1つも残さず 毎日をコラージュ
溢れる気持ち 思わず Ah
あったかいねぇ
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アラーキーの写真集。「顔は裸」というキャッチフレーズに納得。裸のママが裸の赤ちゃんを抱いている表紙の写真はインパクト大。
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あたしゃ、笑顔を撮るの上手いよ、天才だからね、的なことを天才が語る。
でも、笑顔を引き出すのは、結局は愛。
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友だちが貸してくれた。
アラーキーの軽快な語りでさくさくっと読める、でも奥が深い。
” 若いほうがいいなんて、社会に踊らされてるだけだよ。40歳、50歳と歳を重ねていけばいくほど、顔はその人自身のものになるだろう?誰でもない、自分でつくった顔になる。その顔にはいろんなものが刻まれてくるんだから、若いコのつるんとした顔より断然、いいんだよ。 -略ー しかし、いいシワと悪いシワの分かれ目っつーのはなァ、たしかにあるんだよ。なんだかわかる?
そのシワに誇りをもってるかどうかだ、ってアタシは思う。「ンー、このシワがなきゃあたし100倍きれいなのに」なんて思ってるんじゃ、それは嫌なシワになっちゃうんだよ。”
励みになるお言葉。
私もいいシワを作りながら歳をとろう。
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この本を作った出版社の方にいただき、早速読みました。荒木氏の顔、人、写真に対する思いや死を身近に感じて戸惑う様子がよく出ているように思います。やっぱり顔は大事ですね。いい顔になりたいものです。
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本を読んで日常の見方が変わる。良い本だと思う。
生き方は顔に出る!
顔が一番の裸
みんな案外、目の前にある物事を見ていないんだよ。
ほんのちょっとのことで、顔は変わるってこと。ほんのちょっとのいいことならほんのちょっと顔はよくなる。>ささやかなこと、それを感じてかなきゃ。>ほんのちょっとのいいことを感じる力。
なんでフレーミングとアングルが必要なのか。その時の気持ちを考えると、あれはたとえば愛というものにいちばん近い感情がそうさせるんだなって思う。
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いつものノリ(かるっ軽)ですが、
どこか愛があって、テマエとオクがあって、
浴びるように聞きたいです。
写真数はすくなめだけど、
人への“愛”がうつったものばっかです。
なんで“愛”とか、うつるんだろう。
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今回はテーマを【見るけど読む本、読むけど見る本】と掲げて、見ても楽しい、読んでも楽しい、文章と写真(もしくは図)が半分ずつくらい混在していて、一ページ目からでなくても、どこからでも読める本をセレクトしてみました。
まずは、写真家であるアラーキーこと荒木経惟さんの一冊です。写真ももちろん好きなのですが、それと同じくらい、アラーキーさんそのものがにじみ出てる文章が大好きです。この本は”話し言葉”で綴られていて、「あのね、」とか「~なわけよ。」とか、読み出すとすぐそこでアラーキーさんが喋ってるんじゃないかってような感覚になるくらい、なんだろう、話し言葉で綴られている本は他にもたくさんあるし、なんかうまく言えないのですが、本を読んでいるのにラジオを聴いているような、読んでいるはずなのにまさに「見ている」感覚になる魅力が文章から特別放たれているように感じます。
この本はアラーキーさんの生誕70年記念として出版されたもので、今まで写真家として50年余り写真を撮り続けて来たアラーキーさんが最終的に行き着いた「顔」について書かれた文章です。これを読むと、どんなことを考えて「顔」を撮って来たのか、それを知ってからここに収録されているアラーキーさんの圧巻な写真たちを目にすると、見方がぐぐっと変わります。内容については、ここにはあまり多くを書かないで、とにかく読んでみる(見てみる)ことをオススメします。アラーキーさんに会える一冊!
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ヌードを撮り続けたカメラマンが、一番の裸は顔だと言う。
たしかに、それは納得できる。この本にたびたび出てくる写真に写る顔を見るだけでいい。
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ヌードを撮り続けてきたアラーキーの結論は、一番のヌードは顔である、ということ。いわく、顔にはその人の人生が写し出される、と。
鏡で自分の顔を見て、いい顔してるときは、きっと良い人生を送っているとき。ちょっとダメな顔してるなってときは、「人生を変える努力」をすることも大事かもしれない。
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写真家アラーキーの語りをまとめたもの。
彼が文章を綴ったものかと思いましたが、エッセイとはまた違います。
その場その場の言葉をすくい上げたもののようです。
何度見ても、インパクトが強い表紙。
やはり群を抜いている、彼の写真のパワーを感じます。
掲載されている写真は全てがモノクロですが、写真の持つ力には、カラーも白黒も全く関係ないのだと思います。
電通にいた人とは知りませんでした。破天荒な経歴の持ち主かと勝手に思っていたため、少し意外。
全編を通じてかなり好き勝手なことを喋っていますが、(まあ彼だから)と、何を語ってもオールOKに思えるのが、芸術家としてのすごいところ。
それに、根は全てに対して誠実だという面が随所に表れています。
人にも自分にも誠実な生き方を送り、その気持ちをファインダーを通じて被写体と共有しているような写真家。
それで、その人となりを写し取ったかのような印象的な作品が生まれるのでしょう。
有名人から無名の人まで、幅広く撮影しており、どの写真も、生気に満ち溢れています。
ご両親の最期の写真も紹介されていましたが、命を終えた人の人生の重さが出ていました。
彼の写真を見ると、ハッとしたり、ズシンと響いたりします。
人に与える衝撃力の強さが、魅力です。
生に満ち溢れているような彼ですが、軽妙な語り口の中に、抗がん生活を送っていることがたびたび出てきます。
自分の死を意識してこそ、また彼の写真は研ぎ澄まされて、生の一瞬を映し出すものになっているのかもしれません。
実はこれまで、スキャンダラスな写真家だと若干敬遠してきましたが、自分の写真と共に、人生、そして人間、さらに撮影について語る彼の思いを読んで、自分自身をキラキラと自家発電させられる人だからこそ、ファインダー越しの相手の魅力的を引き出し、生命力あふれる一枚を撮ることができるのだろうと感じました。
顔にはその人がすべて出てしまうものなんですね。造作の美醜ではなく、顔って大事なんだなあと思います。