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心を病んだ青年と、会社がつぶれそうな女社長、引きこもりの女子高生が湾に迷い混んだクジラを見に行くうちに、自分の人生を取り戻す物語。人間誰しも悩みがあり、救われたいと、心の底では思っているんだよなぁ、と当たり前のことを改めて感じさせてくれる作品。人生に迷った時に読むといいかも。
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窪美澄(@misumikubo)先生と、三省堂書店新横浜店(@sinyok_sanseido)さんに感謝。
しまった。うっかり読んでいたけど、窪先生の本だった。出だしから暫くしてさっそくエロいじゃん。。。いや別に官能小説じゃないんだからそれがメインじゃないんだけど。
正子のエピソードは由人や野乃花のそれよりリアルに重くて苦しかった。ここまでじゃないけど似たようなもんだったから。私は何とか耐えて、親の理想「女の子が家を出るのは結婚のとき」で家を出た(相手は自分で見つけた)けどね。
正子の年頃に「死」に立ち会う経験が私にもあったら、どうだっただろう。
クジラのそばに居る日々で、野乃花とは血の繋がった人より本当に母子だったんだな、よかったな、と思う。
そんなわけで、思い入れのあるキャラは正子。
それと、
「絶対に死ぬな。生きてるだけでいいんだ」
って、私にも言っていただけてるんですよね?
偶然、『クジラは海の資源か神獣か』は先に読んでました。「ブランチ」見たときは先生のエピソードに笑っちゃいました。
読後、『幽霊人命救助隊』を急に思い出した。アプローチも毛色も全然違うんだけど何故か。「死ぬな」繋がりかな~
ありがとう。私、自分からは死にません。
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宇宙にいるみたいな海辺の星空の下で慟哭する正子と、近くにいてもその悲しみに手も足も出ないと思う由人。この場面がひたすら切なく悲しくて、引き絞られるような痛みを感じました。
ただ生きてるだけでいいんだという言葉があったけれど、本当にそうだったらどんなにいいかと思う。実際はどうなんだろうとどうしても考えてしまう自分がいます。
窪さんは前作を読んだときからすごく巧い作家さんだなと思ってましたが、二作目も期待を裏切らず、重いテーマだけどしんどくならない。読後に身体から少し毒が抜けたような気がする。
これからもますます楽しみです。
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心に傷を負った三人の男女が出会い、クジラを見に行く。
母親の影響力って怖いなって思った。
良い話だとは思うけれど、なんだか器用すぎっていうか、狙いすぎな印象。
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家族の愛に恵まれなかった3人が出会い、湾に迷い込んだクジラを見に行く。
死を一瞬でも願った彼らに救いはあるのか・・・
話の展開に特に目新しいところがあるわけでもないのに、ぐいぐい話に引き込まれてしまった。文章がうまいと思う。これからも追い続けたい作家さんです。
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デザイン会社に勤める由人は、失恋と激務でうつを発症した。社長の野乃花は、潰れゆく会社とともに人生を終わらせる決意をした。死を選ぶ前にと、湾に迷い込んだクジラを見に南の半島へ向かった二人は、道中、女子高生の正子を拾う。母との関係で心を壊した彼女もまた、生きることを止めようとしていた――。
前半は、とにかく重くて息苦しくなるような話ばかりで
もぅ、読んでるこっちまでが苦しくなってしまった。
初読み作家さんだったから、
私には合わない作家さんかな、と思いながも
頑張って読んだが、
なかなかページがすすまなくて困った。
後半、ほんとにラストの方なんだけど
人生に疲れた3人がクジラを見に行くところからは
前半のあの息苦しさから
少しずつ少しずつ開放されていくせいか、
どんどんとページが進んだ。
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死にたい、と思った3人が、死ぬ前に迷って座礁したクジラを見に行こうと旅に出る。その3人の人生のお話。
あまり楽しいお話ではない。
死んでしまおうと思うまでの過程がリアル。
でも、自分は死のうかなって思いながらも他の2人には生きる希望を持たせようとするところに少し強さを感じる。
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読むのがつらいけど、読み終わるまで本を閉じることができないほどの吸引力を持った本だった。
