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第3回野性時代フロンティア文学賞受賞作。
動物行動心理学を専門とする大学講師の安藤聡は、突然の知らせに目の前が真っ暗になる。一人娘の女子高生・加奈が学校のベランダの手すりから落ちて亡くなったのだという。何故、どうして、と絶望に暮れる安藤だったが、加奈が残したパソコンの日記により、娘が日々、学校生活で悩んでいたことを知る。
わかりやすいいじめではなく、周りにわかりにくい、心理的ないじめ、女子カーストの世界が描かれているがこれが絶品。男の人が読んだら驚くのかもかもしれないが、女子同士の嫉妬、優越感、そして陰湿な心理的いじめなどの様子や心の動きがよくとらえられていて、「あぁ、こんな感じの子いたなぁ」「こういうことで悩んだこともあったなぁ」なんて思わされる場所が多々。本当にこのくらいの年齢はえげつない。リアル。深読みの連続である女子高生の関係と対比させて、おそらくアスペルガーと思われる、言葉の裏の意味を理解できず嘘ができない早苗という人物を登場させていたのも良かった。
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ちょっと、目を背けたくなる!。幻影と絶望と現実と、嗚咽と狂気と殺意と、、この、、岐路と瀬戸際と思考回路の攻防は凄いなぁ!!。…不器用だけれど、いつも一生懸命な彼女は清涼剤ダナ!?。
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ベランダから転落した加奈と、咲と真帆との関係がリアルで胸が詰まりました。表面上は仲良さそうに見えるけど、実はいじめているっていうこの構図。そして咲に好かれたい、嫌われたくない一心でなんでも咲に合わせようとする真帆。
加奈も友達だと思って一緒に居たけど、何故かいじめられ、でもそこからきっぱり抜けだせない。
そして自分が一番可愛いんだと女王様気取りの咲。
いじめてる側の気持ちも描写されてるので、分かりやすいですが真帆の立場が一番ありがちじゃないかなぁと思います。イケてるグループに居たい、ここ以外には居場所がないと思い込む。その結果リーダー格の咲の言いなり状態。
「ひとりになりたくない」と思う心情がよく描かれていました。そして大人になった今なら「1人でいいじゃん」って思えますが、高校生の時には決してそうは思えなかった。とても共感できる思いでした。
女子高生たちの気持ちもさる事ながら、妻に先立たれ娘と二人暮らしをしてきた安藤。その娘までもを失った気持ち。そして次第に復讐へと思考が動き始める様子。
そして、過剰なまでに空気を読み合う女子高生たちと対照的に存在するのが早苗さん。他人の感情を読み取ることができないが故に、裏表のないこの早苗さんに救われる。欲を言えば、早苗さんをもう少しストーリーに絡ませて欲しかった。強烈なキャラクターの割に、いまいち存在意義が感じられなかった。
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第3回野性時代フロンティア文学賞の受賞作品。
ライトなエンタメ小説といったところでしょうか。さっくさっく読めるし別に飽きもしない、ただ「うお〜おもしれ〜」って盛り上がるようなところも特になし。深く考えようとすると登場人物達の心理変化がよくわからないけど、別に国語の問題にするわけでなし、おもしろく読めたらそれでいいか〜と思いながら読んでました。
なんか湊かなえの「告白」みたいだな〜と思って読んでたら、末尾の選考員書評のところで触れてました。
個人的には内容よりも、末尾に章の選考員書評(3人分)が付いてるのが気になった。第3回受賞の他の受賞作や佳作?の書評が書いてあってむしろ本作にあんまり触れてないってどうよ、と思って。
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15/02/09
面白くなってきた!って思ったらシュッと終わってしまいました。
P116
「ねえ、真帆。謝るってことは、相手に判断を委ねることなの。許すのか、許さないのか。悩むのは相手だけで、自分はもうただ答えを待てばいいだけの状態になる。それは結局、自分が楽になりたいだけってことでしょう?
