投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
2007年に『再婚生活』の単行本が出版された時に、すぐに買って読んでいました。
文庫化された際に加筆されていたのは知っていたのですが、なかなか読む機会がなく…。
山本文緒さんが亡くなられ、闘病記を読んだ流れでこちらも読了。
うつ闘病日記と言う事で、ご本人と旦那様である王子が大変な思いをして頑張ってうつ病から回復され、山本さんはまた小説が書けるようになったのに、癌で亡くなられた事が本当に残念で悲しくてたまりません。
もっと山本さんの小説が読みたかったです。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
「正しく起きる、正しく寝る…」
筆者は前半で何度も「正しく」という言葉を使っています。
うつになると「正しく起きて食べて仕事して寝て…」という普通の生活が出来なくなることに、罪悪感と恐怖感を持つからだと思います。必死で治したいのに、出口の見えない一人相撲をする辛さが、この言葉に凝縮されていたような気がします。
何年もよく頑張ったねと労ってあげたいけれど、ご本人は快復された後癌で亡くなられたとのこと。
これは私見ですが、自らの経験からも、心身ともにシンドイ状況が続くと、後に癌は狙っていたようにやってくると感じています。勿論そのようなケースばかりではないことは、わかっていますが。
そこで運良く癌を克服し、今までの生活や考えを変えることで、オマケの人生を続けることができるのではと。
文章から滲み出る真面目なお人柄、どんなに闘病がお辛かっただろうかと、切なくなりました。
どうか天国ではご自身を責めることなく、元来の明るさで、カラオケ、お酒、甘いものもいっぱい食べて愉まれてくださいね。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
2003年から2007年にかけて書かれ、月ごとに雑誌に連載された日記スタイルのエッセイ。単行本化は2007(平成19)年、文庫化は2009(平成21)年。
筆者山本文緒さんの当初のつもりでは、最初の離婚から数年、直木賞などを獲得し再婚を果たしたところで、この2番目の結婚生活の模様を描いてゆく予定だったらしい。
が、次第に「うつ」の状態がひどくなっていき、すっかり「うつ日記」になってしまったようだ。
前半ではうつ症状の一つとして胸に激甚な痛みを覚えて救急車を呼んだりもし、やがて入院することになるという展開。もっとも、入院してもノートパソコンを持ち込んで少し仕事などもやっているようで、察するところ、「うつ」としてもさほどの重態ではないようだ。
苦しみながらも入院生活を日記として書いて、そこにはかなりの頻度でユーモアも紛れ込むので、読んでいて楽しい。
が、この前半部(2004年2月まで)の後、後半が始まる2006年6月までのあいだに、2年以上も沈黙の期間がある。実はこの空白の時期が、もっとも重態の「うつ」であったようだ。
巻末に収められた、文庫化に際して著者が追加した文章「改めてふり返ってみました 2004年3月〜2006年5月の出来事」にその部分が回想されて書かれている。もはや家事どころか執筆の仕事も全くできなくなり、実に行動不能の暗澹たる状態。もう寝てばかりいるほかない、この状態は、ピアニストのスヴャトスラフ・リヒテルの「うつ期」の様子に似ている。
山本さんは何度も転院を繰り返し、もんどり打ちながらも、やっと理想的な病院に入院。ここでやっと快方に向かい、その後の自宅療養でも何とか持ち直していって、やっと治癒の状況までこぎ付くのである。
前半部分で登場する2番目の夫「あだ名:王子」は、当初別居婚というやつで、週に一度か二度会う程度だったのだが、どうやらこの「空白期間」の症状悪化の時期に(妻の面倒をみるために)同居を始めたようだ。さらに最悪の時期には、自分の会社を休職し、何とかして妻を支えるため、必死な様子で傍に座っている。素晴らしく優しい旦那さんではないか。
最悪の頃は、温厚なはずの山本文緒さんが家の中で物を投げ飛ばして暴れたりもするのだが、そんな危機の状況にあっても、「王子」さんはよく堪えている。
文緒さんの方はもはやどうにもならないようなこの時期、ついに希死(自殺)念慮にも囚われ、いよいよ夫の方も心配そうだ。この辺の二人の人間関係の激しさは、並みの小説よりも濃く、重い。
本書を読んでいると山本文緒さんは、ちょっと風邪を引いたときなども、自分について考えこんでしまう内省的な面がとても強い。なんにも反省しない人ならラクだろうけれどいろんな失敗をやらかしそうだ。かといって、ここまで内省的だと、確かにしんどいストレスがたまっていき、うつが昂進すればいよいよ真っ暗な閉所に閉じこもってしまうかのような態勢にならざるを得ない。
ひどい状態のときは、この閉鎖的な自己意識との泥沼の格闘状態で、自分と身近な他者との関係についてなら考えられるし、その他者にとっての世界ということまではなかなか思い至らないし、ヒトゴトのように見えるだけで終わってしまう。たとえば夫にとってどうしてあげたらよいのか、全く考えられないわけでもないがそうした行動に至ることはできない。自己の泥沼の吸引力が酷すぎてそこに留まることしか出来ず、自己を「超えて」他者の方へと「跳躍」することが不可能なのである。
だが、徐々に快方へ向かい、ついには医者からも「完治宣言」が出され、山本さんもやっと、「夫のために」行動することが出来るようになり、ようやく「幸せ」までこぎ付いたのだ。
自己を振り捨てて他者のために行動すること。そこに見える幸福が、すなわちback numberの「瞬き」の「幸せとは・・・」に該当するのだろう。「うつ」の最悪の状態ではもはや脳内の化学物質の状態が異常な割合になっているために、本人にはどうにもならないのだが。
最後にほぼ全快の状態に至る本書は、私には生半可な小説よりもずっと感動的だった。やはりこの作家の心は、私には強く共感できる感じがする。
40代でこの深甚な「うつ」体験を経た彼女は、優しい夫とともに、幸せに暮らしたのだろうか? 2021年、58歳で癌で亡くなるとき、彼女は何を感じていたのだろうか?
