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「マグノリア」「パルプフィクション」「ラブアクチュアリー」のような、主人公がなんらかの関係をもちつつ複数出てくるタイプの話。
時代ものでこういうの珍しいですよね。
「悪党」いうてますが、藤沢氏の筆にかかるとどの悪党も愛おしく感じてしまいます。
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今まで読んだ藤沢周平の作品の中でも、僕の中で1,2位を争うくらい面白かった。
直次郎、丑松、市之丞は、それぞれ腕のいい御家人、料理人、道場の師範で真面目に暮らしていれば楽な生活ができる。しかし、博打好きで、悪事に手を染めていく。裏の世界に詳しい商人森田屋、ゆすりの名人の河内山、花魁の三千歳。6人の物語が収録されている。そして、その6人が時には仲間に、時には敵対し絶妙に物語りに絡んでくる。これは本当に面白かった。
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用心棒シリーズと比べるとやや軽い感じ。オムニバス形式で六人の話が進んでいきますが、私が一番好きなのは河内山☆悪党といいつつも、人間らしさが漂ってくる話ばかりです。藤沢周平らしい穏やかな空気に包まれています。一人ひとりを深く描くという感じではないので、物足りないところもありますが、さらっと読める完成度の高い小説だと思います。
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大変、藤沢周平らしい短編連作集。
自覚ある悪党に、無自覚な悪党。
義のある悪党に、ない悪党。
粋な悪党に、野暮な悪党。
悪党とひとくくりにしても人間いろいろです。
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明確に力の差がある時代の中で、あるときは強かに、あるときは翻弄されながら、必死に生きていく様々な境遇の登場人物達の生きざまが描かれていると思います。
世間を揺るがすでかい野望を追う傍ら、土にまみれた矮小な幸せを望む、人の心のありように魅せられました。
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藤沢周平氏のピカレスク小説である。藤沢氏にはめずらしい。いつもの藤沢小説を期待して読むと肩すかしを喰らった感じは否めない。いつもの藤沢小説というのは、たとえば組織や世の定めの中にあって弱い立場の者が、どうしようもない運命に従いながらもその心は真を失うことなく一分をたてる、そのような小説である。
しかしこの小説は天保の世の悪党の話である。悪党が主人公の話と合っては読者はなかなか主人公に自分を投影できない。しかし、主人公は悪党ではあっても、それぞれがそのようにしか生きられない背景を持っている。そのあたりの描き方はさすがだ。
藤沢氏はこれらの小説をどのような気持ちで書かれたのか。私にはこんな小説も書けるよという気持ちだったのだろうか。判らない。しかしまあ意欲作には違いない。点数にすると5点満点中2点と云ったところか・・・
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講談の天保六花撰を登場人物にした連作。江戸の底辺であがいている小悪党。。虚しいというか、切ないというか、人間味あるが芯のない浮草という感じ。好みだと思うが、どうも僕にとって藤沢さんの作品は悪くないけどインパクトが弱い。
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悪党でさえ、切なさ満載に書いてしまえる藤沢さん素晴らしいです。
三千歳たそがれは他のオムニバス小説で読んだことあるけど、やはりこれで読んだ方がイイ!
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用心棒シリーズしか読んだことがなかったので、またひと味違った世界を見せてもらった感じです。江戸時代が舞台の小説はとにかく惹かれてしまいます。どの悪党も憎めなくて、なぜかかわいく思えてしまいました。悪ではなく、悪党というのがみそなのかな。
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極め付きのワルだが、憎めぬ連中と本裏表紙のあらすじにあったけれど、全員がそうだというわけでもなく…憎めぬとは言えない人もいた。ともかくワルだー(笑)。
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江戸時代の講談「天保六花撰」を材にした六つの連作。一気にではなく、七年かけて六篇書いたとのこと。内容が付かず離れずの感がある。2016.4.11
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もう無いだろうと思っていた藤沢周平の文庫本が出てきた。やっぱ、買わなきゃ。
本当ならピカレスク小説なのでしょうが、周平さんが書くとやっぱりおとなしい。主人公達は悪人というより挫折した善人のようです。そういう意味でピカレスク小説としては失敗作でしょうが、ちょっと今までとは違う人情物と思えば、それなりの出来
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天保六花撰を拠り所にした悪人伝。
アウトレイジではないが、全員悪人!
