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気付かない
2021/01/20 09:40
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投稿者:Anaoko - この投稿者のレビュー一覧を見る
三四郎の上京後の大学生生活を描く物語。
東京大学本郷キャンパスの池は、小説に描かれた場所なのか。女二人が池に立っていたのを三四郎が眺めていたシーンがそんなにこの小説において重要であったと巻末の解説を読むまで気が付かなかった。「無意識の偽善」美的な描写が奥ゆかしく、間接的な表現を好んだ明治大正時代の日本人像が明らかになる。
また、最後まで三四郎の恋愛模様に気付くことが出来なかった。三部作の一作目で、女に惑わされる話がまだ続くのかと思うと、気の毒だ。
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最初から最後まで女の人に振り回されている三四郎が面白かった。読み終わってもこの世界から抜け出したくないと思う。
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夏目漱石作品で一番好き。恋愛を中心に三四郎が直面する不安や戸惑い。なんとなく共感してしまいます。“三四郎は何とも答えなかった。ただ口の中でストレイシープ、ストレイシープと繰り返した。(三四郎より)”
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三四郎の恋ももちろんだが、私は与次郎に魅せられた。お調子者の彼。彼がどうして広田にそこまで執着するのか。読み返すたびに新しい発見があった。
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・「三四郎」「それから」が甲乙つけがたくどちらも好きです!
・『改札場のきわまで送って来た女は、 「いろいろごやっかいになりまして、……ではごきげんよう」と丁寧にお辞儀をした。三四郎は鞄と傘を片手に持ったまま、あいた手で例の古帽子を取って、ただ一言、 「さよなら」と言った。女はその顔をじっとながめていた、が、やがておちついた調子で、 「あなたはよっぽど度胸のないかたですね」と言って、にやりと笑った。』
・「なにつまらない――かわいそうだたほれたってことよというんです」「あたりまえにのばすと、こうです。かあいそうだとはほれたということよ」
・『「本当は金を返しに行ったのじゃありません」美禰子はしばらく返事をしなかった。やがて、静かに言った。 「お金は私もいりません。持っていらっしゃい」三四郎は堪えられなくなった。急に、 「ただ、あなたに会いたいから行ったのです」と言って、横に女の顔をのぞきこんだ。女は三四郎を見なかった。その時三四郎の耳に、女の口をもれたかすかなため息が聞こえた。 「お金は……」 「金なんぞ……」二人の会話は双方とも意味をなさないで、途中で切れた。』
・「君はたしかおっかさんがいたね」 「ええ」 「おとっさんは」 「死にました」 「ぼくの母は憲法発布の翌年に死んだ」
・『女はややしばらく三四郎をながめたのち、聞きかねるほどのため息をかすかにもらした。やがて細い手を濃い眉の上に加えて言った。「我はわが愆とがを知る。わが罪は常にわが前にあり」聞き取れないくらいな声であった。それを三四郎は明らかに聞き取った。三四郎と美禰子はかようにして別れた。』
・『やがて唱歌の声が聞こえた。賛美歌というものだろうと考えた。締め切った高い窓のうちのでき事である。音量から察するとよほどの人数らしい。美禰子の声もそのうちにある。三四郎は耳を傾けた。歌はやんだ。風が吹く。三四郎は外套の襟を立てた。空に美禰子の好きな雲が出た。かつて美禰子といっしょに秋の空を見たこともあった。所は広田先生の二階であった。田端の小川の縁にすわったこともあった。その時も一人ではなかった。迷羊。迷羊。雲が羊の形をしている。』
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タイの大学のホテルのロビーで雨の日に、私が惹かれつつあったあの先生がこの本を読んでた。彼曰く「夏目漱石は文章がべらぼうにうまい」とのこと。彼に近づきたく、私もべらぼうと心から言ってみたくて帰国して買った。私の尊敬するゴッホのブックカバーに入れて持ち歩いた。でも、空いた時間にさっと続きが読めるような本ではなく(そんな読み方ができない私)、まだゴッホに包まれて、読みきることができていない。
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なんでこの作品をもっと若いうちに読まなかったのだろうと後悔してしまう。自分が三四郎にも美禰子にもなりうる。明治時代とは思えない程新鮮な小説だ。漱石が描いた神楽坂附近とか理科大とか赤門とかが今の時代でも同じように想像できる。すごいことだ。しかし、明治時代のいうアナログとはいったいどういうことか。その時代のアナログとは・・・。
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三部作で一番好き。
いや、でもなぁ。
うん、やっぱり一番好き。
「恋愛小説としても読める」っていうのが、好きなのかもしれない。
ただのポップソング、ただのロックンロール、でも・・・ビートルズ!
