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宇江佐真理の新シリーズ。 古手屋(古着屋)の喜十がいつの間にか、知り合いの隠密廻りの手伝いをする羽目に…。
同じ小物なら、私は髪結い伊佐次の方が読みやすいし、人物もシリーズで慣れているから感情が入りやすい。 このシリーズもどうなるのか、今後に期待。
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宇江佐真理の時代小説新シリーズ。古着屋・喜十がなんとか自分の店を田原町の裏通りに開いたのだが、ひょんなことから北町奉行所隠密廻り同心に血のついた着物の出所について調べ物を頼まれ解決を手助けしてあげたことから、その後は同心は何かと言っては喜十を役目に借り出す。手当も払って呉れないのに、と言いつつも助太刀を拒むことなく、また遠慮なく店に現れては飯を食い泊まっていく同心との腐れ縁ともいうべきやりとりがほのぼのとして良い味だ。髪結い伊三次シリーズに次ぐ長期連載になる事を期待させるような出だしだ。
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「小説新潮」連載の新シリーズ単行本化。
古着屋が奉行所の同心を介して事件に関わるという形の、捕物の要素を取り入れた人情小説で、作者の最近の路線上にある。
第1話の「古手屋 喜十」はまず喜十の過去が語られる。
材木商の父親が友人に騙されて借金を抱え、心労で両親をなくして首をくくったおそめを助けた縁で、風采のあがらない古着商日乃出屋の喜十はおそめを女房にした。
日之出屋には、北町奉行所の隠密廻り同心の上遠野平蔵がよく立ち寄り、調べの手伝いをさせ、飲んだり泊まったりといい様に使われている。
上遠野が血糊のついた黄八丈の女物の着物を持ち込んで、出どころを探せという。喜十は、水茶屋で働く女が今時珍しい黄八丈をよく着ていたが姿が見えないと言う話と、水茶屋のそばの長屋の厠に赤ん坊が産み捨てられていたという話をつかんで、上遠野に知らせた。上遠野は探索の結果、隠れ淫売の店の摘発はするが、娘は捕らえないと言う。
第5話「小春の一件」は、働き者の材木屋伊勢屋の次男虎吉が荷運びの途中で足を痛めて動けなくなっていたのを見つけて知らせてくれた男を、伊勢屋が探しているというので、喜十がいつも男物の着物を着ている小春という娘が現場近くで働いていると教えたとろ、そうだったということになって、身寄りがなくなって父親の着物を着ていると寂しくないという小春を哀れんで伊勢屋が引き取り虎吉の世話をさせていたが、実は伊勢屋に知らせに行ったのは小春の友達の男だとわかって、小春は追い出される。
小春から感謝され頼られていた喜十は、小春が怪我した虎吉を見つけて友達に知らせに行かせたという真相を知り、小春を連れて伊勢屋に乗り込んだところ、虎吉は小春に自分の女房になってくれと頼み、小春は承知する。
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古着屋が隠密同心の手伝いをする、という設定は面白いと思うんだけど…。
宇江佐真理さんのお話って、時に、なんていうか、「あらすじ」だけで進んでいく、っていう感じのものがある気がする。
古着屋の主とその若妻の2人の過去や性格など、あれこれ面白いものを抱えているのに、そんな2人の会話に奥行きがない・・・。(素人のくせに偉そうですみません。)
そして、何より、隠密同心の人柄に全然好感が持てないし、なんで喜十が仕事を放り出してまで彼を手伝わなければならないのか。定町廻りの同心ではなく、せっかく隠密同心にしたのに、時々、変装をしているくらいのものでそれ以上の面白味もないし。
喜十が彼を嫌がっているのに、妻が愛想よく、酒を勧めたり、お泊まりください、なんて言うのはなぜ?
