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筆者の日本史で大丈夫?
2019/03/03 09:58
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投稿者:あきはばら - この投稿者のレビュー一覧を見る
書物の内容は以下の三つ。
1.ハーバードの先生になって独創的な講義内容と授業の方法で多数の生徒を集め、好評を博したという、いわば成功譚。
2.ハーバードでの暮らしとか季節といった歳時記的な部分。
3.あと日本史の現状と課題について。
前二者については言うことはないのだが、最後の日本史の現状と課題について。第二次世界大戦後、日本史には「大きな物語」がないと筆者は嘆くが、それは戦後日本を覆ったイデオロギーのためではないか。このために日本史は過去との連続性を失い、現在直面している課題も過去とつながりが分からなくなっている。
例えば、戦国時代のキリスト教の布教史について考えてみよう。日本史の中ではキリスト教の布教禁止や弾圧という側面のみを切り取ってとらえられているが、スペインなどの日本侵略構想や、奴隷商人などとカソリック組織とのつながりから初めて意味のある全貌が理解できる。そして現代史とは、「日本防衛史」というつながりでリンクされるのだ。
しかしこのような視点はこの書物の中での日本史の中にも発見できない。これでは筆者も「大きな物語」は提示できないのではないか。
筆者としてどのような大きな物語を提案したいのか。次回作ではそれを期待したい。
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いきいきとした文体から著者のエネルギー溢れる様子が伝わってくる。彼女も lady samurai の一人である。
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サンデル教授の二番煎じかと思って最初はスルーしていましたが、全然違いました。
男のサムライばかり取り扱うハーバードの日本史の授業に疑問を感じた著者が、実際にハーバードの教員になって実践したことがまとめられています。
日本史自体の解釈は正直納得いきませんが、実践の方針は面白いです。
社会に出たときを想定した体験型の授業は、「どーせ、暗記科目でしょ?」と言われがちな歴史の授業のイメージを変えてくれると思います。
隙を見ては自慢話をねじこんでくるのが、日本人の美意識とは合わないかなぁ。ご本人は、そんなつもりはないのでしょうけれど。
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ハーバード大学で大人気の日本史講義をされている北川智子さんの著作。学生時代にハーバード大学で受けた日本史の授業に違和感を抱き、「日本史は書き換えられなければならない」という使命感の元、人気授業をするにいたった経緯が書かれている。実際の授業の内容も詳しく書かれていて、擬似体験ができて刺激的。先生をする楽しさ、日本史を教える楽しさがたくさん詰まっている。
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全体的に、中途半端な印象を受けました。
エッセイでもなく、講義の本でもなく、何かビジネスに応用できるようなハウツー本でも無い・・・。
講義の内容一本に絞って、硬派な本にしたら良かったんじゃなかろうか。実際に読み手が講義を受講しているかのような本、沢山出てるから、そういうのだと思ってた。講義の話が少な過ぎて「その歴史解釈は納得できないっていうか・・・日本史の先生が怒るんじゃない?」な感じです。
そして、中途半端に自慢話を盛り込んでしまったがために、「何が言いたかったのかしら?」な読後感。
でも、若者が海外に出て頑張るという事が大切なんだと思う。うん、きっとそうだ。
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日本史ではなくハーバードライフの本。大学生活の話や筆者の今までのキャリアの話はポジティブで非常に面白いが、題名に納得がいかない。日本史に関してもう少し内容が詳しければ良かったように思う。
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タイトルはこんなんじゃなくても良いと思う。BGMを流し、地図を書かせ、PodCast番組を作らせ、と五感とメディアをフル活用した授業実践の本として読むと興味深い。徳島大学の先生のLectutainmentみたい ^^
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マイケル・サンデルの著書にあやかってつけたタイトルであろうこの一冊。
興味本位で手に取ってみたのだが、実に楽しめた。学部時代は理系だった筆者がどのようにして日本史をハーバード大学で教えるようになっていったかの経緯、そして筆者の歴史そのものに対する熱い思いが素朴な文章で分かりやすく伝わってくる。筆者の日本史観についての賛否は人それぞれだろうが、旧態依然としたものの見方や価値観に縛られないことの重要性を痛感させられる本だった。また、筆者の海外生活の日々が描写されているので若者、特に日本の高校生・大学生には刺激を得られる一冊になるかもしれない。
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旅行中の飛行機内で読みました。
出雲空港への往復(天候不良のため着陸できず引き返す)のため、時間がありました。
教授の視点で、海外の大学の仕組み、制度、生活がよくわかります。
授業のとりくみ、内容も面白いです。
著者の教授が、自分より年下というのも興味深いです。
そもそも外国からみるサムライの定義がかなり強引かと思いました。
武家社会、武士はすべてサムライなのだそうな。。。
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これは面白かった!