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2015.2.21.読了。同級生3人組のなかでいじめにも似た扱いを受けていた女子高生加奈は、二人のせいで死んでしまう。赤ちゃんの時に妻を失い一人で育てていた父親で心理学者安藤の苦しみ。安藤に思いを寄せるアスペルガー症候群の助教授早苗との人間関係、加奈を死に追いやった咲と真帆の人間関係を描く。
芦沢さんの野生時代フロンティア文学賞受賞作でデビュー作。芸能界に憧れながら、それにふさわしい美少女でありながら普通の高校生に甘んじている咲の屈折した思い。早苗のアスペルガー症候群。最初から力を入れて書かれているのだが、それがストーリーの構成上、どんな役割を果たしているのか今一つわからなかった。追い詰める父親と咲の対決は読み応えがあつたと思う。
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これが女子高生の、スクールカーストといわれるもののリアルなのかと思った。自分の中高時代を思い出してみて、たしかに友達関係は重大事だったけど、ここまでの事態なのにどうして自分から身を引けなかったのだろう、と思う。父娘2人で生きてきて、落ちていくその瞬間に思っていたのがお父さんのことだったと思うと泣けた。
サスペンスとしては、途中で展開が読めてしまっていたのでドキドキ感は微妙だったけれど、結末も私としては決して悪くなかったと思う。
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高校のベランダから転落した加奈の死を、父親の安藤は受け止められずにいた。娘は、なぜ死んだのか。自分を責める日々を送っていた安藤の前に、加奈のクラスメートだった少女が現れる。彼女の協力で娘の悩みを知ったとき、待っていた現実とは―。大切な人の命を奪われたとき、あなたはどんな償いを求めますか。第3回野性時代フロンティア文学賞受賞作。
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やはりこの著者の作風とは相性がいいようである。陰湿ないじめによって同級生を死に追いやってしまった女子高校生たちと、突然娘を喪った父親に焦点が当てられている。女子高校生たちの仲がよさそうに見えるその裏側での日々の闘いの凄まじさは、日常的であるゆえに残酷さを増し、彼女たちの心の動きがリアルに感じられる。父親の苦悩と狂気に想いを致すと、身悶えするほどの痛みと虚しさに浸される。美しくも残酷な魚ベタや、父親の同僚であるアスペルガー症候群の女性の存在がもっと効果的に生かされればよかったとは思うものの、本筋の静かな力強さが損なわれるものではないと思う。誰もしあわせにならない物語ではあるが、とても興味深い一冊だった。
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大人になって気づく、子供のころ放った言葉の残酷さ。
他人の顔ばかりを伺って行動するようになったのはいつからだろう。
傷つけてはいけないけど、必要以上に傷つく必要もない。
だから人間関係は難しい。
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裏表紙のあらすじから、娘の自殺の真相を探る父親が暴走する、果てしなき渇き、ような話なのかと思っていましたが、そこまで暴走していなかった。
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映画化するのかな?なにがきっかけかは忘れたけど読んでみた。お話は読みやすくぺろぺろっと読了。娘の加奈を亡くした父親が娘の死の原因を探るんだけど、それにしてはポンポンと話が進みすぎで呆気なく読了。ただ、ストーリーはぱっとしないけど登場人物の描写が魅力的。咲の今どきの高校生らしい考え方とか、真帆のような葛藤とかうまく表現されているし、一番のお気に入りは早苗!本当にアスペルガー症候群じゃないの?と思うような性格ですごく気になるし、早苗の章が一番面白かった。
それと、ベタという魚を知らなくて気になって調べたら本当に美しい魚でびっくりした。
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テレビで映画化されるというので原作を読んでみた。でもテレビでは被害者遺族である心を研究する父・心理学者と心を操る加害者の冷徹な友人・高校生のやりとりが見たかったのに全然言い合いなどの言葉のやり取りがなかった。しかも、最後お父さんの結末が呆気なく、終わり方が救われない。
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いじめを題材にする話は多い。
小中高と勉強だけじゃなく、友達関係を気にしながらの毎日はしんどい。
咲も真帆も、そんなつもりはなかったんだろう。
実際、あの罰ゲームも。
命は戻ってこない。加奈の事は本当に悲しすぎる。
そんな話の中での、一風変わった早苗の存在は大きい。
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高校生たちの描き方はいいけど、大人たちが良くわからない…。
アスペルガーである必要があったのか?
いったい何を訴えたかったのか、わからなかった。
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先に嫌な主犯の木場咲役を吉本美憂が見事に演じたDVDを見て原作が気になり読む。小説の方は父親の殺意への感情移動、娘の死に至る経緯など安藤親子の表記が少ない。全体的にさらっとした内容をDVDでは手を加え磨き上げた感じがする。
「謝ることは、相手に判断を委ねこと。許すか許さないか悩むのは相手だけで自分はただ答を待てばいいだけの状態。それは結局自分が楽になりたいだけ、本当に悪いことをしたと思うなら謝ったりなんてするべきじゃない」という傲慢な考え方の木場咲をもっと掘り下げ表現してほしい。