事件の背景に着物が絡んでいて、だから古手屋の出番、というところはいいと思うんだけど、事件そのものやそれが解決するまで、あるいは解決してから、も、なんか、粗い筋立てを読ませられてるみたいでがっかり・・・。
悪口ばかりでゴメンなさい。
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【収録作品】古手屋喜十/蝦夷錦/仮宅/寒夜/小春の一件/糸桜
浅草で古着屋を営む喜十とおその夫婦を巡る人情話。喜十が古手屋の店を構えることになったいきさつとおそのとのなれそめ、ご禁制の蝦夷錦の探索、火事で借り宅を打った吉原の遊女屋から逃げ出した遊女の事情、夜中に徘徊する癖のある大店の隠居の話、材木屋の次男の命の恩人捜し、若い按摩の母親捜し。
*渋い人情話ばかり。喜十が御用聞きではないので、かえって普通の感覚が出ており、身近に感じられる。
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古着屋のおやじが、隠密廻りのツケを回収するためにいやいやながらも手下のまねごとをする世話物にちかい捕物帳。
育児放棄や徘徊老人など、現代の問題を反映した作品が多かった。
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あったかい人柄の主人公の多い宇江佐真理ものにしては、ちょっと皮肉屋さんの親父が主人公っていう設定はあまりないところで面白かった。事件に誘う同心も、たいていは主人公と仲がよくて性格のいい人が多いモノなのに、今回はけちでちょっと図々しいというのも珍しい。受ければ続きはあるのかな。
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L
古着を扱う喜十。古着からつながる捕物や人間関係。隠密廻り同心上遠野の小者ではないのにうまいように使われているのが気に入らない…ところが宇江佐作品でも異色??愚痴をこぼしながら働いてしまう喜十。バタバタ感がない分よりほのぼの。
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古着屋の親父(30代だけど…)が主人公で、事件に古着や着物が絡んできて面白いけど、役目を手伝う同心がどうにもケチ過ぎで気にくわない…主人公も断ればいいじゃない!とか思うのだが、シリーズ化して後から明かされるんだろうか…ないか…。
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小さな古着屋を軸にした捕物帳。
心温まる短編連作で、安心して読める宇江佐クオリティ。
最終話の結末が色々気になるところ、続編があってもいいかな。
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私にとって現役の時代小説作家の中では最も安心して読める作家である宇江佐さん、久々に手に取ってみました。江戸浅草の「日乃出屋」という名の古着屋を舞台とした6編からなる連作短編集。主人公である喜十の人柄が他の宇江佐作品の主人公ほど魅力的に映らないのが少し残念ですが、周りを取り巻く妻のおそめや隠密廻り同心で喜十に為事(仕事)を振ってくる上遠野平蔵が魅力的でカバーしている感じですね。
他の宇江佐作品よりもミステリー仕立てな面や暗い話も多いのであるが、やはり人情話的要素の強い「小春の一件」が秀逸であろう。最後に捨て子が子供のいない喜十夫婦の店の前に捨てられる話があるのだが、二人の結婚への馴れ初めからしてこのまま自分たちの子にしてより夫婦の絆を深めて欲しいなと思ったりした読者も多いはずである。
小説新潮に連載されたのもですが、三カ月ごとに一話ずつ書かれている。そのあたり律儀できっちりとした作者の人柄が窺い知れる。
。季節感が滲み出ているのにも一役を買っているのであろう。
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古着屋の喜十の物語 隠密廻り同心上遠野との腐れ縁が面白い
大好きな浅草観音様の近くの田原町なんか懐かしい花のお江戸の下町の物語で 面白い 一番好きなのは小春の一件 やはりめでたしめでたしで終わる物語が好きです 僕は
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宇江佐さんが続く(笑)
別シリーズみたいです
冴えない主人公かと思えば、結構鋭さや芯の強さ
がうかがえて・・・続編もあるのか
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年老いた母親と古着屋を営む喜十は、同じ境遇の友人の借金の肩代わりで苦労し両親を無くした天涯孤独の女、おそめの自害をくいとめ、看病ししばらく喜十の家に居つくことに。
母親の優しさにほだされたおそめは喜十の嫁に。
小さな商いでどうにか食いつなぐことはできているが、なかなか子供ができない。
隠密同心上遠野には、受けても居ない小者のような真似事をさせられているし、何かと物入りなのに代金は払われず。
そんな関係に不満があるものの、おそめは接待する。
少し偏屈な性格と、夜に外を歩くと岡っ引きに必ず問い詰められるようなブ男ぶり。
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2020年9月7日
けちな上遠野をいやだと思いながら、どうして付き合えるのか。この話の中、結構嫌という思いが前面に出て来て、これが人間らしいのかなとも思う。
やっぱり宇江佐さんはおもしろい。