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2005/11/12 読了(小説)
とびぬけた技術と知識を要する産婦人科医・岸川が人の生死にも関わる異常な医療行為を行っていく小説の上巻。
不妊に嘆く夫婦や大病におびえる患者たちを、非道ともいえるエンブリオ(ネタバレしないように解説なし^^)の培養など行いながら、大手術を成し遂げ救っていく。彼のしている医療行為の是非を問うことはたやすくないが、彼の目指す医療のあり方には、考えさせられることも多い。
一流の医療技術を克明に描く筆者の力量にも惹きつけられるが、その反面、血や手術の話が苦手な人には辛いかも。
私は医療系の実話も小説も好きなので、興味深く読めました♪。
文庫は上下巻になりますが、下巻の後半の終わり方がちょっぴり物足りない気もしました。もう少し問題提起をするなりして終わってほしかったかなぁ。でももっと他の作品も読んでみたいと強く思いました。とてもよかったです。
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現代医療、生命倫理について鋭く書かれていて興味深く読めました。けど、扱う内容の割りにはあんまし重い雰囲気ではなくて、エンターテイメントっていう感じが。そこが良くも悪くもあったかな。
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どこの本屋に行っても見つけることが出来なかった上巻。エンブリオというタイトルが気になって買ってしまった。男性に妊娠をさせる。っていうテーマはそうはないと思う。主人公の岸川は・・・神となるのか悪魔となるのか。もし、こういう医者がいたら、かなり嫌だ。
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私の読書感想文を読んでくださる方がいらっしゃるとしたら、おそらく、こんな感想を抱くのではないでしょうか・・しかし、何でもあり、だなぁ・・・って。
結構、多岐に渡って、色んなジャンルに興味があります。
本屋さんでも題名や過去に読んだ作家さんモノ、ただなんとなく惹かれる系、など手に取る本は様々です。
なので、今回の本のような内容も、ある意味SFチックで興味がある分野とも言えます。
もっとも神へと近づいた医師。
患者に人気の天才産婦人科医・岸川は、その裏で異常な試みを進めていた。男性の妊娠実験、培養した胎児からの臓器移植…彼が目指すものは何なのか。医療の極限を描く問題作。 (Amazonのレビューより)
この本は以前に読んだマリアプロジェクトと似た恐怖を感じさせます。
楡 周平
マリア・プロジェクト
ともに生まれる前の胎児がキーワードとして出てきます。
なので、お身内に妊婦さんのいらっしゃる方、ご自身が妊婦さんの方は、もっとずっと後に読まれた方がいいでしょう。
世の中、需要があるから供給がある。
その需要にいくらでもお金を費やせる人がいるから、アンダーグラウンドな商売が成り立つ。
その陰で、無下に葬られる命があったりする。
人の価値は同じはずなのに、その価値にランクが出来る。
求めれば得られる人、求めたくても得られない人・・・
以前に、ある作家さんの本を読んだ。
その作家さんの半ば自伝的な”愛”の物語が話題を呼び、映画化までされた。
私はその本を読んで、ああ、間違った・・と思いつつ読了した。
文中に、愛する人の病を助ける為に、ありとあらゆるコネを使った。そして遠くアメリカの医療を受けさせるに及ぶ、とあった。
最後、病の人は亡くなるのだけど、新しく宿った命に対して3人の名前をプレゼントする。この3人が自分の代わりに、守ってくれるだろう、と・・・
世の中には”特権”と云う言葉がある。
地位のある人、お金のある人、知名度のある人などが持ちがちだ。
が、この特権は表沙汰にしてはいけない、と言うルールがあると思う。
何故なら、誰でも出来るもの、得られるものではないから・・
特権を使って出来たことは、御簾の陰の出来事ではないだろうか・・・
ある時、新聞紙上で知名度の高いある人の、同じような思いを感じさせる”愛”の物語を読んだ。
病に臥せる妻を介護する闘病記だ。
彼も特権のある人だ。
彼だから得られた助力を紙上掲載されて、一般の同じ病を持つお身内がどのような気持ちで読むか、考えないのだろうか・・と思ってしまった。
得られた助力に対する彼の感謝や、それでいかに妻が心地良い環境を得られたかはわかった。
だけど、それは●●と言う本は▲▲書店に売っています、と言う情報とは違う。
読者に”あれがあ���ば、愛する人の命をたすけられるのに”と言う無念を残すだけなのではないだろうか・・と懸念してしまった。
一言、嫌なら読まなければいい、と云う問題なのだろうか・・・・
私は作り物の小説が好きだ。
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すでに実現可能な世界
日本は確かに世界が動き出してからじゃないとマネできない。技術の進歩に法律も倫理もついてはいけない。やはりこの作者、うまい。。。
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エンブリオ=胎児。生殖医療を描いた物語。日本の法律では胎児はヒトではないと、胎児のパーツを使い人を助けたり、素材としての胎児を生み出すために男性に妊娠させたりする。作者が医師のため、医学的な見方はとても面白いが、仕掛けが読めたり、裏が曖昧だったり物語として稚拙。
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科学が発達した分、生命の尊厳も重視されなければならない。主人公と周りに人たちが、法に触れない生殖医療を「善」としていて決して悪だと認識していないことに怖さを覚えた。
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『さすが』の一言。