しかしこの悪人たちは仲間同士の情に厚い。
悪人が悪の道で生きるしかない身の定めのさみしさが感じられる。
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河内山宗俊、森田屋などの「天保六花撰」を、江戸の風景と四季の中に、哀しみを感じる小悪党の世過ぎ点描として描いた連作集。
市井物とも言えるが、ネタは黙阿弥由来。
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「藤沢周平」の連作短篇時代小説集『天保悪党伝』を読みました。
『消えた女―彫師伊之助捕物覚え―』、『漆黒の霧の中で―彫師伊之助捕物覚え―』、『橋ものがたり』、『冤罪』に続き、「藤沢周平」作品です。
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ワルだけど、どこか憎めない六人の、痛快な悪だくみ!
天保年間の江戸の町に、極めつきのワルだが、憎めぬ連中がいた。
博打好きの御家人「片岡直次郎」、辻斬りで財布を奪う「金子市之丞」、抜け荷の常習犯「森田屋清蔵」、元料理人の悪党「丑松」、ゆすりの大名人として知られた「河内山宗俊」、そして吉原の花魁「三千歳」。
ひょんなきっかけで知り合った彼らが、大胆にも挑んだ悪事とは……。
世話講談『天保六花撰』に材を得た痛快無比の連作長編!
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1985年(昭和60年)から1992年(平成4年)に発表された連作短篇、、、
明治初期にかけて大いに人気があった講談師・二代目「松林伯圓」の創作による講談『天保六花撰』にヒントを得て、ひと癖もふた癖もあるが、人間味のある6人の悪党たちを主人公に描かれた作品です。
■蚊喰鳥 ――天保六花撰ノ内・直侍
■闇のつぶて ――天保六花撰ノ内・金子市
■赤い狐 ――天保六花撰ノ内・森田屋
■泣き虫小僧 ――天保六花撰ノ内・くらやみの丑松
■三千歳たそがれ ――天保六花撰ノ内・三千歳
■悪党の秋 ――天保六花撰ノ内・河内山宗俊
■解説 安西篤子
平和が続き、爛熟極まる江戸の天保年間、闇に生き、悪に駆ける者たちがいた… 博奕好きの御家人「片岡直次郎(直侍)」、辻斬りの剣客「金子市之丞」、抜け荷の常習商人「森田屋清蔵」、元料理人の「丑松」、直侍の恋人で吉原の花魁「三千歳」、ゆすりの名人で御城坊主の「河内山宗俊」、、、
彼らは、詐欺や強請・騙りで食っている… わずかな禄を頂戴したり、ほかに生業を持っているものもいるが、それではとても間に合わず、悪事を働いて一息つくのである、、、
市井にうろつく六人の悪党が絡む悪事はちょっとずつ絡み合い… 最後には、御三家の水戸藩を相手にすることに。
この六人、悪党と云わないわけにはいかないけど、悪人とは言い切れない人間味を持っているので、ついつい物語の中に引き込まれていきましたね… でも、悪事を働いているのは事実なので、気持ちの部分がシンクロできない、感情移入しにくい部分もあって、他の「藤沢周平」作品ほどは愉しめなかったかな、、、
特に「金子市之丞」は、遊郭にいくためのお金欲しさに辻斬りまでしちゃいますから、どうしてもやり切れなさを感じちゃいます… 受け入れにくいところがありますが、幸せを掴めず、破滅していく展開なので、納得感はあるんですけどね。