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古代エジプトの墓所守の家族内で起こる連続殺人事件。ポアロやマープルといったシリーズ探偵が登場しない歴史ミステリーで、作者としては異色の作品。
家長である父親、その子供の長男夫婦、次男夫婦、三男、夫を亡くして出戻りの長女、家長の年老いた母、雇われの管理人の男、古参の召使の女が主な登場人物。登場人物それぞれが個性的で、性格の違いによる書き分けが巧い。特に、家長の母親エサの慧眼ぶりと召使のへネットの嫌味な性格が印象的。
家業の墓所守や農地経営等で一族の生計を立ててきたが、父親が出張先から妾を連れて戻ってきたことで、微妙なバランスを保っていた家族内の関係に波乱が生じ、連続殺人へとつながっていく。
お互いの微妙な心理関係を織り込みながら進行していくストーリーは、なかなか読ませる。ヒロイン役の長女レニセンブがホリとカメニのどちらを選ぶのかというラブロマンスとしての興味もある。
犯人は1つだけトリックを使っているが、たいしたものではないし、読者が推理する要素はほとんどないので、ミステリーとしては平凡。
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古代エジプトを舞台にしてるけど、別にエジプトである必要性のないミステリー。って作者本人がそう書いてるし。さすがに連続して読んでいるせいか、犯人は中盤でわかった。
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2004年早川書房発行の文庫本。解説は深堀骨。舞台が執筆前後ではなく、古代エジプト。しかし、著者がまえがきで宣言しているとおり舞台はいつでもよいようなもの。今回は家族モノ。家族(というか一族という感じかな)に限った話を書くには(エジプトに限らず)古代という舞台はぴったりかも。死者は結構大勢出る。最後に解決する人物がもう少し早く決断していたら、、、そういう点でも古代という舞台はぴったりなのかも。「アガサの只のノロケ話をミステリーに仕立てた」という解説に思わず笑ってしまった。たしかにそういう感じのお話か。
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神や悪霊や祈祷が日常にある古代エジプトの神秘的な世界で、徐々に顕になる本格ミステリの顔、ぞくぞくする。面白かった。
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深堀骨氏による後書きが腹におちた。
いわくミステリとは人間関係の綾を描くものなのだと。
そう、そうなのよ、だから私は皆がくさそうとも、キャラの造形と配置が見事な『検視官』シリーズをいまだ愛読してるし(新刊出るんかいな…)、ディーヴァーといえど人が魅力に乏しい『エンドゲーム』はピンと来なかったのよ(いえ、ライムのシリーズなどは心から愛してます)!
古代エジプトの裕福な一家で起きる連続殺人事件を追う本作は、しょーじき、こう、サンドラ・ブラウンとか、ハーレクイン的なロマンチックミステリー仕立てなんだけど、妙に心を打つのは、さらりとした筆致ながら人々の欲望と愛情の描写がお見事だから。少女漫画にもありそうじゃん!って話だけど、重くも希望を感じされる読後感は、やっぱり天才の技だなあ
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死ななかった時点で犯人はわかったので、あとは、ほんとにカメニと結婚するの?ホリがいいよホリが!とレニセンブの結婚が気になってしょうがなかった。
ホリでよかったけど、カメニかわいそう。でもすぐ誰か見つかるかな。
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ノンシリーズ。
紀元前二千年のエジプトが舞台という異色の設定ではありますが、良い意味で“いつものクリスティー”ともいえる、人間ドラマ&ミステリを楽しませて頂きました。
墓所守をしている一族の長・インホテプが、北方からノフレトという美貌の愛人を連れて帰ってきたことから一族内の空気が不穏なものに包まれていきます。
インホテプの娘・レニセンブの胸騒ぎも虚しく、ある日ノフレトが墜落死してしまい・・。
ノフレトVS一族の妻女達のバチバチの対立から、ノフレトの死を皮切りにしての連続不審死。
その真相は、殺人のトリック云々ではなくて“まさか、あの人が!?”という、“印象操作”的な目くらましで見事に騙されました。
そして、レニセンブの恋の行方は?誠実なホリかイケメンのカメニを選ぶのか・・というロマンスパートも注目です。
解説でも書かれていましたが、本当にクリスティーは“人間関係の綾”を描くのが上手いですよね。
個人的に、トリック一辺倒のミステリより“物語性重視”なので、私がクリスティーを殊更に好む理由がこれなんです。
と、いう訳で久々にクリスティーワールドを堪能させて頂きました。うん、これこれw。
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古代エジプトでも連続殺人は起こる。
父親が若い愛妾を家に連れてきた。彼女の態度に家の者たちが反感を募らせる中、彼女は亡くなった。そして続く不幸。夫を亡くして実家に帰ってきていたレニセンブの運命はいかに。
いや古代エジプトの意味あったかな、と言ってはいけないのだろうけど、クリスティーがエジプトにハマっていたことは伝わる。しかし別に古代エジプトでなくてはいけない理由は特になかった。だからこそ普遍的なミステリは時代も場所も選ばないんだなぁと思う。多分実写化するならセットを組めばロンドンでも東京でも大丈夫な古代エジプト。
気の強い義姉、気の弱い兄、自尊心の強い兄、おっとり静かな義姉、我儘で自惚れ屋の弟、老獪な祖母、落ち着いた管理人、湿っぽく押し付けがましい召使い、若くて歌の上手い書記、一家の主人、性格の悪い愛妾。これだけキャラクターが揃っているだけでお腹いっぱいである。一人、また一人と死んでいくのはなかなかスリルがあり、最後にレニセンブに迫る害意もハラハラする。そして明かされる犯人。
確かに自分で毒を入れたなら飲む量を調節できる。ずっと低い評価をされてきた抑圧からの悪に染まってしまった心。探偵役が犯人に示す温情とレニセンブへの誠実さ。最後のロマンスも含めてクリスティーだなぁと満足。
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古代エジプトを部隊にしたお話。
数ヶ月に渡る長い期間の話が描かれているのが特徴。とは言え、その長い期間における人間の間の機微が事件に関わってくる的な点話で、要はいつものクリスティ。
事件が開始すぐに起こらないのは、前作「ゼロ時間へ」と似ているとも感じた。