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この小説はあまり淋しくっていけない。淋しい日本人の肖像をかっちり固定している。三四郎のまわりには、いろんな世界がある。都会人の世界と田舎者の世界。学者の世界と色恋の世界。どちらかと言えば三四郎は七割方学者の世界に属するべきとおもうが、残りの三割位は色恋の世界にも未練がある。100%学者の世界に納まっている広田先生や野々宮さんは泰然自若たるものだ。雑文を書き散らしている余次郎も、あれはあれで安定している。どの世界にも安住できなくってうろうろしている三四郎は淋しい。古い世界にも都会にもなじめない彼は、じつはそれなりに大きな可能性を秘めているのだが。
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ヘリオトロープ。甘いバニラみたいな香りです。花言葉は、「献身的な愛、私に振り向いて」読後これを知ったとき、なんだか言いようのない気持ちになりました。漱石さんはやっぱ上手いですね。いろんな意味で。
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熊本から上京した小川三四郎。恋に悩み、自分自身に悩む三四郎。彼が生きた明治時代と今とは100年くらい違うけど悩んでることは一緒なんですね。
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『それから』『門』と並んで、夏目漱石の三部作と言われ、そしてその中で最も有名な『三四郎』をやっと読むことが出来ました。 話は九州から大学のため上京してきた三四郎の物語。東京の風に吹かれながら生活していく三四郎は、一人の女に恋をし、そしてそれは結局叶わない。また、広田先生という風変わりな登場人物とのやりとりも少なからず三四郎に影響を与える。地元の期待を背負っていざ上京してきた青年の心情を描いた青春ストーリー。 しばしば本郷の描写がなされる(三四郎池はこの物語によって名づけられた)のが親近感を与えますが、しかし私は一生駒場なのであんまり関係ありませんでした。こんど『一太郎』とか言って駒場を舞台に話を書こうかしらんヘ(゚∀゚ヘ)アヒャ
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やれるときにはやらなければならない。
でないと、腰抜けとの汚名を着せられる。
しかも、冒頭で。
頑張れ三四郎。
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上京したての三四郎は、
まだ自分のことばを持っていない。
気持ちをうまくことばにできない。
まわりの与次郎や広田先生みたいに、
気のきいたことひとついえない。
その、ことばにできない部分が新鮮で、
上京したての気持ちがフラッシュバック。
ヘタなことをいうより、
黙っている三四郎がよかった。
ことばはほとんどなくても、
美弥子と通じ合う瞬間があって、
その瞬間が、肖像画みたいに、
三四郎の中に残っている。
○ヘリオトロープの瓶。四丁目の夕暮。ストレイシープ。ストレイシープ。空には高い日が明かに懸る。
ことばにも、かたちにもならない、
淡い恋の気持ちに浸される、いい本だ。
与次郎くんの胡散臭さや、
広田先生の厚い人物像、
そんなに出てこないのに存在感のある美弥子。
三四郎のほかの登場人物も味わい深い。
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田舎から上京した、異性と触れ合ったことのない、大学一年生の男の子の心理を見事に描いている。
理解できないのは、お互い惹かれあっていたのに一つになれなかったところである。
時代のせいですか。三四郎がチキンというかなんというか…