この人の作品で、読み応えの無いもの、読んでて飽きてくるものってほとんど無いですよね。
面白かった。個人的には産婦人科さんとは全く関係の無い生活をしているのに、こないだ知り合ったお医者さんに「え?、そっち関係の勉強してるの?」と言われるほど、知識だけはついてくる。
で、知識だけの本かといえば全然そんなことも無い。終末医療、産婦人科業界そんな中に生きるのもやはりニンゲン。う〜ん、考えさせる一冊でした。
それにしても、この人の本は京極なみに薀蓄が増えて本の面白さとは別に楽しいな〜。
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医療関係のサスペンス。
じんわりと恐いです。すばらしいはずの最先端の医療の底知れぬ恐さがあります。
他の医療関連の著と同様の、不思議な恐さの世界です。
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倫理と理想と科学と技術と希望と絶望と・・・・いろいろ入り組んでる雰囲気を感じました。読んでる感じでは連ドラを見てる気分でした。
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胎児を利用する部分は、抵抗があって読み進めるのをやめようかと思ったが、読んでみた。
手術のところなどリアルな部分はさすが。
上巻ではたんたんと話がすすむ。
下巻ではどうなるか。
あと、カジノのシーンは退屈だった。
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帚木さんの書く医療サスペンスが好き。本当に恐ろしいものは、悪意なんかじゃないというこを知った。岸川が行う行為は、自分の栄誉のためや金儲けのためじゃない。ただ岸川が持つものは、純粋な科学の追求。飽くなき好奇心。人間は、倫理という曖昧なものによって形作られてるって実感。それを失くした、というより持っていない岸川は、神か悪魔か。エンブリオを使った医療云々ももちろん面白かったけど、今回は岸川の人間性がまた興味深く、かなり印象深い作品になっている。岸川が行う数々の行為は倫理的にはもちろん、時に法律的にも問題を孕むけれど、彼が目指す医療の姿には考えさせることが多い。でも医療に関する法律は日々変わっているし、倫理観も変わってくる。今は岸川の行為に反感を抱いても、いずれ普通になるかも。それに、医療に助けられて生き長らえている私たちは、簡単に岸川を批判することはできないとも思う。
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上流階級の患者を受け入れる病院。
地下には秘密の施設・・・
病院で起こるなぞの死
産婦人科事情も垣間見れます。
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まずミステリーとして見るならば、全体を貫くストーリーや様々な仕掛けと呼ぶに値する伏線などは秀逸だと思うし、早く先の展開を読み進めたくなる気持ちははやるばかりなんだけど、肝心なところの多くが明かされぬまま、おそらくは意図的に曖昧なまま置いて小説は閉幕しているので、何だかかゆいところに手が届かないような、指に刺さった棘がなかなか抜けないようなモヤーっとしたものが残る。
ただ、あえてそんな不満点から述べてしまったけれど、この小説の最大にして唯一のテーマはそういった類のものではないので、謎の多くが明文化して示されていないというモヤモヤ感を打ち消して余りある満足を読後は得ることができた。
じゃあそのテーマとは一体何なのかと問われても一言では言い表せられないのがもどかしくもあり、自分の知識、語彙の至らなさが嘆かわしくもあるのだが、とにかく、21世紀の最先端生殖医療とはここまでのものなのか、と素直に驚いたし、また非常に陳腐で月並みな表現なんだけど、生命発生のメカニズムというものに人の手を加えることについての是非なんかに関しても、どんな読者だってこれを読めば少なからず考えを及ばさざるをえない、そんな圧倒的で根源的な問い掛けを大いに感じた。
「自然」という言葉は、たとえば木の枝を集めて巣を作るビーヴァーにも、山を削り木を伐ってビルディングを建てる人間にも等しく用いられるべきである、という考えを私は持っているんだけど、その延長線上、とまで言えるのかどうかは分からないが、作中に登場する“生殖活動に人為的に手を加えることを背徳的というのならば、自然な生命の終焉を阻害するすべての医療行為はあまねく認められないことになる”という主旨の表現には強く共感を覚える。
本当にそうだと思う。
できる限り病や怪我や死というものを遠ざけよう遠ざけようとしているすべての医療行為は、広義で言えば“神の意志”に反している。
癌を早期発見して外科手術によって根治させるのは推奨するけれど、たとえ患者の望みであっても受精のメカニズムをいたずらに人の手が左右することはあってはならない、と勝手にどこかでラインを引いてしまい、あたかも人間が神の意志を代弁しているかのように振る舞うことこそが、最も背徳的なのかもしれない。
それにしたってこの作品の主人公のように、一方では不特定の患者たちの幸福を実現するためという信念で以って既成の倫理を無視する先端治療を行い、他方では邪魔になった人間の命を虫けらのごとく消し去るなどという完全乖離したアイデンティティの持ち主なんているわけないよ、それ以外の部分では極めて常識的かつ聡明な人格と知性を備えながらさあ、と読者に思わせてしまうところがほんの少しだけ残念。
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上下巻で完結、なのに、
「これはまだ序章じゃないのか?」と思わせます。
ラストまで一気に盛り上がり、その頂点で終わる。
も、もどかしい…!
かといって続編は望みません。