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英国が生んだ大ミステリ作家、アガサ・クリスティは生涯にいくつか、ミステリ以外の小説を執筆しています。いずれも当初はメアリ・ウェストマコットというペンネームで出版しましたが今の日本ではアガサ・クリスティ名義で出版されています。
メアリ・ウェストマコット名義の作品のなかでもこの「春にして君を離れ(原題:Absent in the Spring)」は最高傑作との呼び声も高く、人の心の一番弱い部分を笑顔で握り潰す、圧倒的な筆力を持って読者に迫ります。誰も人が死なないのにホラーです。これより怖い小説を読んだことがありません。無理。
内容は、満ち足りた人生を歩めていると自らの境遇に満足する中年の婦人ジョーンの、数日間の旅行中に計らずも陥った深い内省を淡々と綴ったもの。その果てに彼女が辿り着いた真実とは…。
貴方が本当に、ゆるぎない健全な、強い精神力を持っているという自負がある場合のみ、お奨めします。
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読んだのはハヤカワ文庫のカバーの方でしたが。クリスティといえばミステリのイメージがありますがこれは普通(?)の小説。けれど元気ないときはきついお話。なんとも収まりの悪い気持ちになるラストですがなんだか忘れられない。
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クリスティは推理小説以外の作品を数冊出しており、これはその一つです。
割と淡々としており、好みでない人は(つまらない)という印象を持つかもしれませんが、私は重くてつらいものをもらいました。
さりげない文章の中、些細な気持ちのすれ違いが少しずつ読む者の心を冷やしていきます。
私にとっては、推理小説以上に恐ろしく怖く、そして悲しく切ない話です。
最後の一文に、ザックリと心をえぐられました。
後々まで尾を引き、かなり考えさせられますが、この本に巡りあえて良かったと、心の底から思っています。
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ミステリの女王クリスティは、ミステリばかりではなかった!
本物の物書きの真髄をこの作品で見た!
本当に胸がすくわれるような、清涼感のあるラブストーリー
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■内容
優しい夫、よき子供に恵まれ、女は理想の家庭を築き上げたことに満ち足りていた。が、娘の病気見舞いを終えてバグダッドからイギリスへ帰る途中で出会った友人との会話から、それまでの親子関係、夫婦の愛情に疑問を抱きはじめる…女の愛の迷いを冷たく見据え、繊細かつ流麗に描いたロマンチック・サスペンス。
■memo
出版社時代、休日や夜の空白の時間に自室で黙々と読んだ記憶。
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先日、BSでクリスティの番組をやっていて、その中で評判の高かった作品でした。ポアロなどが活躍する殺人事件のミステリーは読んでいましたが、こうした本は全然、手にしていませんでした。この本は「クリスティー文庫」というシリーズで、カバーもなかなか素晴らしいし、字も大きい、文庫本と言え少しサイズが大きいタイプで、気に入りました。
昔は外国の作品もよく読めましたが、最近は名前を覚えられず、あまり登場人物を把握できずにいるので、避けていました。でも、ミステリーとは違う作品をこうも一気読みできたなんて、この作品の力かもしれません。
主人公ジョーンは、優しい夫、よき子供に恵まれ、平穏に賢く理想の家庭を気付き上げたことを満足していました。しかし、末娘の病気見舞いを終えてバグダッドからイギリスにもどるときに、聖アン女学院時代の同窓生ブランチに出会い、その落ちぶれた姿に同情さえ持つのですが・・・・
列車の運休で足止めをくらい、自分に向き合う時間ができてしまったことから、今まで現実逃避していた真実に気が付いていく、、、それは真実なのか疑心暗鬼なのか・・・・?
解説で、栗本薫さんが「哀しく恐い本」と書かれています。「悲しい」ではなく「哀しい」と。なるほど、確かに恐い面がありますねえ。でも、この主人公の行動を陰で冷淡に見ている夫ロドニーはどうでしょう?それが優しさともいえるところが恐いけど、なかなか嫌な奴のようにも思えますが(^^;
「しかし、ああ、どうか、きみがそれに気づかずにすむように。」
こわっ!
次は、何年ぶりかにクリスティのミステリーを読んでみよう。
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大学生の頃初めて読んで…衝撃でした。
自分の中にもジョーンの要素があると感じ、
それだけに、彼女のようには絶対なりたくないと思った。
本当におそろしいです。
ちなみに、これを読んでから、人に実年齢より若く見られたいと、
全く思わなくなりました。
(ジョーンは、実際よりずっと若く見えるのです。
自分の人生で背負うべきものを背負ってこなかったから…?)
