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澁澤榮一の伝記小説。妻が読んでたのを僕も。豪農の生れで,攘夷運動に身を投じるが,一橋家に拾われて幕臣となり,欧州留学のお供で身に付けた知識を買われて新政府で活躍,下野後は実業家として名をなした。
小説は渋沢の結婚から最初の妻との死別まで。何だか中途半端な終り方。明治近代化に奔走した人々を「八百万の神々」になぞらえて描く。城山三郎の小説は,「彼も人の子ナポレオン」もそうだったが,文章がなんだか無邪気で憎めない感じがする。
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設立に関係した会社500、同じく関係した社会・公共事業600。日本資本主義の父と言われる渋沢栄一の伝記。
上巻では百姓であった栄一とその妻との結婚から始まり、幕末の動乱から明治への転換までが描かれます。
個人的に記憶に残ったのは「仕事は与えられるものではない、つくりだすものなのだ」という言葉です。栄一は単に反対するだけではなく、必ず彼自身の意見を出します。彼はこの頃から慶喜に建白して財政改革を担っており、それが後の第一国立銀行設立にも繋がっていくのかなあと思いました。
そして、後半の大隈重信の「新政府のやろうとしていることは、すべて知識も経験もないことばかり。何から手をつけてよいかわからぬのは、君だけではない。誰もが、わからん。わからん者が知恵を出し合い、これから相談してやっていこうとしている。つまり、われわれみんなが八百万の神々なのだ。君もその人柱として迎えた」という言葉。多くの人物が力を合わせ新しい日本を作っていく姿は活気があります。
一味変わった明治ー幕末期の小説。
下巻へ続きます。
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渋沢栄一の生涯を描いた歴史小説。上巻は武州血洗島での誕生から、幕末、明治新政府での若き官吏時代に入るまで。
攘夷強硬派→一橋慶喜家臣→フランス留学→明治新政府での大隈からの協力要請
一介の農民が一橋慶喜に取り立てられる件は興味深い。慶喜の周りに開明的な側近、平岡円四郎や原市之進やがいたことはあまり知られていない。彼らが早くに暗殺されていなければ(しかも内ゲバ)、世の中も変わっていたかもしれない。
本書では、渋沢栄一だけのことでなく、幕末維新の全体の動きもよく捉えられていて頭の整理にもなる。
渋沢栄一のような偉人の生い立ちはどのようなものだったのか。
若い時から「建白魔」であり、自分の意見を発信する意欲が強かった。
フランスへの留学が、後世、偉大な実業家になるに大きな影響を与えていたことは間違いない。
(以下引用)
・井上馨が総理になろうとするときであった。明治の元勲たちの中で、井上ひとりがまだ総理になっていなかった。・・・(井上)「渋沢が大蔵大臣にならなければ、引き受けぬ」といった。元老や重臣たちは、入れ代り渋沢説得にのり出した。「きみがやれば井上も総理になれるのだから」と。
(渋沢)「わたしは実業家で通す決心です」
・(渋沢夫人)「お父さんも論語とはうまいものを見つけなさったよ。あれが聖書だったら、てんで守れっこないものね」
論語には夫人の指摘する通り、女性に対する戒めはない。
・平岡もまた、京都へ来て以来、人材登用の必要性をいっそう身にしみて感じていた。薩摩・長州・土佐など、有力諸藩を動かしているのは、いずれも、身分の低い下士上がりの若手たちである。それに比べれば、一橋家も、幕府も、人材らしい人材が居ない。・・・若くて根性があり、頭の切れる若者が、欲しい。その手はじめの一人が、栄一である。
・「天下の権、朝廷に在るべくして在らず、幕府に在り。幕府に在るべくして在らず、一橋に在り。一橋に在るべくして在らず、平岡に在り」と世間にうわさされるほどの人物で、このとき、(平岡円四郎は)四十三歳の働きざかり。
・平岡円四郎も原市之進も、一をきいて十を知る聡明なひとであった。相手の顔色を見ただけで要件がわかるといわれた。先が見えすぎ、ひとの先廻りをする。そのため、かえって、ひとにきらわれるという面もあった。
・(大隈重信が渋沢を大蔵省に招聘する際の言葉)
「新政府がやろうとしていることは、すべて知識も経験もないことばかり。何から手をつけてよいかわからぬのは、きみだけではない。誰もが、わからん。わからん者が智慧を出し合い、これから相談してやって行こうとしている。つまり、われわれみんなが八百万の神々なのだ、きみも、その神々の中の一柱として迎えた」
「知らぬからやめるというなら、みな、やめねばならぬ。やめたら、国はどうなる」
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渋沢栄一は強運の持ち主である。もちろんその運は、己の才で掴んだのではあるが。フランスから帰国し、新政府に出仕するところから話はもっと面白くなるのか。今まで渋沢栄一のことはほとんど知らなかったので、下巻が楽しみ。
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日本経済の礎を作った大人物として、一般常識として渋沢栄一という人物を詳しく知っておかなければいけないと思い、手にとった本。経済人のイメージしかなかったのに、こんなに数奇な青年期を送ったとは知らず驚いた。これから本領発揮というところ、下巻が楽しみ。
