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鉄道を社会資本としてどう捉えるのか。
政治との距離をどう保つのか?
当たり前のことを改めて考えさせてくれる。
時代が違うとはいえ、軌間をめぐる「建主改従」か「改主建従」かの論争は現代にも通じるものだ。
それにしても荒船清十郎のくだりは笑うしかない。
でも、違う形で今も同じことをやっているんだろうな。
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”我田引鉄”の最たる例といえば、東海道新幹線の岐阜羽島駅の事だとばかり思っていた。しかし、本書を読むとどうやら真逆のようだ。しかも大船渡線を始めとする典型的な”我田引鉄”の例は他に多々あるようだ。
本書は、標準軌と狭軌選択の歴史から始まって、鉄道への政治の関与、民営化の問題、新幹線の海外への進出まで、表題通り「鉄道と国家」の関係が分かりやすく記述されている。
国家が関わる以上長期的な視点に立って、国益に叶うような協力なリーダーシップが必要なのではないだろうか。上越新幹線の様な個人利益と絡めない様な、ミスター鉄道の登場を切に願わずにはいられない。
なぜなら鉄道には、人との触れ合い、地域との触れ合い、車両に垣間みる未来など、愛すべきことが沢山あるからだ。
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★『国家と鉄道』
第一章の「”軌間”(線路の幅)が、その国の鉄道将来像を決定する」という内容から始まる。日本の鉄道の歴史のスタートの経緯(いきさつ)が、こんな足元のことによって縛られていたなんてチョット驚きの話だ。
そして、第二章〜第五章までは「我田引鉄」をキーワードした、鉄道と政治の話。第二章あたりの”日本の鉄道の父”井上勝や、”軌間”の拡張『広軌論』を唱えた後藤新平、東海道新幹線計画を支えた佐藤栄作、日本列島改造論の田中角栄の頃までの「鉄道建設は国家全体の発展に必要とされる国策である」という政治スタンスで、欧米列強の開国プレッシャー後、そして敗戦後日本が遮二無二に国を作り上げていく勢いというものを感じる。「鉄道は地方発展のためにやむを得なければ赤字を出してもよい」という、田中角栄の言葉が説得力を感じるだけでなく、その当時の日本社会に漂う、「成長が全てを癒やす」感を国民も共有していた。
それ故、一政治家がご都合主義で地元に新駅を作ったり、鉄道路線を経済的合理性を全く度外視して地元に誘導してみたり、ダイヤを変えさせたりと好き勝手に振舞うことができ時代でもあった
だが、ビジネスレベルでのみ社会資本整備を見ようとする姿勢が定着し始めた頃、国鉄の莫大な赤字が社会の中では容認されなくなり、赤字路線の廃止に始まり、「国鉄再建法」の成立、民営化に進んでゆく。今からみれば、当然の経済理論のように思えることでもあるが、その背景にはどうしても、日本の成長の現界の翳りを見はじめていた社会があったように思えてならない。最後の章は新幹線の海外への輸出は総合システムとして国をあげて、輸出することによって国際競争に勝ちかち、新幹線の技術が商業上の利益にとどまらずに、国際貢献を果たすことができると結んでいる。
鉄道を利用することが減った生活を送っているが、あらためて、この本で得た知識が失せないうちに、鉄道での旅行を計画して、時代を遡って浸ってみようと思う。
2014.05.27
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※メモ
【きっかけ】
鉄道関係の仕事の副読本として。
【概要】
鉄道史をたどり様々な路線建設の経緯をたどりながら、政治の関与を紐解く。
海外鉄道輸出についても章が充てられる。
【感想】
帯の「すべての路線は政治的につくられる」というテーゼは当たり前ではあるが、それを前提として距離感を見ていくというのはおもしろい。特に黎明期の軌間論など。
海外輸出についてシステムとしての完結性を担保できることが前提とすると、大雑把に解釈して新興国輸出については基本的にネガティブと受け取れる。(技術協力や事業運営に参加、という話はあるか)
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国だけでなくても地方自治体の記載も多い。信憑性に疑問が有る伝説がよく調べられている。特に岐阜羽島駅の話が興味深い。
