紙の本
奇術と事件の様々なトリックに彩られた魔術城、ここに現る!
2005/04/13 15:28
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:いくら - この投稿者のレビュー一覧を見る
人気絶頂の最中の結婚、そして惜しまれながら引退し、奇術界を去った「曾我佳城」という名の美貌の女マジシャンは、今や伝説となり語り継がれている。
引退後も彼女の周囲には多くの謎が集まり、そしてまるで手品のように解き明かしていく。
そんな彼女の夢は古今東西の奇術道具や資料を取り揃えた殿堂作り。完成間近の城を前に彼女が魅せた最後のトリックとは?
この作品は《秘の巻》と《戯の巻》の2巻から構成されています。前者が上巻に当たります。
どちらから読んでも大丈夫ですが、私は絶対に秘→戯の順に読むことをお勧めします。
泡坂さんの短編は個々に独立したお話ではありますが、シリーズ全体に一つのトリックが仕掛けられているからです。
曾我佳城シリーズも同様で、多少の前後はありますが、下巻に進むにつれ魔術城が徐々に完成に近付いていきます。また、佳城の弟子である串目匡一の成長も楽しみの一つです。
奇術素人の方でも問題なく世界観に入れますし、随所に登場する解説によって奇術について詳しくなれるというおまけ付きです。
また、「奇術」というと奇抜な物理的トリック中心かと思われがちですが、そんなことはなく、非常にシンプルかつ盲点を突いたトリックも多く、純粋なミステリとして楽しめます。
心理描写もお見事。時には登場人物と自分を重ね合わせて感情移入してしまうことも。
秘・戯合わせて22の短編が収録されていますが、私は特に戯の巻の「天井のとらんぷ」が好きです。
味のあるトリックも然ることながら、登場人物達の心理を的確に捉えているなぁと思います。
子供のイタズラから始まる謎なのですが、その現象が広まる過程、つまり「ブームの元は何処なのか」を追う過程が面白くって、ページを捲る手が止まりませんでした。
更に待ち受ける意外な真実、そして佳城の登場シーンはドラマのワンシーンのようでした。
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「小説現代」に約20年間にわたって連載された
曾我佳城シリーズの集大成。
「秘の巻」「戯の巻」の上下2冊という大分量だが、短編集なので意外に気軽に読める。
ドラマ「TRICK」の自称・天才奇術師山田との最大の差は、主人公の曾我佳城が大人の女性としての魅力が満載な点。
あれじゃあ、弟子の串目匡一少年が幻惑されていくのもしょうがないよねぇ、という感じ。
各話の鍵となるトリックも、さすがはマジシャンでもあった作者の
本領発揮といったところか。
初期のころの短編は独立したエピソードだが、後期になると連作の様相に。最後の一編で終幕となっているので、残念ながら新作は期待できそうもないが、番外編の形でなんとか出ないものだろうか。
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泡坂妻夫。奇術師にして紋章上絵師そして推理作家。
三つの貌を持つ作者だからこそできた奇術ミステリの金字塔。奇術を愛する曾我佳城の夢は、
古今東西の奇術道具を揃えたマジシャン達の集う殿堂づくり。魔術城落成の大舞台に佳城は、
前代未聞の大トリックを仕掛けていた! その正体が明かされる「戯の巻」
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奇術師にして紋章神絵師でもある氏が20年に渡るライフワークで書き上げた曾我佳城全集の後編。
奇術師である主人公の巧みなトリック捌きもさることながら、物語の幕引きも素晴しい。
もっと見たいの少し手前での幕引きに感嘆。
ご一読あれ。
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泡坂妻夫。奇術師にして紋章上絵師そして推理作家。三つの貌を持つ作者だからこそできた奇術ミステリの金字塔。奇術を愛する曾我佳城の夢は、古今東西の奇術道具を揃えたマジシャン達の集う殿堂づくり。魔術城落成の大舞台に佳城は、前代未聞の大トリックを仕掛けていた!その正体が明かされる「戯の巻」。
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引退した奇術師の曾我佳城の最終巻。
著者が20年掛けて完結させたということだけど、おそらく最初からこのラストになるようにしていたんだろうな、と思う。
ただなんともあわただしくて残念。
佳城は男性から見ると魅力的な女性なんだろうか。
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「曽我佳城」を主人公とした短編ミステリーシリーズの下巻にあたります。
奇術探偵というタイトルどおり、すべてマジックに関するミステリです。
短編ミステリも悪くないな、と思わせてくれた良作ぞろい。
ぜひ購読を!!とまではいきませんが、昼下がりのミステリ読書には良いと思います。
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2001年版このミステリーがすごい!第1位、本格ミステリベスト1位、週刊文春ミステリーベスト第6位。短編集。あちこちのアンサンブルで読んでた曾我佳城の短編を一気読み。しかし、やっぱり出版順というか、時系列で読みたかったな。しかし作者がそもそも奇術師だとは知らなかった。こんなあらゆる手法で書かれているなんて、おしゃれな感じ。つーか、作者がうまいんだな、と思う。特にこれ、っていう印象的なのは最後の話くらいだけど。こんな終わり方あるかね。伏線の話も読んだけど、やっぱ合ってないんじゃね。この作者、他のも読んでみようかな。
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下巻。
霧のようだった探偵から温度を感じられるようになってきた頃。
記憶に残ったのは最後の作品。ミステリーとしてはいかがかと思ってしまうのは、著者からのクイズという犯人宛の枠にはまりすぎてしまったからなのだろう。
物語としてこのラストは好き。
ここまで最初から考えていたんだろうな〜。名前もあるし。
オススメはしないけれど、お暇ならいかが?
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このミスベスト10、2001年版1位。ミステリーと奇術ってよく似たものだけど不思議とコラボ作品はなかった。珍しさもあってそれなりに面白いけど、キャラ設定や心理描写が何となく稚拙な感じでコナン読んでるよう。直木賞作家だしわざとそういう作風にしてるのかも。
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前作にあたる秘の巻より、読みやすかったです。人名になれたからかもしれません。奇術のトリックとミステリーを融合させている作品ですが、トリックの要素が少し弱目だったことで、読みこなせました。