紙の本
無責任な男は死刑になって当然!
2002/04/10 21:31
16人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
広田弘毅は足して2で割る日本的政治家の典型だった。だから傲慢な軍部を前に敢然と立ちはだかることは出来ず、ずるずると後退を続けた。この凡庸な馬鹿外務大臣の時に、近衛文麿首相は有名な「以後、蒋介石を相手とせず」という愚かなセリフを吐き、日本の退路を断ってしまう。まるで今のイスラエルのシャロン首相みたいな馬鹿さ加減だ。広田は死刑になって当然だった。城山よ、あんまりウソ書くなよ。絶対読むな、こんなウソで固めた悪書を。
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激動の昭和といった感じがよく現れててすごく好き。と、ともにやはりこういった事実に対し憤りをおぼえる・・・。最期に「まんざい」といいはなったかれの生き方に感動した。
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東京裁判で絞首刑になった唯一の文官広田弘毅
彼の人生における哲学を覗けるそんな一冊
男たるもの、強い信念を持たねばね
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東京裁判で、文官として唯一絞首刑になったA級戦犯、広田広毅の生涯である。学生時代に読んだ時はすごい人だなあ程度だったが、ある程度歳を取ってから再読すると、重みが全然違う。人生の羅針盤としての一冊である。
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まさに「教科書では教えてくれないこと」。与えられる情報ばかりじゃなく、自分から情報を求めて生きていこうと思うようになった。
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自身に不利に進行する裁判中や、絞首刑が決定した後においても、敢えて自己弁護を潔しとしない主人公の姿勢は、今や失われてしまったと言われる日本人の美点の1つなのかと思った。 家族へ託す辞世のことばを求められた折にも、『・・・自分のやったことだけが一生の仕事になっております。』という淡々とした態度に、ライフワークとはこのようなものなのだと感動した。
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広田弘毅という人物について。
この人はねー、すげー!!! まず、印象的なのは、石職人の息子でありながら、日本の外交力の無さをひどく感じ、外交官、外相、そして総理にまでなった努力量と信念。それと、彼の仕事は和平交渉に徹していたこと。絶体絶命と思われるような状況でも決して諦めず、誠実に相手国に和平交渉を求め、友好関係を気付き上げていく。さらに、一生を通して貫かれた、彼の行動姿勢。ひたすら正義に徹したし。東京裁判でも言えることはたくさんあったが、戦争回避へ向かわせることができなかった自分の非を認め、終始無言で、ついに証言台には立たなかったし。
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東京裁判で死刑判決を受けたただ一人の文官のA級戦犯、広田の話。
戦争を回避しようと努力し続けた男がなぜ東京裁判に立たされたのか。なぜA級戦犯になったのか。
決して感情的でない、どちらかといえば醒めた文章で広田の歩んだ道が書かれる。
東京裁判の是非、戦争責任、靖国問題、日本の外交について、己の生き方、身の処し方。本筋も本筋でないことも考えさせられる一冊。
読んでいて爽快感を味わえる本ではなく重い気分になる本だが読んで損はない。
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東京裁判がはじまってから面白くなってきた。
もし、広田が裁判で発言していたらどうなっていたか。
すこし、たんたんと書きすぎたかも。
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東京裁判で絞首刑を宣告された7人のA級戦犯のうち、ただ1人の文官であった元総理、外相広田弘毅。戦争防止に努めながら、その努力に水をさし続けた軍人たちと共に処刑されるという運命に直面させられた広田。そしてそれを従容として受け入れ一切の弁解をしなかった広田の生涯を、激動の昭和史と重ねながら抑制した筆致で克明にたどる。毎日出版文化賞・吉川英治文学賞受賞。
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傑作。戦争観、東京裁判の評価は人さまざまだろうが、日本人として読んでおいて損はない一冊。
外交の意義、政治の意義を深く考えさせられる。その信念に裏打ちされた従容とした生き方に感動。
あと5年早く読んでいれば法律なんてやってないで外交官を目指したのに!
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感化されやすいのもなんだが、こういう史実を読むと上辺だけの知識ではいけないと後悔する。ニュース報道然り、ましてや今流行りのWikiは論外。
今年の終戦記念日直後に、第二次世界大戦関連本を読んでおこうということで、なんのきなしに手にした作品。
東京裁判でA級戦犯として極刑が下され処刑された7人の中の1人。ただ1人の文官の広田弘毅氏の生涯を綴った半ノンフィクション作品。
15年戦争総てにおいて開戦を阻止しようと外交交渉を重ねてきたが、尽く軍部の暴走に阻まれ、遂には先の大戦に突入する。
そして東京裁判では言われ無き罪を着せられ極刑が下されるのだが、この判決に至るまでの経緯がまたあまりにも理不尽すぎる。
しかし一切上告せずに判決を受け入れる様は
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初めから終わりまで一気に読んだ。
なんで今日までこの本を手に取らなかったんだろうという後悔。
もっと早く読むべきだった。
歴史上の人物を小説として描くということの難しさ。
最初は、どうして作者は広田弘毅を主人公として作品を描こうと思ったんだろうと疑問だった。
でも、今はなんとなくその理由がわかる。
広田弘毅は鏡なんだ。
この作品はあくまでも小説だけど、小説だからこそそれに気づかされる。
自分なりの歴史観を持つことを忘れずにいよう。
今の価値観で過去を評価するなんてナンセンスだ。
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極東軍事裁判で死刑となったA級戦犯の中で唯一の文官であった元首相広田弘毅。本著はその生涯を見事に描いた作品と言える。全11章から構成される本著は最後の3章が極東軍事裁判(通称、東京裁判)の過程を描いたものとなっている。それまでの8章は広田弘毅の出生から大戦終結までの人生を描いたものとなっている。それはまさに、日清・日露の大戦から大正デモクラシー、そして軍部の台頭という近代日本の歴史を広田弘毅という人物を通して描いたものと言える。特に第一次世界大戦後から満州事変、盧溝橋事件、日米開戦に至る32年間は広田自身のみならず日本にとっても大変重要な期間であったことがわかる。この期間、特に満州事変以降の日本外交の中枢に居た広田氏の目を通じて日本がいかにして先の大戦に突入していったかが城山氏の冷静な文章で表現されているのは本著の特徴でもありその秀逸性と言えるであろう。
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誰より協和外交を志向していたのに、統帥権の独立を論拠に増長する陸軍の奏でる狂騒に巻き込まれ、戦中の文官の代表として責任を負わされた広田弘毅。本著は彼の生い立ちから処刑に至るまでの一生を抑制された筆致で描いた伝記小説である。全11章のうち前半の8章は外交官時代から大戦終結までの広田の足跡を辿ったものとなっており、残りの3章では極東裁判の幕内が明かされる。本著の白眉は、何と言っても極東裁判における広田の「自ら計らわぬ」態度である。城山氏が広田を題材に選んだ決め手も、おそらくここにあるのだろう。城山氏は、広田という人物の生き方を通じて、「気骨のある男」とは何かを読者に問うているのだ。本著は一読するとまるで只の伝記のようだが、確かに小説として成立している。それも、非常に良質な小説として。