登場する家族が、ごく普通のフリをしながら内側から徐々に崩壊していく様がこわかった。
冷蔵庫の隅で、忘れ去られたトマトがゆっくり腐ってゆくような、関係ない人から見たらどうでもいいような、とある家族の形。
そしてそこから脱出しても、必ずしも安住の場所はないというのがやるせない。
胸を締め付けられて息がつまるような感覚を味わった。
ごく当たり前に自分の居場所・帰る場所があるというのは、本当に幸せなことなんだなと思った。
登場する人たちも、物語の最後には自分の居場所を見つけた?とりあえず見つけるための一歩を踏み出せたのではないでしょうか。
とにかくおもしろかった。次回作も読みたい。
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生きることに意味を見つけようとすると辛くなる。何ごとにも答えを見つけようともがいている。しかし、答えなんかなくてもいいこともある。生きていること、存在していることに意味があると気がつく時もある。クジラでも見にいってみるか。
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主人公3人の境遇は、もう救いなんてものが入り込む余地なんてこれっぽっちもないじゃないかと思わせるほどに過酷。
読み進めるのも辛くて、幾度となくたまらない気持ちに陥った。度々立ち止っては読んで、立ち止まっては読んでの繰り返し。にもかかわらず、やっぱり先を読まないわけにはいかない気分にさせられる。
そして読み終わった時、なぜかちょっとだけ前向きな気分にさせられている不思議さがある。
物語のほとんど99%くらいは救いがないのに、最後の1滴にようやく見出された光。
その光も決して希望といえるほどの明るいものではなく、僅かにつなぎとめた微かな光というほどでしかないのに、だ。
思うに主人公3人とも極めて特異な環境の中で育ち、ひどく歪んだ感情を持っているんだけど、決して遠い世界の話ではないということ。むしろ紙一重。
そういう意味では、どこにでもいる普通の人間を描かれているだけだと、どこかで感じながら読んでいるから、そういう不思議さが生まれるんだろう。ぼんやりと。
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『ふがいない僕は空を見た』著者の新作。
急に安っぽくなってしまう気がするので、「感涙」とか「泣ける小説」とかよくあるキャッチフレーズがつかないと良いなぁと思う。
私は前作も含めてちゃんと本棚に並べて、時間が経ってから読んで、その時の自分がどう思うか知りたい。
とりあえず今は部分部分が自身に重なるせいか時々落ち込みながら読んだけど、最終的には穏やかな気分になった。
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『ふがいない僕は空を見た』で有名な筆者の作品。初読です。
なかなか味わいのあるいい作品でした。多分きっと、人は生きている事が大事なんじゃなく(もちろん大事だけどそれよりも)、生きていると思える事が大事なんだと思う(説明下手だけど・・・)。
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たまたま居合わせた、過去の苦しみから逃れられずうまく生きられない3人が、ひょんなことから入り江に迷い込んだクジラを見に行くことになり、そこでの出会いを通して再生への道のりを歩み出す勇気を手に入れるというお話。
ある意味、母と子の物語である。
すごく生身の人間を感じる。
3人それぞれの生い立ちや苦悩は、皆、母子という関係の中で生まれた苦しみばかりで、そのどれもが切なくて辛くて哀しい。
押しつけがましくない語り口も絶妙で、人物とリアルタイムで自分がそこにいるような感覚になり、すっかり入り込んで一晩で一気に読み終えてしまった。
後半数十ページは、はらはらと泣けてきて涙が止まらなくなった。母子の物語にはめっぽう弱い。
「絶対に死ぬな。生きてるだけでいいんだ」
この言葉を実感できるほどに、身近に大切な人が一人でもいてくれれば、きっと人は皆、何があっても前を向いて生きていけるんだろうけど。
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「ふがいない〜」が良かったので、読んでみた。
やっぱりこの人の物語が好き。
みんな弱くていろいろ抱えててぎりぎりで生きてて、もう全部放棄しちゃいそうになる。
それでも、とりあえず今日生きて、明日生きて、どこかで希望を見つけて毎日積み重ねていくんだろうなあと思った。
生きたいように生きればいいんだよなあ。
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"長い戦いを終えて疲れきって眠っているように見える。それがどんな戦いだったのかわからないけれど、この二人の女は確かに一度、死のうとしたんだ。"