投稿元:
レビューを見る
作者の自伝的な要素が強く含まれています。事業に失敗して仙台へと逃れた主人公がそこでも居場所を見出せずにもがくんですが、それが自分と重なりましてね。女性の部分を除いて。
この小説は著者の梁石日が事業に失敗して大阪を出奔して、仙台の親戚のところで暮らしていた時の事がおそらく下敷きになっているのでしょう。あらすじを簡単に書くと、主人公の朴秀生は事業を飛ばして大阪から仙台に出奔して義兄が経営する喫茶店の雇われマスターをしても、全く反省する様子がなく、金が出来れば、酒や「おねいちゃん」にのめりこんで散在する、そんな彼の彷徨する魂の行く先は…。という内容です。
まぁ、はっきりいって、ヒッジョーに爛れています。どこをどうやったらこんな放埓な事が出来るのか?というくらい爛れています。現実の世界でこれと同じようなことを敢行したのは団鬼六先生ぐらいしか知りませんが、ハチャメチャの一言に尽きます。自分の経営する喫茶店のウェイトレスには手当たり次第手をつけて、他の飲み屋の女性にも手をつけて関係を持っています。
そして、八方塞りになった朴秀生はリスキーな宝石ビジネスに手を染めて…。結末は、どうか自分の目で見て欲しいんですが、人間ここまで堕ちていくとどうしょうもないなぁ、なんて思いました。小説としては面白いんですけどね。