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死海を舞台にしたミステリ。ポアロが出会った、専制君主的な母親に支配された一家。その様子は楽しい家族旅行には程遠く、やがて起こるべくして起こったとも思える殺人事件。動機は誰にでもあり機会もまた誰にでもありそうに思えるのだけれど、単純そうで複雑な事件です。各々の証言を突き合わせて真相を導き出す物語は、一見地味だけれど読みごたえがありました。
何が厄介って……犯人はもちろんのこと、証言者がとにかく嘘つきまくってます(笑)。どいつもこいつもまったく……! ここから犯人を指摘するのは至難の業に思えますが。まさかあの意味深な一言にそんな意味が込められていたとは! そこに気づけば一気に真相にたどり着けたのか、という目からうろこの解決編が印象的です。
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冒頭に「いいかい、彼女を殺してしまわなきゃいけないんだよ」から、最後まで一気読み。犯人が想定外すぎた。
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今週末(2021/3/6)ドラマが放送されるので読んでおいた。三谷幸喜脚本、野村萬斎がポアロを演じる第3弾。オリエント急行とアクロイドは読んでたけどこれは読んでなかったので。なるほど、こういうストーリーだったのか。。。どんな風にドラマ化されるのか楽しみ♪
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中近東を舞台に、旅行中の富豪一家の母親の死をめぐる事件を、名探偵ポワロが解決していく。
子どもたちを外の世界に触れさせずに育てた専制君主の母親が、なんとも恐ろしい。
クリスティのなかではあまり知られていない作品だが、三谷幸喜がドラマ化するにあたり、新聞のエッセイで、ぜひテレビで見る前に原作をと勧めていたので急きょ書店へ。近所にはなかったけれど、駅ナカの大型店舗にはたくさん平積みされていた。テレビ効果は大きいのだなと改めて感じる。
クリスティを読むのは久しぶりだったが、懐古的なおもしろさが味わえた。こういう骨休め的な作品もたまにはいいな。
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三谷幸喜が今度のドラマの原作とコラムに書いていた本作はそういえば読んだことなかったなと、本当に久しぶりのアガサ・クリスティ。最近、本を読む気力がなかったのでリハビリにも昔慣れ親しんだクリスティはちょうどいいかと。ほどよい集中力が必要で、脳の中で映像も浮かびやすいクリスティのミステリは疲れている頭と体の癒しにぴったりだと読み終わって感じました。
クリスティは本当に読者を欺くプロです。最初から読み手の気を逸らすことに全精力を傾けてたということが読み終わってわかるのだけど、完全に術中にハマってます。クリスティのすごいのは何も隠してないこと。逆にそのポイントとなる場面は何度も触れられており、読者はしっかりとそのシーンを覚えているのですが、それがそんなに大事なことだとは気づかずにきてしまい、ポアロの種明かしの場面であっそうだったのかとなるのです。たぶん多くの読者はこの作品を読む前にクリスティの有名な作品を読んでいる可能性が高く、今回はあのパターンに似てるかもなどと思いながら読むため、余計ミスリードされるということすら狙ってるのかもしれません。
結局、三谷ドラマは見てませんが、日本だったら熊野古道だろうな…という舞台設定は納得。でもエキゾチズムは出ないよね。
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ドラマ化された原作。脚本の三谷さんが絶賛してたので読みたくなってKindle版ポチッとした。ほぼ会話で進むけど、後半一気に読み進めた。伏線回収、電子書籍だと読み返しが面倒ですね。ポアロの名推理、堪能しました
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そして誰もいなくなったでは読んでるうちに誰が誰かわからなくなって混乱してたけどこちらは全員のキャラが濃いのですぐ覚えられた
おばちゃん殺さんでもみんなで逃げればいいのにと思いながら読んでたけど、まだ逃げたい気持ちに気づいたばかりなら考えが突飛になったり逡巡して諦めたりはあるだろうなってなった
もしも犯行が行われずにちょっと経ったらみんなで逃げるってパターンも考えられそう
真犯人が意外すぎてびっくり まだ読んだばかりでなんで?って感じだけど最初から読み直したらまた犯人に対して印象がかわるかも
しかし犯人を自殺させるように仕向けるのやばいね
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天才的。
ポアロの遠回しな推理披露会も悲しい結末も不自然な謎の合理的真相も全てが天才的。
クリスティーのいる地球でクリスティーのあとに生まれた自分に感謝する。
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心理的な分析が多く残されていて、好奇心をそそられる展開だった。登場人物が美男美女という設定もなんか嬉しい。
ボイントン夫人からサラに向かって言われたセリフの真意が暴かれた時はドキッとした!
伏線がかなり念密に描かれていて楽しかった。
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原作と三谷さんのドラマで、どんな変更点があるのかが知りたくて読みました。
(黒門ホテルとか…)
伏線が美しい。
文学に「美しい」って変かもしれないけど、そう感じました。
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やっと読了。これで録画してたドラマが見れるー!
