投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
中学生の頃アガサ・クリスティを読み漁ったのだが、この本は「オトナの渋い恋愛小説」だとなぜだか思いこみ、手に取ることがなかった。数か月前、生活クラブ「本の花束」の「うそつき」というテーマの本の一冊として紹介されていて、興味を覚えて手に取る。うん、確かにオトナですねえ。中学生には分からなかっただろうなあ。恋愛小説ではなかったけれども。恐怖小説…ではあるのかもしれない…。なぁんとなく、ずっと前に読んだアニタ・ブルックナーの『結婚式の写真』を思い出したぞ。なぜだろう。こちらも読みなおしてみようか。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
18か19の時に読んで、自己欺瞞や独りよがりな自己満足について深く考えさせられた本です。
他の人の書評で、ロドニーは酷い人だ、という意見もありました。納得もするし、逆にそれも愛であるのかも知れない、実際それができるだろうか、等など、いろんなことを思いました。
クリスティーがメアリ・ウェスマコット名で書いた7冊の中で、
一番好きな本です。
昔読んだときは、主人公個人について、女子としての生きかたについて考えさせられ、30越えた今は、夫婦として・妻としての行き方について考えさせられます。
一度読んでみても良いかも。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
クリスティーが別名義で発表した一般小説。会社の先輩に教えてもらって購入。彼女がミステリ以外を書いていたとは知らなかった。
裕福で美しく満ち足りた人生を送ってきたジョーン。彼女は旅の途中、天候の影響で砂漠の宿に足止めされてしまう。
持参した本も尽き、話し相手もいない状態で、いつの間にか自分の半生を見つめなおすことになる。
ジョーンは今まで自分の正しいと思ったことを行い、他の人の意見になど耳を貸さなかった。
いや、他の人が意見していることすら分かってなかったのだろう。今まで自分と同様に満ち足りて、自分を愛してくれているように見えた夫や子供達。しかし数々の思い出を振り返るうち、本当にそうなのだろうかと疑問を持つようになる。
ジョーンのやり方は一方的だし、身近にこんな人がいると確かに大変だろうなと思う。特に実の母や妻であれば。
でも作中で私が一番不快に思った人物はジョーンではない。彼女の夫のロドニーが一番卑怯で陰湿だと思う。
子供は親を選べない。でも、夫である彼はきちんと妻と向き合って、心の深い部分まで話し合うことが必要だったんじゃないだろうか。ジョーンに対してそれができ、彼女を変えることのできたただ一人の人物だったのに、彼はそうしなかった。
「自分が一番可愛い」という点では結局この二人は似たもの夫婦だ。エピローグを見て、ジョーンが可哀想にすら思えた。
人は結局自分の見たいようにしか物事を見ることができない。
だからこそそれを自覚して相手に接することが必要なんだろうな。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
当初違う名義で発表されていた、クリスティのミステリーではない作品。クリスティの観察眼が余すところなくきいている。とてもとても痛い作品。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
怖かった。殺人事件なんかよりもずっと。
あまりに怖くて、ただ回想しているだけの物語なのに、一気読みでした。
最初はジョーンのことを「いるよねーこういう人」と少なからず苛立ちながら読んでいました。
けれど、だんだん哀れに思えてきて、遂には他人事に思えなくなってきました。
「プア・リトル・ジョーン」
今はただその言葉が頭の中をぐるぐると回っています。
アガサ・クリスティーという作家の人間に対する洞察力は計り知れません。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
アガサクリスティーのサスペンスより怖いお話。
でも、ふと自分を振り返りながら、間違っていたのかな?
