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ヒーローではなく、一人間としてのお話なんだというのは上巻で分かっていたことではあるんだけど、事件が大きすぎるからか、ヒーロー的活躍をどうしても期待してしまいました。
意味深な登場人物たちも、それほど活躍の場はなく、その辺が少し不完全燃焼のような…。
それでも久しぶりにゆっくりと世界観に浸れる作品でした。
世界観を同じくしたシリーズがまだあるそうなので、そちらもチェックしたいところです。
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本書で登場する「魚舟」なるものをどこかで読んだ記憶がある。あとがきにて、井上雅彦監修 『異形コレクション・進化論』に『魚舟・獣舟』なる短編を発表し、これが本編へとつながっていると著者がコメントしている。なるほど、謎が解けました笑 読後の感想:主役の官僚とその上司、統治機構との間のやりとりが無駄にながいと感じた。
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数世紀後の未来,海面の上昇によって平野部の大半が水没した世界.水上都市の官吏,主人公青澄が担当した事件は,水没世界を分割支配する各勢力の思惑をよそにやがて人類の運命を左右する大変動へとつながっていく.危機を目の前にして「外交力」により運命を切り開こうとする主人公.遺伝子工学,情報工学の発展によるSF要素がちゃんとSFっぽく説明されている.ドゥーガル・ディクソンの著書「マン・アフター・マン」や,眉村卓氏の「司政官」シリーズも再読したくなります.
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再読。
つらい記述が多くて、もう少しこう、とか思うけれども、、
一生懸命生きたい思いを、揺り起こす力を感じるなあ。
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ホントに面白いSF小説だった。これほど重厚で考えさせられるSFエンターテイメント大作を読ませてもらったのは久しぶり。
人類があと数十年で滅亡するかもしれないという状況で人々はどうやって生きるのか?
そんな究極の状態でも各国陣営は自分たちの利益をいかに守るか、そして自分たちがいかに生き延びるかということに汲々とする。
このお互いの腹の探り合いや政治的駆け引きの描写は行き詰まるものがある。
本書では日本はアメリカを中心とした国家連合ネジェスの中に含まれているが、いざという時にネジェスが本当に日本を救ってくれるかは分からないという状況。これは現在の日本の状況を皮肉的に描いているのだろう。
主人公である日本の青澄外交官のひたすら普通に人々を救うのだという生き方は共感できるし、他の官僚の「もう自分は十分に生きたから何もしないで死を迎える。その方が楽だ」という考え方もやむを得ないだろう。
ただ、青澄外交官に家族がいた場合はどうだろうか、ここまで自分を捨てて人に尽くすことができるだろうか。子供や孫に普通の生活をさせたい・・・普通の生活がダメなら、せめて生きながらえさせてやりたいと思うのが人間だろう。
ただ、それが人間の外観を失ってまでそうしたいかって考えると、う~ん、難しい。
地球環境が激変し、全人類が滅びた場合に備え、人間の元となる生物的な種を深海に仕込んでおいて、将来、地球環境が好転し、何百年後、何千年後、何万年後かに、その生物が進化していき、もう一度人間になるのを期待するとか・・・もう、壮大過ぎて・・・うっとりとしてしまう(笑)。
本書では地球環境激変開始までの40年くらいが端折ってあるが、そこは続編『深紅の碑文』『リリエンタールの末裔』で楽しもう。
それにしても「L計画」って凄まじい。人間をそんな風にしてしまうなんてね。
続編では青澄外交官やツキソメは出てくるのかな。人工知性体のマキのその後も気になる。オーシャンクロニクル・シリーズ、さらに楽しませてもらおう。
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ものすごく壮大な物語だった。壮大すぎて、読むのに2週間もかかってしまった! そして、まさかの二段組み!