ティナ・シーリグ『20歳の時までに知っておきたかったこと』を読んだ時に似た満足感。
社会科教員に強くオススメ。
最初は買う気の全く無いまま、タイトルを見て「また二番煎じか…」と思って表紙をめくったところ、ハーバードで日本史の授業が人気を集めていると見て興味が湧き、立ち読みのまま1章を読み切ってしまった。
そこまで読んで棚に戻す気も起きず、結局は買ってしまいそのまま読破してしまったが、普通に面白かった。
この本の最大のポイントは、創造的な授業作りのアイデアに溢れている点。
日本史への歴史観やらフェミニズム的な主張やらは脇に置いといて、単純に人に物事を効果的に伝える術の例として役立った。
教員志望者は、とりあえず読んでみることをオススメ。
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ハーバード大学で日本史を教える若い女性の先生。
異例の若さでハーバード大学の日本史教師になり、当初、学生の登録者が16人だったのを3年で251人もの学生が押し掛ける大人気クラスに。
ハーバード大学の
「ティーチングアワード」受賞
「ベスト・ドレッサー賞」受賞
「思い出に残る教授」選出
と大人気。
本書は、その先生のクラス『Lady Samurai(レディ・サムライ)』と『KYOTO(京都)』の概要を紹介、そして、先生がここに至るまでの話や授業に対する思いなどをハーバード大学の生活を含めて紹介されている。
ハーバード大学の学生という天才・秀才達の前での授業や生活について、いろいろな苦悩もあろうかとおもったが、常に活発な取り組みで、学生とともに先生自身も楽しんでおられる姿が活き活きと描かれていた。
歴史というものについてのイメージはなんとなく暗い地味な印象があったのだけども、新たな枠組みで、身近な歴史、自分と一体にある、タイムトラベル可能な歴史として講義されている様子。
あるところかrあ、その土地の歴史を俯瞰し、「印象派歴史学」として、ご自身の歴史研究を位置づけられている。
これがどのような影響を生むのか、今後も楽しみである。
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≪目次≫
まえがき
第1章 ハーバードの先生になるまで
第2章 ハーバード大学の日本史講義1 LADY SAMURAI
第3章 先生の通知表
第4章 ハーバード大学の日本史講義2 KYOTO
第5章 3年目の春
あとがき
≪内容≫
日本の高校を出て、カナダの大学で数学と生命科学で専攻し、何の間違えか、日本史の教授のアシスタントをしたことから、日本史を学ぶ羽目になり(まさに"破目")、それが幸いとなり、ハーバードのサマースクールに行って、そのまま日本史を教えることになった30代前半の女性のお話…。
って、元も子もない解説ですが、読んだ感想も何かそんな感じです。
「AERA」で、「こんな先生が日本史を教えていて、大丈夫か?」っていう記事が載っていた(本を読む前に、この記事を読んでしまった私…)が、「AERA」の東大本郷教授のコメントを、私も読後感想として残したいです。
教えてる内容は「ちょっと困る」けど、日本でもこうした教え方(学生を動かす、たとえば、当時の地図を基に自分で地図描く、ラジオ番組を作る、動画を作る、など。また、一緒に「盆踊り」を踊ったり、歌ったり)は参考になるし、最後に言っている「海外で日本史を魅力的に教えることで、外交官と同じ仕事をする」ってのは、なかなかチャーミングな一言でした。
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表紙折り返しの「若き歴史学者のアメリカ」とのフレーズに惹かれて購入。
藤原さんの『若き数学者のアメリカ』へのオマージュなんでしょうか、なんて。
著者の北川さんは、ハーバード大学にて「日本史」を教えている方です。
その講義は年を重ねることに人気を集め、今では200人を超える受講生がいるとのこと。
面白いのは、文系ではなく理系、それも数学畑出身の方との点でしょうか。
因習の強い日本ではなくアメリカだからこそできたのかもしれませんが、とても新鮮に思えました。