家族を精神的支配しているボイントン夫人が強烈。こんな意地悪な人って会ったことない。
(そう簡単にいては困るけど。)
それがわかっていて嫁に行ったネイディーンってすごい。しかも我慢しながら介護まで。
誰もがボイントン夫人の死によって幸せになれるような状況で、いつも通りみんな怪しい。
ポワロの偶然の聞き耳もさすが。
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冒頭のあの一言が凄く印象的。途中までは長く感じた。解決編とても面白かった。謎解き部分も良いのだけどそれ以上に人間ドラマが濃厚。
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「アガサ・クリスティ完全攻略」で高評価の作品。エルサレムを舞台とした作品。
実は初挑戦のアガサ・クリスティ。迷った末に本作から読んでみた。
殺人事件が起きるまでな前置きの長いことが意外。三分の一が前置き、終盤の三分の一はエルキュール・ポアロによる謎解き。
1938年の作品。アガサ・クリスティの作品がその後多くの作品に模倣されたのだろう。古典ではあるが全く古びておらずそのまま現在にも通じるように思う。
構成はもちろん登場人物のキャラの設定がうまいように思う。
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もし、隣の人の話がうっかり聞こえてしまったら、どうしましょう。
まして、殺人計画の話を聞いてしまったら。
名作が多いアガサ・クリスティーの中で、自分は知らなかった『死との約束』。
他の本を置いてけぼりにして、買って一気に読みました。
冒頭に、いきなり『いいかい、彼女を殺してしまわなきゃいけないんだよ』なんて台詞を聞いて、実際に殺されてしまったら、犯人はきっとこの人なんだろうな、なんて勘ぐってしまいます。
先入観とは怖いもので、この人が犯人だ、なんて思ったら、とにかく追い続けてみたくなるものです。
しかし、意外とすんなりとターゲットは殺されないんですよね。これがまた面白いところで、次へとページを進めさせる仕掛けのように働いている気がします。
この辺、シャーロックホームズは違っていて、大体最初の方で事件が起こるので、ポアロは、なんとなくテンポが崩されてしまいます。
ただ、事件が起こると一気に楽しくなる、これこそがポアロの魅力で、また、ポアロも相変わらず自信たっぷりに推理を披露するわけです。
今の時代、間違ったことを言ってしまうと、ネットで炎上する、なんてことになりかねませんが、こうも自信満々だと、こちらは清々しい気持ちになります。
推理ものは、今では漫画などでも、数多く展開されていて、トリックも研究され尽くしています。
しかし、インターネットもない時代に、この複雑なトリックを考えたのかと思うと、まさしく天才としか、言いようがないですよね。
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三谷幸喜がアガサ・クリスティーを日本を舞台に翻案してドラマを書いているが、「死との約束」はその第3弾。見ていないのだが「オリエント急行殺人事件」「アクロイド殺し」は読んでいたものの、「死との約束」は未読だったのでこれを機に。しかし三谷さんはヘイスティングズが登場するやつを選ばないですな…(まあ思ったほど出てくる作品少ないんですけど)。
多分ドラマだとそんな描き方できないのだろうが、プロローグ、第一部、第二部、エピローグと進む中でポアロが主体となって登場するのは二部だけで、他は1シーンずつしか出番がない。
家庭を支配する「精神的サディスト」ボイントン夫人に束縛されたボイントン家の一族と、その旅行中に出会う人物たちとのやり取り、そして殺人が起こるまでが第一部。しかし海外ミステリって結構皆簡単に恋に落ちちゃうのな。びっくりだよ。あと会話の端々に時代性が垣間見えて興味深い。
ヒントというか伏線を第一部で大量にぶち込んだところでポアロ登場。
「いいかい、彼女を殺してしまわなきゃいけないんだよ」
を直に聞いている(しかもそれを発した人間を第一部で特定している)ポアロだが、名探偵なのでそこに乗ったりはしない(小説っぽい)。真相は二転三転以上に転がり続ける。いや分からないわこれ。
とはいえ、ちゃんとヒントは提示してあるし、真相を語る前に全てのピースは存在し、しかもポアロは親切にも着目点を途中で提示してくれる。しかし、真相との間に数々の「怪しい事象」が多すぎてこりゃ惑うわ…。ものすごく綺麗に読者の目を欺いてますな。
心理学的分析に関してはやはり「???」となる部分も少なくない(時代性だろうと思う、E.クイーンを読んでもそうなるときがある)のだが、真相の導き方自体は論理的なので納得感があった。そういう意味では「超フェア」。
あのエピローグはこの小説だから生きるのだろうなとは思った。むしろこの最後のためだけに謎解きが書かれたんじゃないかと思ってしまう。