紙の本
疑心暗鬼が怖い
2018/12/14 01:22
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投稿者:つきたまご - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミステリが、というよりも、人間の心の弱さや疑心暗鬼になった際の空気がリアルに描かれていて、心に残る作品です。さすがクリスティー、という感じです。
とはいえ、ミステリとしても楽しめました。ツッコミどころがあったり、好き嫌いがでる方向性だったのは認めますが。(あとがきの解説の方も、盛大にツッコミを入れてましたし。)
アガサ・クリスティー作品は、ポアロものは「犯人探し」が楽しいですが、ミス・マープルやノン・シリーズは、こういう「人間の心の動きを描いた」系作品が、個人的には好きです。
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獄中死した家族の無実を証明する人物がやって来たことから、一家の鎮まっていた生活が掻き乱される。では誰が真犯人なのか…。
終始根底に静かな憎しみが潜んでいるような感じを受けた作品。単なる謎解きではないけれど、真実を探りながら人間の深い心理が浮き彫りにされている。
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アガサクリスティー。愛すべき未完全作。らしい。ちょっとおしい!っていう作品。でも、これは推理小説というよりも、心理小説。ということで、まぁ、良いとしよう。犯人の動機とか、ちょっといやだけど。もうちょっと犯人にびっくりさ加減がほしかった。まぁ、推理小説=エンターティメントな私にとってはOK
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慈善家の老婦人が殺され、評判の悪い養子のジャッコが逮捕された。彼はアリバイを主張したものの有罪となり、獄中で死んだ。それから二年後、外国から帰ってきた男が、ジャッコの冤罪を告げに遺族の住む屋敷を訪れた。が、その来訪は遺族にとって迷惑だった。落着したはずの事件が蒸し返されることになったのだ。
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クリスティお得意の心理ドラマ。
南極探査から戻ってきた男が絶対有罪だと思われて死刑となった男は無罪だと男の家族へ報告しにいく。
犯罪者だと思われていた男が無罪だったなら、本当の犯人は家族の身内にいる、とどんどん疑心暗鬼に陥っていく。
そうして、人間関係は崩れ、新たな殺人がおき始める・・・。
ティナとフィリップが好きだ〜。
何がすごいって、動機のみが焦点で最初から証拠(心因的な)が提示されているのに気づかない(お馬鹿)。
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アガサクリスティー本人がベスト10に選んでる作品らしいけど、私の好みではなかったです。
ま、推理小説として読まなければ良かったのかも…
いつも読みながら推理はしないんですが、これは珍しく犯人途中で解かっちゃったし。
でも登場人物のキャラも魅力的だったし、ジャッコの無罪が明らかになり「では誰が犯人なのか」と動揺する家族の心理描写はさすが。
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なんてこったー!から落ち着くべき所へ落ち着く手腕が相変わらずすごい。
殺されたお母さんが「死との約束」のお母さんとかぶる。
ぱっと見は違うんだけどねぇ。怖さの質がそっち方面。
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ある人物が、無罪であるということは、
別の人物が、有罪である可能性があるかもしれないということだ。
ある人物が、無罪であるということは、
よい知らせだと思い込んでいることがある。
利害関係者にとっては、利は害と背中合わせである。
利があるところには、かならず害もあるのだということが、本書から理解できた。
世の中は、うまくいかないものだ。
ps.
解説には、本書がある意味で失敗作だと書かれている。
小説としては、いろいろな複線が有効に働いているので、成功作だと思う。
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アガサクリスティーの代表作『そして誰もいなくなった』が家庭内で起こる。人々の疑心暗鬼が良く描かれている。犯人はいつものごとく予想外。
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冒頭から怪しい様子で、これから殺人が起こると思った。
主人公が向かったのは、2年前に殺人事件が起こった家。そこに住む子供のいない夫人が殺されていた。夫人は、戦争孤児を引き取り夫と共に暮らしていた。解決していた事件が冤罪だったことによる家族のもつれを描いている。最後まで犯人はわからず、読み応えありでクリスティのミステリーの良さを再認識した。「そして誰もいなくなった」と同等な満足度だ。
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あー!また犯人はずれたー!
でもあのひととこのひとが結ばれるのは早い段階でわかった!クリスティはこういうのすきだよね(^^*)
無実であることの証明は難しい。これにつきる。
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解説では「愛すべき失敗作」となってるけど、
そこまででもないような。確かに最後のヒントはちょっとやりすぎな
気はするけど。普通に面白かった。
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英BBCのドラマが面白かったので、原作も読んでみようと思い手に取った。
初期設定やフィリップが殺される部分は小説とドラマはほぼ同じなのに、結末(真犯人・動機)は全く違っていて、最後まで楽しめた。
ドラマを見てからだと多くの場合はトリックや犯人が分かってしまっていて、面白さが半減するけど、この作品は原作から入っても、ドラマから入っても、どちらでも大丈夫。
ポアロやミス・マープルといった名探偵は出てこないが、かえって新鮮な感じだった。
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探偵不在の推理小説。解決済みの殺人事件で犯人とされた家族が実は無実であったなら。残された家族のうちのいったい誰が真犯人なのか。
それぞれの心の中が詳細に描写され、誰もが自分以外を疑っている状況で第二の殺人が…。
ころころと変わる視点にのめり込める方ならば、最後まで一気に楽しめると思う一冊。私は途中まで、あれ、誰が誰だっけ、と裏表紙の人物名と紹介をにらめっこしながらの読了でしたが。
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NHKで同名の海外ドラマとして放送された作品の原作。
殺人事件というのは往々にして、エゴイズムの塊であるが、本書はそんなエゴイズムが、悲劇を巻き起こす。
資産家の女性、レイチェルが殺された。
殺人犯とされるのは、彼女の養子である、今は亡きジャッコ。
なんと、「おまえはもう死んでいる」状態の設定。
話、終わりじゃん。
しかし、第三者であり、本作の探偵役のアーサー・キャルガリが現れたことで、事件が蒸し返され、改めて真犯人探しが始まる。
解説にもあるが、めでたし、な終わり方は妙な唐突感があるし、真犯人が判明するのも、なんとなく取ってつけた、感はある。
その意味では、ドラマ版の方が、私は鮮やかで面白かったと思うし、登場人物たちの育ちの背景や心情が補足されていて、面白かった。
ただ、そちらを先に見ていたからこそ、本作が分かり易かったし、読みたいと思ったきっかけであるので、優劣をつけるつもりはない。
登場人物たちにあまり感情移入ができなかったが、自分勝手さは誰もが持つ心の動きであろう。
母親との関係も、よく問題になる。
愛したのに、その愛は帰ってこないし、良かれと思っても疎まれる。
愛は自己満足に過ぎない。
それでも、愛を持って解決したのは、著者の心のうちに、愛を信じたい気持ちがあったからではないか。
何とも陳腐な憶測ではあるけれど、私も、それでも愛を信じたいと思う。