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
文庫版追記にも書かれていたが、こうして俯瞰して見るとうつのまっさかりすぎて、これが商業文章でリアルタイム公開されていたことを考えてしまう……
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
文庫だと「私のうつ闘病日記」とサブタイトル?がついている。単行本を出したときには、まだ「鬱」という病気に対して吹っ切れていない部分があったそう。まだ距離を取りきれない、引き戻されてしまう怖れを感じていた、ということかもしれない。
ややもすれば深刻になりそうなところを、読み手への気遣いなのか、作家としての気概なのか、ユーモラスにも感じられるような緩やかな筆致。
「王子」目線で読んでいたかもしれない。言語化された鬱屈に、そういうことだったかと、ため息をつきつつ。そしていつかはそれを宥めることができるようになる、こともある、という希望が少し。
書けなくなった日々をはさみつつ、書きたいという意志が彼女を引き上げたのだろうか。私の娘を引き上げるものが、娘のうちからも湧くことを願う。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
解説にもありますが、あまり鬱らしい鬱症状は書かれてません (対処法も)。そして、周囲の人の温かさや「らぶ」の多さが羨ましくなります。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
ドラマ「自転しながら公転する」を観て、山本文緒さんの作品を読んでみようと思った。
そして、山本文緒さんはお亡くなりになられていることと、著書「無人島のふたり」を知った。
「無人島のふたり」を読む前に、まずはこちらのエッセイ?というか日記?を…。
うつ病の大変さを知った。
本人も辛そうだけど、「王子」と呼ばれるご主人や周りの人たちの支えがあったことで救われる。
精神科医の方の解説の最後に書かれていた。
自分を大切にしつつ、周囲の人をも大切にするというバランスの取れた生活が、幸せの条件だと…。
それと、山本文緒さんが書かれていましたが、食生活に気をつけることとお酒やタバコ(私は喫煙者ではないけれど)はほどほどに…。
では「無人島のふたり」読ませていただきます!
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
『無人島のふたり』『自転しながら公転する』と読み、すっかり山本史緒さんの作品にハマっています
この『再婚日記 私のうつ闘病日記』は当初は普通の雑誌『野生時代』に連載されていた普通の日記形式のエッセイで、再婚での新婚生活について書くつもりだったようだが、途中うつ病を患い、数回の入院生活と自宅療養を経た闘病日記となっている
2003年8月から2004年2月、途中2年の中断を挟み、2006年6月から12月まで
初出時には「うつ闘病日記」とは題さなかったものを、文庫化にあたり「うつ病」と記載し、日記で空白となっていた一番うつ病に苦しんでいた時期の2年間を補完してある
山本史緒さんも本文中に書いているが、うつ病の直し方が書いてあるわけではない。また、解説の精神科医の大平健さんによると前半はうつ病かも疑わしいようらしい
でもここに山本さんを苦しめた【何か】が確実にあったのは確かなわけで…
それを克服するまでの一つの過程としてみると大変興味深い
山本さんの再婚相手である【王子】
彼は『無人島のふたり』でも出てきて、この当時から15年近く経ってもいまだ仲睦まじい姿を見せている
彼は今何を思っているのだろうか
作家が亡くなった後で読む、その作家の痕跡は
その人が生きて存在していた時を知っていると切なく寂しい
でも読むたびに懐かしく、何度も身近に感じられる
作家として言葉を残していてくれたからこそ
今も繰り返しその言葉に触れることが出来るのは幸せだなと思う
山本さんのご冥福を祈りたい
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
「自転しながら公転する」の解説を読んで
山本文緒さんが亡くなった事を知った。
山本さんがどんな方だったのか知りたくて
この本を読みました、印象に残る言葉が
たくさんあった。
病気が見つかってからの「無人島のふたり」も
読みたいと思う。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
人の日記を盗み見しているような気になるエッセイ。いや、こんな無茶苦茶な生活してるって書いちゃって良いものなの?!鬱病なのにお酒も煙草もやってていいの?!ただ、そのぶっ飛んでる分読んでいるのは面白かった。酷い時期を脱した後を読んでいると、やっぱり無茶苦茶な暮らしは体を痛めつけ、それは心にも通じていたのかな、なんて思ったりする。
前半を読んでる間に話に引っ張られて自分自身がかなりウツウツとしてしまった。ある意味自分よりもっと酷い状態の人がいると救われていた部分もあるけれど、いつ読むのがベストなのか難しい。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
作品紹介と本文とはかなりギャップがある。
私はうつと広場恐怖症を併発していて、外出が最大のストレス。
なので買い物や外食、スポーツジムやクラブにまで行けるというのは素直に羨ましいと思った。
だけど胸の痛みなど自分にはない症状が出ていて、人には人のつらさがあるのだなと納得した。
納得したのに後半に胸の痛みは胆石によるものだったとあり、なんやねん!!と突っ込んでしまった。
それ以外にも多々症状はあるけれど、なんだかうつ病闘病記というよりは小金持ちの自堕落エッセイという感じ。参考には正直ならない。
『ばにらさま』が面白くて、他の作品も読みたかったけど、見なくていい作者の私生活覗いてしまって後悔。