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『日本陸海軍の上層部には、それがまた狙いで、たとえ負けるにしても、「一億玉砕」をかかげて、最後の最後まで特攻をかけ、米英から、譲歩を引き出すべきだとの声も強く』
アホだと言い切れるのは結果論だろうか。
当事者だとしたら、どうなんだろう。
『おれが死んでも、戦局は変わらんのだがなあ』
いちばん印象的だった山下大尉の言葉。
なんでこうなってしまうんだろう。
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藤本(2011.11)
毎年、夏休みには終戦記念日に合わせて「戦争もの」を一冊読むようにしています。これは小説ではなく、丁寧に調査した事実をもとに、二人の将校の特攻に出ていくまでを淡々と記されています。年に一度くらいはこのような時代を経て、このような人たちがあって今があることを感じたいし、子供にも伝えていきたいと思います。
返却(2011/12/2)
今度山本五十六の映画が上映されるそうです。
昔の戦争に突入するまでの経緯も様々で一人一人が様々な事を考えながらも戦地に赴いた事が読み取れました。
戦争はいらないけど若い人はもっと昔を勉強しないといけないなぁと思いました。
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2度目の知覧特攻記念館に行くにあたり、読んでから行けと父に薦められた本。
絶対に読んでから行くべきだと思った。
特攻へ向かった人、その家族。
読んでいて胸が締め付けられる事が何度もあった。
最後の特攻については許せないと思いつつ、異常な時代だったので異常な人間になってしまうんだな。
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時は戦時中、今とは全く価値観が異なり、現代を生きている自分がここはこうしたほうが良いのに、といった考え方は通用しない。
本作はそのような戦時中に上官の命令のまま、若くして死を選ばねばならなかった(それ以外に選択肢が無かった)青年・その周辺の人に焦点を当てて描いている。
作中の主人公である関行男と中津留達雄はともに23歳で世を去っている。
かたや私は現在21歳。
有能な操縦士といえども青年の心が抜けない2人。
彼らが自分の歳と同等の時期に、何を考え、何を思いながら最後の操縦桿を握っていたのか、考えただけでやりきれない気持ちになる。
ここで戦争の是非について論じるつもりはない。
ただ私は、「戦争」という時代に生き、「お国」のために「神風特攻隊」として玉砕した青年たちの内奥に少しでも触れたいと思っている。
無念。ただこの一言に尽きる。
彼らに将来待ち受けていたであろう華々しい未来の目が摘み取られてしまったと思うとその一言が胸をついてくる。
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特攻隊に関する書籍を読むと必ず「やるせなさ」「無力感」だけが残るが本書も然り。戦争、平和、幸福、人間、、、、個人としての想いは自己完結出来る程単純なものなのに、何故個人の手を離れた途端に複雑怪奇なものに変容するのか。
本書の内容ではなく構成に関していえば、著者自身の話が何度も挿入されてくるが、それが構成上突然すぎて違和感を感じた。
それがあってこの評価です。
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基本、戦争についての本が好きです。特に実話をもとにしたものは戦争を知らない者にいろいろなメッセージや、生きるヒントをくれます。この本もしかり。
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神風特攻隊第一号に選ばれた関行男大尉と、玉音放送の後で飛び立ち最後の特攻となった中都留達雄大尉。同期生だった二人の短かった人生を掘り下げて、戦史上稀にみる特攻作戦を振り返り、人生を翻弄されてしまった人たちの悲哀を語る。戦中世代の著者が終戦を迎えたのは17歳。同じ年代で特攻として散っていった人も多いという。
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特攻を考えた奴は、修羅だ。特攻を命じた奴も、修羅だ。ようしそれなら、俺たちが本当の修羅になってやる 飛行機乗りとして特攻死した息子のことを思い出せまいとするかのように、あまりにも狭い空。痛ましくて見ていられない小さな空であった
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愚行と片づけてしまうにはあまりにも重すぎる特攻。とりわけ、終戦後に決行された中津留大尉率いる11機のそれは、どう捉えたらいいのか戸惑うばかりだ。戦況を好転させるものではなかったことを捉えて若い命が無駄に散らされたと嘆くより、すべての特攻隊員の方の命ひとつひとつが、現在の平和の礎になっているのだと感謝したい。