と疑問がかすめたくらいで、日常に戻ると、そんなこと
すぐ忘れてしまう~よくあることだし、だから余計に怖い。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
「アクロイド殺し」とは別の翻訳者でしたがやっぱり日本語が読みづらいなー。フレッド・カサックの「殺人交叉点」は普通に読みやすい文章だったのですがやっぱりここら辺は訳者によって多少の影響がでるのですかね。アガサ・クリスティーの作品で翻訳が一番読みやすいのはどの作品なのでしょうか。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
雑誌の本紹介で見て読んでみました。
面白かったです。
誰しも・・・そうね、長年連れ添った夫婦であっても
心の奥で考えていることなんてわからない。
まして
しばしば離婚を考える私にとっては
「読んで良かった本」でした。
アガサ・クリスティーはこういう本も書いていたんですね。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
自分もジョーンのようなのではないか。
気付かないうちにジョーンになっていないか。
そして救いようのない最後に、ぞっとした。
絶望のうちによみおえた小説。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
ミステリよりも怖い家庭の真実、虚像、欺瞞。
とは本の帯の煽りだけどそのとおり。恋愛小説のカテゴリに入れられてはいるけど心理サスペンスですよこれは。66年も前に書かれたとは思えない現代に通じる、本当にごくそこらの家庭にありそうな話なのです。
理想の家庭を築き上げたことに満ち足りていた女が、ふとであった友人との会話から疑問を抱き始める。
今まで自分のことしか考えてなかった女が周りの人間が何を考えているのか、考え始める。
そして、この本を読み終わった時、哀しいと感じるか、恐ろしいと思うか、考えてみてください。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
優しい夫、よき子供に恵まれ、女は理想の家庭を築き上げてきたことに満ち足りていた。が、娘の病気見舞いを終えてバグダットからイギリスへ帰る途中で出会った友人との会話から、それまでの親子関係、夫婦の愛情に疑問を抱きはじめる・・・・女の愛の迷いを冷たく見据え、繊細にかつ流麗に描いたロマンチック・サスペンス。
聖書の一部から想像させられる物語だそうです。アガサ・クリスティーの作品で唯一、殺人のおきないおはなし。聖書の「その一部」も読みましたが、なるほど・・う~ん。とってもとっても考えさせられる。私も主人公・ジョーンとおんなじ。奢っているかもしれないな・・と。ちょっと心、入れ替えよう。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
タイトルが気になって読んでみた。
アガサ・クリスティーなのに誰も死なないという、不思議な小説。推理小説かと思って(誰がいつ死ぬのかひやひやしながら)読んでいたら、結局誰も死なずに終わった話。
主人公・ジョーンの心理描写はお見事としか言いようがない。読んで損はしない。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
とてもとてもおもしろかった。訳者の解説にあるように、実に怖くもあり、哀しくもある物語だと思う。まるで「裸の王様」のようなジョーンの「思い上がり」はどういうことなのか?どんな生い立ちのなかで作られたものだったんだろう。
この先も気づかぬふりをして生きていくのだろうけれど、それではほんとうに自分の人生を生きたとはいいがたくはないのかな…。彼女は死ぬときやはりあの時謝ればよかったとは思わないかな?
「愛すること」と「理解すること」、夫婦の関係のありかた…いろいろと感じさせてもらった。
でもね、「そんな君のあり方がたまらない」って言わないロドニーもずるいね。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
恐ろしかった。何とも背筋が凍るような気分になってしまった。
主人公のジョーンは、まさに我が母であり、そして私だ。
ジョーンのように、自分と向き合わずに生きていく訳にもいくまい。
だがそれが恐ろしい。
自分が恐ろしい。
でも、これ旦那も酷いと思う。ジョーンと向き合わないという選択をしたのは
彼自身じゃないか。結局、自分のケツは自分で拭くしかないってことだよね。
全てが自業自得なんだ。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
この作品には殺人も名探偵もでてきません。ひとりのイギリス人中年女性が自分の過去、家族との関係を見つめ直す物語です。苦悩の末に主人公が最後に下した決断は哀しく、夫により残酷な真実が晒されるわけですが、巻末の解説にもあるように彼女だけが非難されるべきではないと思いました。もし彼女が夫と自宅以外の場所で再会していたら違う結果になっていたのでしょうか…