投稿元:
レビューを見る
クリスティー作品の中で一番好きで、時々読み返したくなる作品。というか読み返しておかねば、思ってしまう作品といっていいかも。
クリスティーの小説なのに殺人事件とかが起こる訳でもない。のに怖い。怖すぎる。
人の為と思ってやっていることが逆に重荷になっているかもしれない。自分にも思い当たる節がある。。。でもこの主人公のように裸の王様にはなりたくない。自己満足で人生を歩みたくない。難しいよなー。
「君はひとりぼっちだ。これからもおそらく。しかし、ああ、どうか、きみがそれに気づかずにすむように。」・・・何度読んでもラストで言いようのない感情が私を襲ってくる。とても現実的だ。
これは色んな人、特に女性の方に読んでほしい一冊です。
投稿元:
レビューを見る
2010年に登録。クリスティの誕生日。
また読みなよ、と出会う。今度こそ読まないと。2011年5月26日
やっと2013年2月に読み、読み終えた。
ホラー?と言う言葉がふさわしいかどうか、しかしヒンヤリとした怖さが迫ってくる。
山岸涼子さんの短編の漫画を思い出したりもした。
自分の見ていること、感じていることは現実に存在するのかどうか、また自分の感じている感覚が全てであり、それ以外の何者でもない。
孤独な世界で立ち尽くしているだけと思っていても、そうでない場合もあるし、大勢に囲まれていても実は一人きりだったりとか、そういうことをつきつけられるような、自分は大丈夫なのかしら?と不安を書きたてられる恐ろしい本であり、いろんな人物に思いを馳せて哀しみを浮かべられる本です。
栗本薫さんの解説でこの本を読んで、「哀しさ」「恐ろしさ」を感じるかどうかについて書かれていて、彼女の夫は幸福な育ち方をしているために、そんなものを感じないのだという。なるほど。
「苦い感動」「哀しみにみちた慰安」この小説と栗本さんの解説で、さらに納得できるのでした。
被害者も加害者もいない。結局選択するのは自分自身なのですから。
投稿元:
レビューを見る
自分がしてることが他人のためなのか、自分自身の為なのかということを考えさせられた一冊。
人間として成長できる本。
投稿元:
レビューを見る
なんて虚しい話なのか!でも、読後に感嘆のため息が出るほど面白かったです。裕福で一見幸せそうに思える家族の真実の姿は衝撃的でした。母・ジョーンを除く全員で辻褄を合わせるなんて…。読んでいる最中は、ジョーンの自己満足のために犠牲になる家族たちがただただ可哀想に思えていましたが、読んだ後は完璧な道化役となっていたジョーンが哀れになりました。エピローグに夫・ロドニーの独白がある以外は終始ジョーンの一人称で書かれているのですが、その文章の吸引力が半端じゃない。独りよがりな人間の視点は鼻につく心情が多くてさぞかし読みにくそうですが(実際鼻につきました)、他者との話の食い違いや自己との対面などが上手く挟んであり、問答無用で読ませてきます。話が進むにつれ見えてくる家族の真実、本当の自分にジョーンが恐れ不安になっていくのとシンクロして、こちらも緊張が高まっていくのです。とくに対ブランチ、対ロドニーとの会話は深読みできる伏線がバンバン張ってあって、嫌がおうにも引きこまれてしまいました。クリスティは「ミステリの女王」と呼ばれていますが、それ以前に非常に巧みな文章(とくに会話!)を書く人だということがわかりましたねぇ。
投稿元:
レビューを見る
アガサ・クリスティーの作品の中で一番好き。
殺人事件が起こるわけでもないのに、すごくハラハラドキドキします。
投稿元:
レビューを見る
これを恋愛小説だと思って読んだ(ましてや当時の)人は、読後一体何を思ったのだろう?
