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紙の本
旅の終わり……愚かな狼どもの行きつく先は
2006/09/04 13:14
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:鳥居くろーん - この投稿者のレビュー一覧を見る
※諸事情あって不死身になった用心棒・万次。妹代わりの少女・凛の仇討ちを助け、今日も自慢の刀を振り回し、強敵相手にアグレッシブなプッシュが暴挙で斬られまくる!
今回のあらすじ
心形唐流(しんぎょうとうりゅう)の門下生に囲まれ、風前の灯となった天津(あのつ)と凛。そこに出くわした万次。「天津が死ねば全てが終わる。」だが凛が願ったのは、門下生たちの死であった……役者はそろった。諏訪湖畔を舞台に、平穏を忘れた盲目の狼たちが噛み合う。きらめく刃、ほとばしる血。はたして生き残るのは、誰か。
……第五巻から続いてきた「甲州街道・仇たずねて三千里」編(私がかってに命名)もここに終結を迎えます。今回万次さんが敵に回すのは心形唐流の面々。彼らはどちらかというと善良な剣士たちなのですが、一度踏みはずした道に戻ることができず、万次・凶・槇絵といった助っ人たちに敗れ、次々と命を散らしていきます。融通が利かない、といえばそれまでのことなのでしょうが、そう思いこむともはや立ち止まることができない、武士というものの……いや、人間という生き物の愚かさに、なにやら哀愁を感ぜずにはいられません。
今回、闘いの舞台に諏訪湖畔が選ばれていますが、水際というのはどことなく死を想起させる場所でもあります。もはや拠り所のなくなった者どもが最後に行き着く場所としては、まさにうってつけといえるでしょう。そういった心憎い舞台設定をふくめ、作者の表現力の高さには感心します。
……いかん、なんかマジメに書いてしまった。とりゃ!古式ゆかしき湯沸かし器!(終わりよければ全てよし)
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