一度読んだら忘れられない物語です。
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アガサクリスティーのラブミステリー。
どうしても、洋書の日本語版というのは好きになれないのですが。。。WW
けれども、この結末ーー???というような斬新な驚きと発見があったので★4つで!!
人間の心理について考えさせられる一冊でした。
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中学生の頃アガサ・クリスティを読み漁ったのだが、この本は「オトナの渋い恋愛小説」だとなぜだか思いこみ、手に取ることがなかった。数か月前、生活クラブ「本の花束」の「うそつき」というテーマの本の一冊として紹介されていて、興味を覚えて手に取る。うん、確かにオトナですねえ。中学生には分からなかっただろうなあ。恋愛小説ではなかったけれども。恐怖小説…ではあるのかもしれない…。なぁんとなく、ずっと前に読んだアニタ・ブルックナーの『結婚式の写真』を思い出したぞ。なぜだろう。こちらも読みなおしてみようか。
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18か19の時に読んで、自己欺瞞や独りよがりな自己満足について深く考えさせられた本です。
他の人の書評で、ロドニーは酷い人だ、という意見もありました。納得もするし、逆にそれも愛であるのかも知れない、実際それができるだろうか、等など、いろんなことを思いました。
クリスティーがメアリ・ウェスマコット名で書いた7冊の中で、
一番好きな本です。
昔読んだときは、主人公個人について、女子としての生きかたについて考えさせられ、30越えた今は、夫婦として・妻としての行き方について考えさせられます。
一度読んでみても良いかも。
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クリスティーが別名義で発表した一般小説。会社の先輩に教えてもらって購入。彼女がミステリ以外を書いていたとは知らなかった。
裕福で美しく満ち足りた人生を送ってきたジョーン。彼女は旅の途中、天候の影響で砂漠の宿に足止めされてしまう。
持参した本も尽き、話し相手もいない状態で、いつの間にか自分の半生を見つめなおすことになる。
ジョーンは今まで自分の正しいと思ったことを行い、他の人の意見になど耳を貸さなかった。
いや、他の人が意見していることすら分かってなかったのだろう。今まで自分と同様に満ち足りて、自分を愛してくれているように見えた夫や子供達。しかし数々の思い出を振り返るうち、本当にそうなのだろうかと疑問を持つようになる。
ジョーンのやり方は一方的だし、身近にこんな人がいると確かに大変だろうなと思う。特に実の母や妻であれば。
でも作中で私が一番不快に思った人物はジョーンではない。彼女の夫のロドニーが一番卑怯で陰湿だと思う。
子供は親を選べない。でも、夫である彼はきちんと妻と向き合って、心の深い部分まで話し合うことが必要だったんじゃないだろうか。ジョーンに対してそれができ、彼女を変えることのできたただ一人の人物だったのに、彼はそうしなかった。
「自分が一番可愛い」という点では結局この二人は似たもの夫婦だ。エピローグを見て、ジョーンが可哀想にすら思えた。
人は結局自分の見たいようにしか物事を見ることができない。
だからこそそれを自覚して相手に接することが必要なんだろうな。
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当初違う名義で発表されていた、クリスティのミステリーではない作品。クリスティの観察眼が余すところなくきいている。とてもとても痛い作品。
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怖かった。殺人事件なんかよりもずっと。
あまりに怖くて、ただ回想しているだけの物語なのに、一気読みでした。
最初はジョーンのことを「いるよねーこういう人」と少なからず苛立ちながら読んでいました。
けれど、だんだん哀れに思えてきて、遂には他人事に思えなくなってきました。
「プア・リトル・ジョーン」
今はただその言葉が頭の中をぐるぐると回っています。
アガサ・クリスティーという作家の人間に対する洞察力は計り知れません。
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アガサクリスティーのサスペンスより怖いお話。
でも、ふと自分を振り返りながら、間違っていたのかな?
と疑問がかすめたくらいで、日常に戻ると、そんなこと
すぐ忘れてしまう~よくあることだし、だから余計に怖い。
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「アクロイド殺し」とは別の翻訳者でしたがやっぱり日本語が読みづらいなー。フレッド・カサックの「殺人交叉点」は普通に読みやすい文章だったのですがやっぱりここら辺は訳者によって多少の影響がでるのですかね。アガサ・クリスティーの作品で翻訳が一番読みやすいのはどの作品なのでしょうか。