結婚する気なぞ吹き飛ぶ皮肉なストーリー。
恋愛小説を好む婦人への強烈なアッパーカットとしか思えない。
「終わりなき夜に生れつく」もそうだったが、物語が二転三転するのではなく、世界がガラリと裏になったり表になったりする感覚が素晴らしい。(クリスティのミステリーは皆そうかもしれないが)
解説の栗本薫氏が「怖い本」であり「哀しい本」だと書いているが、まさに「怖い本」
投稿元:
レビューを見る
読者によって感想は大きく違うものになると思う。アガサの作品なので推理小説を予想していたが、全くの別物。哲学的であり聖書のようである。良く旅行先や日常から離れた場所に身を置く時に自身を見つめ直すことがある。それとヒロインが経験したものは同じだろうが、自身の犯したかもしれない罪を認識することはなかなか稀だろう。読後感は非常に怖くなった。ヒロインの夫の最後のセリフが怖さを増長させた。
投稿元:
レビューを見る
うっわあ…。
読み終わった後、暫し絶句、と言うような小説でした。
解説に栗本薫さんが「哀しくて恐ろしい小説」と書いてらっしゃいました。彼女の解説が自分も思うところを存分に表現してくださっているので他の評価とか必要ないなあと思いました…。
そしてロドニーに対してそういう評価も出来るのか、と思いました。なるほど。
でもこのお話を男性が書いていたら多少反感があったかと思うのですが女性でここまで書けるのか、と。
悟りを開いても凡人は聖人にはなれない、と言うことか。
それにしても栗本氏ももういらっしゃらないのですよねえ…。さみしいですね
投稿元:
レビューを見る
物語内で起きた出来事と言えば、バグダッドからイギリスへの帰途に足止めにあって、砂漠の真ん中で五日間過ごしたのちに、イギリスに戻る、というだけ。
これが全てである。
足止めされたジョーンの連日の自問自答こそが、この小説の中心である。
これまでジョーンの送ってきた人生は成功そのものであった。
弁護士である夫を支え、三人の子どもも独り立ちし、そしてそれは何よりも自分の支えがあったこそだと疑うことはなかった。
だが五日間何もない場所に閉じ込められ、これまで人に言われたこと、されたことの一つ一つを丁寧に思い出していくうちに、その考えは脆くも崩れていく。
果たして本当に自分は相手を思いやってきたのか―
自問自答の末にイギリスにようやく戻り、ジョーンがとった行動とは何であったか。
ラストのぞくぞく感はこの本ならではのもの。
投稿元:
レビューを見る
ああ…なんて恐ろしい…悪夢のようなラストシーン。
結局、人間なんてそうそう変われるものではないということか。
自分自身に向き合う勇気を持たない者は死ぬまで己を欺き続けるということか。
そして、そんな人間に対して周囲は真実を気づかせてはくれないのか。
お互いを欺くことがお互いの平安ためだということか。
私はどうだろう…。
私にも自分自身から目を逸らすところが多々ある。
現実逃避に耽っている。
だが、そういう自分に気づいてはいる。
決して幸福な幻を見ているわけではない。
そこだけは主人公と違う。
違うからどうなのだ。
どうするのだ。
そういうことを考えさせられる話だった。
それにしても、なんという作品を書いたものだろう!
投稿元:
レビューを見る
弁護士の妻が、ただひとり、砂漠の真ん中で自分を振り返る。
それだけで1冊の小説ができるなんて。
アガサクリスティといえばミステリーですが、
この小説では殺人事件も盗難も、何も起きません。
けれど、展開も、結末も、ミステリーより恐ろしい。
あなたは大丈夫?と問いかけられたら、
自分はなんて答えるんだろう。
ひとりぼっちの自分は見たくないからなぁ。
明日からの生き方を真剣に考えさせてくれる1冊でした。
投稿元:
レビューを見る
思えば自分の事を考える時間なんて無いなと思った。
本当の自分と向き合えても、また同じ環境に戻ればいつもの自分に戻ってしまうんだろうな。
投稿元:
レビューを見る
衝撃的な作品で読んでてだんだん怖くなってきた。
砂漠でただ主人公が物思いにふけるだけだが、感情が嫌にリアル。
ラストシーンがとても印象に残っている。
投稿元:
レビューを見る
ありそうでなかった小説。こういう心理状況を誰にでも分かりやすく書かれているところがこの本がバイブルたる所以だろうか。
投稿元:
レビューを見る
On 2011/05/07, at 18:37, ヤマグチ トモコ wrote:
> こんにちは。
> booknaviでいつもお世話になっている山口です。
>
> 本日のナビで紹介したアガサ/クリスティの「春にして君を離れ」のブックコードをお送りします。
>
> 感想:今日は少し涼しかったのですが、次回はどうなるのかしらと
>
>
> 以上、よろしくお願いいたします。
>