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渋沢栄一の物語。
渋沢栄一の生き方自体がもちろん魅力的ではあるけれど、やはりなんと言っても明治初期の人々の「自分たちが日本を変えていかなくてはいけない」という心意気がとても自分にはかっこよく見える。
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渋沢栄一の伝記。
上巻には、攘夷青年だった若いころから紆余曲折を経て一橋家(徳川慶喜)に仕え、留学中に幕府瓦解を迎えるまでが描かれている。
その時々の応じて柔軟に考えを変え、「変節漢」と罵られながらも、時代に適応してゆき栄一。「建白魔」であり、常に「自ら仕事を作り出す」事を考えている栄一。
読むことでやる気が沸く一冊。
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討幕、攘夷を志し、横浜の焼き打ちまで企図した渋沢が、平岡円四郎によって一橋家に推挙され、慶喜の為に働き、慶喜の異母弟、昭武の随行としてフランスに渡る。
維新の動乱の中で非業の死を遂げていく、かつて志を共にした者たちとの対比はドラマチック。
怒涛のような時代転換の流れにのみ込まれていく人々が流れ着く先のあまりの違いには無常というしかない。
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渋沢栄一の伝記文学。
打倒しようとしていた一橋家に仕える柔軟さ、建白魔と言われた提案力、遊学時の吸収力。幕末、明治はエネルギーが溢れる時代。
向こう見ずなだけでは生きていけなかった。
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幕末~明治維新を生きた渋沢栄一の話ですが、臨機応変に自分の立場を変え動乱の中を生き抜く様には感銘を受けました。徳川慶喜、西郷隆盛、勝海舟、大隈重信、伊藤博文などそうそうたるメンバーが登場しますが、これらの登場人物の中において一農民であった栄一が次第に地位を上げていくさまは痛快でもありました。
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戦う商人。
トルネコのモデルになった人です。
嘘です。
日本資本主義の父と言われる方なので、
どんな人なのか知りたく読んでみましたら、
とても不思議な人でした。
幕末史、
英雄ばかりに目を奪われ本質を全然理解できていなかったのですが、
渋沢さんは誰よりも素晴らしい偉人ですがあくまで商人なので、
世の中の流れに綺麗に流されるため、
歴史的背景もしっかり本で説明しないといけないので、
渋沢さんが流される理由を、
その都度丁寧に歴史の流れを著者が書いてくれているため、
幕末の様子がとてもよくわかって、
勉強にもなりました。
しばらく、渋沢栄一にはまりそうです。
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明治の経済人、渋沢栄一の立身伝。幕末から明治にかけての偉人と言えば坂本龍馬が一番人気で西郷隆盛らなどがそれに続くのが一般的だが埼玉の農家の跡継ぎから立身を夢見て江戸に出て紆余曲折を経て一橋慶喜の家臣になりその才能を見込まれ明治政府でも手腕を振るうようになる渋沢栄一。その後、下野し近代革命後の日本の経済を形作っていく。現実的な意味で有名な幕末の革命家たちより経済大国として世界に肩を並べるようになる日本が誕生するために最も尽力した人物なのではないだろうか。
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日本の資本主義の父、渋沢栄一の伝記小説。
上巻は激動の、幕末から明治時代の幕開けまで。
「八百万の神が知恵を出しあって」スタートした明治時代のほうに目がいきがちだけど、江戸時代の終わり方にも注目したい。賢候 慶喜の元で渋沢栄一が働いていたことを知りました。この二人の出会いがもたらしたものは相当なものがありそう。
下巻も期待。
Feb, 2014
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今年の大河ドラマの主人公渋沢栄一の業績を振り返ろうと、76年刊行の文庫を棚から取り出し、約30年ぶりに再読。
しかし、字は小さく(1行43文字)紙面は褪色、読みづらいので仕方なく(笑)2003年改訂版を購入。
こちらは1行38文字で、たった5文字の違いながらはるかに読みやすかった。
上巻は、血洗島の農家に生まれた栄一が、勤王の志に目覚め、やがて一橋慶喜に仕え、慶喜の弟明武に随行しフランスに行き、維新を迎えるまで。
日本資本主義の父と言われる渋沢栄一だが、若いころは攘夷を掲げ、横浜の外人居留地の焼き打ちまで計画していたとは。
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明治維新前後の薩長土肥や会津、新選組等メジャーどころ以外の視点、且つ経済的視点から描いた視点が面白く、又、渋沢栄一という日本の経済界の偉人を描いており、もう少し早く読めば良かったとも思う。