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鉄道と国家。いささか堅いタイトルであります。サブタイトルにありますやうに、過去の鉄道敷設において、如何に政治が関はつてきたかを考察します。
表紙には「すべての路線は政治的につくられる!」との惹句(?)。まあこれは当たり前の話で、屡々言はれるやうに、本来鉄道は中央集権の象徴として敷設されてをります。ただ、力のある代議士などが、地元への利益誘導の一種として、強引に路線を迂回させておらが村に汽車を走らせやうとしたり、新たに中間駅を作らせたり、地元の駅に急行を停まらせたりといふのは困りますな。これを我田引鉄と称します。
特段に目新しい内容はありませんが、政治を絡めた鉄道史として、非テツの読者にとつては、恐らく新鮮な視点で読めるのではないでせうか。ああ、わたくしもテツではありませんが。
東海道新幹線に佐藤栄作が大きく関はつてゐて、本書では功労者として描いてゐます。島秀雄や十河信二の名前は直ぐに出てきますが、この佐藤こそ新幹線計画になくてはならなかつた人であると。この視点はわたくしには無かつたので、中中興味深く拝読いたしました。
また、未だに岐阜羽島駅は大野伴睦が強引に作らせた政治駅であるとの俗説が流布してゐます。本書ではその点も修正が入つてをります。まあ、駅前に大野夫妻の像が屹立してゐるのを見れば誤解する人も多いでせう。しかしなぜかかる像を立ててしまつたのか。しかも女房も一緒に!
さて最終章は「海外への日本鉄道進出」がテーマで、本書の中では若干異質な内容であります。今でこそ首相自らトップセールスで新幹線の海外売込をしてゐますが、かつては官民一体に程遠い状態で、海外勢に敗れ苦い汁を飲まされてきました。完成度の高いシステムとしての新幹線を海外で展開することで、その国のインフラ整備、雇用創出など国際貢献も出来ます。因みにこの著者、中国にはかなり毒を含んだ筆致ですね。まあ、ごもつともと頷くしかない。
鉄道をテエマにした「新書」は、今やウンザリするほど出てゐますが、著者の趣味的内容に留まる自己満足本が多いのです。新書として世に問ふならば、この『鉄道と国家』くらゐの力作を望むものであります。
http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-681.html
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我田引鉄、つまり、政治家による鉄道の地元誘導策(路線変更・駅の設置・新線開通)につき、鉄道発祥期から国鉄民営化までを叙述。ローカル線設置と上越新幹線の件は、狭い範囲だが良質の田中角栄論。ただ、本書は、そこだけではなく、①鉄道網(特に幹線網)の発展経緯、②線路幅など鉄道規格と後世への影響、③軍との関係、④大正期の政争、⑤新幹線技術の輸出(韓台中だけだが)も解説。④につき、中国のコピー文化、特許(商標・著作権も含まれるが)を巡る国際的紛争にも触れるが、経済発展顕著な国に等しく発生するよう。かつての日本も同様。
徐々にルール内に引っ張り込むしかないが、それまでは徹底して責任追及と防衛策に当たるしかない。その意味でJR東海(中国不信)と川崎重工業(一定のコピーは容認?)の対応策の違いは興味深い。
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東海道新幹線計画における佐藤栄作の貢献、岐阜羽島駅は大野伴睦の我田引鉄との俗説の検証が関心を惹かれた。
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鉄道建設に国家というか政治権力が関わった事例を集めた本。全体的にエピソード集といった感じですが、1章目の狭軌か標準軌かを取り上げた章と、政治家として佐藤栄作を取り上げた章が類書には余りなく読んだ価値がありました。後半の方になると、個々のエピソードが独立していて、しかもそれ国家か?政治か?というものも入っていて(美幸線とか)まとまりがなくなった感じはあります。
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ローカル線はなんの価値があるのか、何故できたのかを少し知ることができました。輸送網として災害時に役に立つ可能性を秘めているので、利益のみを考えて運営するのもどうかと思うようになりましたが、民営化された以上、利益を求めなければならないことを考えると悩ましいと思います。