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読み始めたら終わりまでやめどきが見つけられない
それくらい続きが気になるストーリーでした
海洋生活のリアリティが溢れています
アニメでガルガンティアみたいのがありましたが、あれが好きだった人は絶対に気にいると思います
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SFならではの話の壮大さに、肚の座った登場人物の仕事への意気込みを感じる掛け合い、多くのプレイヤーを動かしながら全体の調和を取る構成力、全てのレベルが高いと感じた1冊です。
ただでさえヤバくなってる地球が更にヤバくなる!(語彙力ゼロ)という状況となった下巻における序盤のハイライトは、理不尽だったり絶体絶命だったり、とにかく酷い状況に立ち向かおうとする人の気高さだったと思います。
登場する3者がそれぞれ3様の行動を取るものの、その行動はどこまでも自分のためではなく、所属するグループであったり、それ以上に人類全体であったりを想うがための行動。
限界の状況における職業倫理、あくまで誇り高くあろうとする意思。相手を思いやろうとする心。熱くて泣ける良い展開でした。
(ただ、「厳しめ」のストーリー展開は、あぁラノベじゃなくてSFだったなぁと痛感しました。どこまでもロマンチックではあるのですが)
SFであるからこそできる思考実験だなぁと感じたのは、「人間に似た何か(遺伝子操作の果て)」と「異形の人間(知性ある生命体)」、どう区別をつけてどう順位をつける?ということ。
AIがより洗練を極めつつある社会において、実際の課題になることもあるんじゃないか。個人的にはSFは尖った未来予測だと思っているので、良い課題提起を貰ったなぁという印象です。
しかし、自分が海上民をデザインするんだったら、ネットワーク通信機能は絶対につけるなぁ。
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これぞSFという壮大な世界観を堪能できる
特に魚舟と獣船とかは、安直な合理的すぎるモデルではなくよく考えられたなんとなくありそうな生き物と感じられ魅力的だった
また、マキという人口知性を語りにすることで青澄の内面がより際立って臨場感があったと思う
あえてちょっと残念なのとこをあげれば、物語として視点がぶれることと、もっと壮大な光景を見られたんじゃないかという期待がちょっと肩透かしになっていたこと
視点が急に切り替わるけど、主人公以外の登場人物はちょっと印象が薄くて、マキに統一したらラストはもっと印象深くなったんじゃないかなと思う
いずれにせよ今までにない読書体験ができた
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日本沈没のようになかなか世界規模のすごい話になってきた。そういう時の人類の選択は。
話が壮大でAIや海の人と地の人や魚船やワクチンなどよく作り込まれているのに、SFというよりはファンタジーな感じ。もっと社会の仕組みとか概念の説明とかギッシリしたものが欲しかった。
情報を集めて光る小石を追いかけるところの話は抽象的で良かった。
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人類を含む全ての生物が絶滅する程の危機を前に、人類は何ができるのか。
それでも、自分たちが生き残る為に他は犠牲にするという政治闘争や連合間権力闘争に明け暮れる政府に対して、青澄やツェン・タイフォン上尉の姿勢が心に残りました。上尉と月牙の最期悲しかった。
避けられない絶滅に、人間であることを捨ててルーシィとなって魚のようになる人もいる。それでも生き延びられないかもしれない。
マキのコピーを含む人工知性体は宇宙へ。彼らは地球で生物が生き延びたかを知ることはないだろうけど、「彼らは全力出生きた。それで充分じゃないか。」という言葉はこの物語の締めくくりに相応しい救いでした。
プルームテクトニクス理論、検索してみたけどよく理解できなかったので、わたしのプルームテクトニクスは「華竜の宮」の描写でインプットされています。
海上民と陸上民や、政治的な駆け引きの人間ドラマと、どこまでも広がる海と唄う魚舟、何もかもを貪る獣舟が迫ってきて、再読でも圧倒される世界でした。
「深紅の碑文」も読みます。
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主人公の青澄さんの熱い志に心動かされる作品です。こんな外交官がいたらいいのになと思います。
また、とても印象に残っているのは、国家間を跨いだ組織であるNODEが、あらゆる国家に政治的に深く干渉し、支配していると言っても過言ではないような行動をしていたこと。この組織は、世界中のエリートが結集して成立したものということでしたが、実社会でも、GAFAが将来的にこうならないとも限らず、読んでいてなんだか薄ら寒い感じがしました。
発表された当時は震災のことを配慮し、刊行にあたって注意されていたこともあったそうですが、今はこの作品のワクチンのことがより注目されそうです。少し前の作品ですが、次にどうなるのかというドキドキ感と、社会問題に対する様々な示唆を得られる作品でした。
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人間と人間じゃないものの境界線とは何か
ここは、圧倒的な世界が広がる、地球と人類の未来。
それは、いまあるものがない世界。
でも、確かに現在の環境破壊からシミュレーションした未来の地球の姿……。
遺伝子操作による生物科学的人類の変容
人工知能補助による機械工学的人類の変容
そんな世界を舞台に、ひとりの辺境の外交官が、陸上民と海上民の対立、不思議な海上民の“オサ”をめぐる各国の思惑の狭間で、自己の意思を貫こうとする。
ちょっとした地球の動きであっという間に死滅していく生き物のはかなさ。
他の生物が環境変化に対して自然に淘汰や変化していく中、人間だけが自らの力でもがき足掻く……。
そこが功罪合わせて「人間らしさ」なのかも。
お話は、「お仕事小説」箇所の下りや突然のアクションシーンなど、SFであることを忘れそうになる。
また、たくさんの登場人物のなかには、もう少し掘り下げてほしかったようなキャラクターもあったりして、読後も少し心残りがある。
関連する物語が他にも出版されているよう、ちょっとそそられる。
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SF的な世界観の記述もそうですがそこに暮らす人々の描写と、政治的な様相も非常に丁寧で世界に入りやすい。個人用には、終盤急ぎ過ぎてる感じがしましたが、それは周辺作品で補完されるんですかね。
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「何としても生き延びねば」からのタイフォン爆死が1番衝撃でした。結構好きなキャラだったのに。。
続編がある事を知らなかったのでこれは読まねばと思いましたが、どう考えても滅亡に向かう世界の話なんて暗重いに決まってるw
宇宙に飛び出したAIたちのその後も知りたいけど出てくるかな。
魚舟、獣舟、獣舟変異体、人間など世界観と設定がすごく面白い。前半が設定・世界観を緻密に描いていたので後半が結構かけ足だったかなーと思うけど、面白い作品でした。