とくに、最後の特攻となった中津留機については、作者の解釈に与し、同機が米軍基地を避けたおかげで、終戦後の「だまし討ち」に至らず、その後の国際社会における非難を日本が免れたのだと捉えて心に留めたい。
後から振り返れば、特攻など正気の沙汰とは思えない作戦といえるが、色々な出来事や事情が積み重なって、それが正しいことであるかのように見えてしまう怖さ。少なくとも、軍を動かす上層部はこれを是としていた怖さ。この怖さを忘れず、政治、行政、社会を動かす大会社等の方針が本当に正しいのか、いつも根本に立ち返って考えるようにしなければと思った。東電が事故後の福島を放置して職員退去させるとか、政府が原発事故の情報を隠ぺいするとか・・・常識では考えられない方針が選択されてしまうことは、案外簡単に起こりうるのかもしれない。
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太平洋戦争末期に、戦局の逼迫により機能が崩壊していく日本軍。機や燃料、武器等も不足し、物的にも精神的にも追い詰められる飛行隊。
残された選択肢はただ一つ、命を堵して一人で一艦を仕留める「特攻」であった。
下士官や入隊したばかりの練習生のみならず、彼らを教育する指揮官達の多くも動員され、若くして散っていった。花びらほどの幸福も味わうことすらままならずに。
本作品は、新婚間もなくして神風特攻隊第一号に選ばれ、レイテ沖に散った関行男大尉、敗戦を知らされることなく玉音放送後、最後の特攻隊員として沖縄に飛び立った中津留達雄大尉の二名を中心に、太平洋戦争の悲惨さ虚しさを描いたドキュメントノベルである。
明治憲法の下、政治の実権を握った軍上層部のほんの一握りの人間が勝つことに拘泥し、馬鹿げた戦争を続け、どれだけ尊い命が失われたことか。日本人として直視せねばならぬ歴史であろう。
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太平洋戦争で、特攻隊に選ばれた指揮官たち。
結婚もして幸せをつかんでいた彼らは、何を思っていたのか。
勝つか死ぬかの選択肢しか考えておらず、若者たちは早く戦地に立ちたいと願っていた。
念願かなって入った海軍ではいじめのようなことが行われていた。
明日特攻に行くことが決まって、大切な人に心の中で別れを告げていた。
全部、本当にあったこと。忘れてはいけない。
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第二次世界大戦の神風特攻隊で散っていった指揮官の最後の姿を、当時の関係者や残された遺族などに取材して書かれた哀切のドキュメント。戦局が厳しくなって最初の特攻隊になった大尉と、玉音放送後に出撃して最後の特攻隊になった大尉の二人の人生を中心に話が進む。特攻隊に選ばれて出撃するまでの隊員の心情を描く場面はなんとも言えず切ない。一方で、海軍の実態の醜さや、幹部の情けない振る舞いも披露されており、憤りを感じるところも多い。
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残酷な運命。
しかもそれは人によって決められたものだ。
ひとりの死が多くの悲しみを呼び、幸せになれるはずだった人を壊していく。やるせない気持ちが胸を引っ掻いた。
こんな風に死ぬために生きてきたわけでも、育てられてきたわけでもないはずなのに。
なんて悲しい死に方なんだろう。
こそしてれは物語ではなく、事実なのだ。恐ろしく悲しい。
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最初と最後の特攻隊長といわれる2人。いまなら東大レベルの超エリート・海軍学校の同期の生い立ちや振る舞い、残した言葉を緻密な取材で追っている。国のためとは、郷土の妻や恋人や家族のため。守るために自分の領分でできるのは、それしかなかったとの結論だったのか。例えば警官や消防団員が、誰かを守るために犠牲になって、その崇高さに胸を打たれる。特攻隊員を見る目は、同じだったのではと思う。そんな作戦を考え、命令した上層部は許されるものではないが。
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第二次世界大戦において、特攻という戦法があったことは、もちろん知っていたけれど、最初の特攻隊員となった関大尉の事も、最後の特攻隊員となった中津留大尉の事も、2人が海軍の同期だった事も、戦争が終わった後も特攻が行われていた事も、特攻機の構造についても・・・恥ずかしながら知らない事ばかりでした。
余分な機器を省き、突っ込む為だけに造られた特攻機のそれは、まさに人間ロケット爆弾。
こんな非人間的なモノに乗り込み、命を散らす事が善とされていたなんて、憤りを覚えます。
真面目で純粋な青年ほど、特攻を志願したといいます。
しかしどんな時代でも、親が子を子が親を思う気持ちは変わらないはずです。
”昼間は血気盛んに振る舞いながらも、夜になり布団に入ると皆泣いていた”というエピソードにも、その心の葛藤が表れているように思います。
人の心を狂わせる戦争を心底憎みます。