そんな北川さんが実際に受け持たれている講義は、次の2種類。
一つは、女性の視点から歴史を紐解いている「LADY SAMURAI」。
- サムライだらけの土壌に女性の話を植え込んで
全体像を書き換えようと挑戦した歴史研究家が未だいない
なかなか耳に痛いフレーズですが、この辺りは塩野七生さんの『ルネサンスの女たち』にも通じます。
講義の中でメインになるのは、豊臣秀吉の正室で、北政所ねね(ねい)。
- 当時の認識では夫婦どちらもが尊敬の対象になる存在
として、戦国時代に領国に対して夫婦で向かい合う共同の統治者、ペアルーラーとして、
決して「サムライ」のお飾りな存在だけではなかったとの見解を示しています。
もう一つは、京都の100年をアクティブ・ラーニングで体験させる「KYOTO」。
人格を持たない都市の歴史を題材に、学生が主体的に入り込んでいけるような構成としています。
- 私は出来事を説明する役割に過ぎず、私の解釈は踏み台にすぎません。
- 歴史事実を貪欲に学び、自分なりの解釈を持ち、そして自分の言葉で日本史を説明する
参加する学生は自分自身の言葉、感性で"京"の100年間(1542-1642)にアプローチしていきます。
そして、そんな風に得た知識と印象は、将来アメリカを背負っていく学生たちへの種蒔きにもなるとしています。
- 実際に外交に貢献しうるような歴史学の試みはほとんどありません
これまた耳に痛いフレーズですが、日本史(国史)にある種の外交官的役割を付加し、
歴史学の社会的有用性を見出しているのは、非常に興味深く感じました。
そして、どちらの講義にも共通しているのは、「大きな物語」を作ろうという試み。
- 日本のイデオロギーを目に見える形で作る事
- イデオロギーというと固い話に聞こえますが、ここでは
「日本とは何か、という質問に対してしっかりとした答えを構築すること」
歴史学の本流は、歴史的事実を整理するための手法に偏っていて、現実社会への還元の観点が薄く、
それ故に、"歴史学は諸学の基礎となるが、それ単体だけ何も成し得ない"との認識もあったりします。
- 「印象派歴史学」として自分の歴史研究を位置づける
そんな学会に、印象派歴史学という新しい風を吹き込んでいるのはとても、面白いです。
そして、自分の言葉で「日本とは何か」をエクスフォーメーションしてほしいとの課題が、
私自身の心の中にも重く根付きました、燦然たる輝きと共に。
- No proof needed; your possibilities are ∞.
証明などいらない。あなたの可能性は無限大。
ん、ちょっと前に観た映画「幸せの教室」とも被って、とても楽しく読めました。
そして勇気をもらいました、久方ぶりに学問へのアプローチを見つめなおそうと思います。
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想像していた内容と違って面白かった
大学にいったことがないので、ハーバードとの違いは、わからないけど楽しく授業ができるとかんじた
こうした工夫が、学校だけでなく会社もふくめた社会に必要なんだと思う
『将来に必要な歴史』に考えてみたいです(^∇^)
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新書なので、よくまとめられていて、さくさく読める本。
版元は新潮社なので、チャラチャラと日本人の対米コンプレックスを逆手にとることもなく、自己啓発書にすることもない。
若々しさにあふれていながらも、「日本とはなにか」「グローバル時代にあって日本のアイデンティティとは?一体何を私達は発信するべきなのか」といった課題にも触れている硬派なメッセージ・課題を綴っている。
ユニークな教授法を読むのも面白いし、教養科目としてなんとなく日本史の講義を履修しているアメリカ人学生に何を提供するかをとことん突き詰めている理性も尊敬しちゃう。
でも一番感銘をうけたのは、先生が学生を愛していること!ほんとうに学生のことを想っていて、温かい目を向けていて、自分が何をしてあげられるかを常に考え、燃えている。
自分より2つ年上なだけなのにとってもオトナ!
とってもエネルギッシュ!
とってもステキ!