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先輩から勧められて読んだ。孤高のワンマン経営を目指す藤堂と、多くの協力者と運命共同体経営を目指す矢吹。確かに藤堂は経営者として優秀だが、変革を迫られる事態に弱く感じた。急速な変化が起きうる状況では、個の能力ではいくら高くとも対応できない。多くの優秀な専門性をうまくまとめ上げる力が必要であることがよく分かった。
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面白い!!
「官僚たちの夏」でも感じたことですが、登場人物の躍動感、リアリティを描くのが抜群に上手いです。
単純な善悪二元論、勧善懲悪的世界観ではなく、「それぞれの正義」がぶつかり合い、ハレーションを起こすことで物語がいきいきと進んでいきます。
とても読み応えがあり、経済小説の傑作だと思います。
余談ですが、読んでいてひょっとしたらこの矢吹は、沈まぬ太陽の国見と同じモデルでは?と思い、調べてみたらやっぱりそうでした。違う物語がこういう形でつながるのも面白いですね。
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ビジネスマンなら必ず直面するテーマ「会社は誰のモノなのか?」
1960年代の鐘紡(カネボウ)が題材とのこと。藤堂と矢吹という2タイプの経営者を描いているが、どちらが主役、善玉ということではなく、その対照から考えてみたい。
作中では、矢吹の運命共同体論が藤堂を退けることになったが、カネボウがその後、粉飾決算の泥沼に手を染めていくことを考えるときに、運命共同体が理想的な企業経営であると無邪気に考えるわけにはいかないだろう。
ではやはり企業は株主のものか?
マイクロソフトやGAFAのような巨大プラットフォーマーに経済が寡占化され、オーナーの資産が膨れ上がり、租税回避や離婚騒ぎを見るときに、企業は株主のモノであると無邪気に主張できる人はどのくらいいるのだろうか。
「企業は誰のモノなのか?」資本主義で生きるうえで永遠のテーマである。
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経営に近い立場に自分にとって反面教師となり示唆に富んだ一冊。常に広義のステークホルダー(従業員、サプライヤー、ライバル企業、、、なども含む)とWinWinの関係を築き上げる事こそが経営に求められている事かと。一人勝ちの経営ではいずれ破綻をきたすという象徴的な事例ですね。
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例えが適切ではないかもしれないが、スターリンを彷彿とさせる恐怖政治により地位を築いた藤堂と、運命共同体論をかざし現代的で合理的な経営者である矢吹。時代の流れによって理想的な経営者像も変化すると思うが、何かそれを感じさせるようなストーリーラインであった。最終的な敗者である藤堂自身も非常に個性的で魅力的な人柄として描かれており、痛快な逆転劇による爽快感というよりは、微かな同情が読後感として残る。