投稿元:
レビューを見る
そこまでのめり込んでいる作家さんではないんですが、この圧倒的なリータビリティの高さにはいつもはっとさせられます。会話分もわざとらしさがなく、生き生きしてて。
マエ(=前科)持ちで年齢も生い立ちも性格もぜんぜん違う2人の女性が、素性をひたかくしにして小さな町の一角で身を寄せ合って暮らしていく。徹底的に節約をして、ご近所付き合いも控えめに、ムショ暮らし時に覚えた単語がうっかり口先にのぼらないように言動に気を遣い、毎日の発泡酒でのささやかな晩酌と、時たまの外食が息抜き。
なんだってこんな扱いづらすぎる(作者が)境遇の女性を主役に持ってきたかなーどうやってオトシマエつけんのかなーとやきもきしながら読み進めていきましたが、結局、「罪は刑務所で償ったからといって消えるのか」とか「前科があると幸せを望んではいけないのか」といった主題になるはずの重々しい議題を乃南先生はスルーしているので、別の意味で驚いた。そこ、スルーして、この2人を描く意味は??とほとほと疑問だったんですが、女同士の友情とか、そうゆう過去を背負っている分強さが際立つ絆とかが描かれていて、なんだかんだ人性捨てたもんじゃねえぞ、という乃南さんなりの温かい(でも、ベタ甘なわけではなくて)まなざしが注がれているのが分かって、ぐっと来る。
乃南さんは、きっと前科者の宿命なんかを書き切れる力量のあるひとだとは思うけど、あえてそこではなくて、一人間としての喜怒哀楽に焦点を当てて、いろんな理由で「生き辛さ」を感じている人たちにエールを送りたかったのかもしれないなあ。
どうしても考えさせられることはあるけど、一旦そうゆうの抜きにして、下町のひとのあったかさとか商店街からただよう揚げ物のにおいとか夕焼けの美しさとか、そうゆうのがじんわりと心にしみる、良作だと思います。この先いくつも試練はあろうが、幸せになれるといいなあ芭子ちゃんも綾香さんも。続編に期待。
投稿元:
レビューを見る
電車のなかで泣いてしまった。
舞台が大好きな谷根千ってあたりも良いけど、表現がすごく上手でのめり込んでしまう。
投稿元:
レビューを見る
小森谷芭子29歳、江口綾香41歳。ふたりにはそれぞれ暗い過去があった。絶対に人に知られてはならない過去。ふたりは下町の谷中で新しい人生を歩み始めた。息詰まる緊張の日々の中、仕事を覚え、人情に触れ、少しずつ喜びや笑いが出はじめた頃―。綾香が魚屋さんに恋してしまった!心理描写・人物造形の達人が女の友情に斬り込んだ大注目の新シリーズ。ズッコケ新米巡査のアイツも登場。
前科がある女性2人のやりとり。下町の風景や過去のしがらみを思いながら感情の変化が面白かった。
投稿元:
レビューを見る
前回読んだ「幸せになりたい」とは全く違うタイプの話だった。
ムショで出会った二人が普通に生活しようと四苦八苦するお話。
考えさせられるところもあるけど、総じておもしろい!!
ほのぼのと、うるっと、う~んと・・・いろんな感情が楽しめる一冊です
投稿元:
レビューを見る
おもしろかった。
初めは切ないというか、重い話なのかと思っていたけど、
前向きに生きようとする、2人にむしろ憧れを抱けた。
投稿元:
レビューを見る
ホストに入れあげ、昏睡強盗罪でつかまったハコ。
夫のDVに耐えかね、子供を守るために、夫を殺めた綾香。
ムショ仲間の二人の出所後のハナシ。
投稿元:
レビューを見る
乃南作品が文庫になると必ず購入する習慣がついてるので
前情報ないしで読んだら…ビックリ。
読破後に、だからこのタイトル。と深さに納得。
過去に前科をもつ女性二人がお互いに助け合いながら
孤独に静かに暮らす様を描いた新シリーズ。
決して他人事ではない日常の犯罪が盛り込まれた、
1話完結型の連作集。
細かな人物描写に惹き込まれ、一気に読める。
乃南ファンには嬉しい『ボクの町』『駆けこみ交番』の
高木巡査が登場。全体的に暗い、重い背景の話なのに
彼の言動で和らぎます。今後の絡みに期待!
とても続きがきになります。
投稿元:
レビューを見る
2010/12/9読了。
久しぶりの乃南アサさん。でも事件らしい事件は起きず、わりと淡々と描かれる二人の女性の日常。心がほんわか温かくなって、ちょっぴり涙も。「陽のあたる場所…」。確かに。
投稿元:
レビューを見る
2011/02/09
乃南アサ初読み。
前科のある2人の女のお話。
今は日陰だけれど、いつか、陽のあたる場所で生きていけたらいいよね。
と感じる一方で、純粋に2人を好きになれないのも事実。
それはきっと、2人の弱さが痛いほどわかるから。
投稿元:
レビューを見る
これは、とても新しいストーリーの小説!
芭子と、綾香は、とても仲良し
年はひとまわりほど離れているけれど。
実は、この二人は、刑務所で知り合った関係なのだ。
刑務所の中での厳しさなども織り交ぜながら
法を犯したことによって、失ったものの大きさや
更生しても、なお自分の過去に怯えて生きなくてはいけない現実。
それでも、前へ前へ、少しづつでも進んでいこうとする二人。
いつも、明るく、能天気な年上の綾香も
本当は、とてもつらい思いもしていることや、
芭子の弟が9年ぶりに、目の前にあらわれ
さらに受け止めなくてはいけない「現実」を突きつけられながらも
弟の手紙には、とてもとても胸が熱くなった。
芭子たちが住む町並みも、とてもいい下町の情景が浮かんで
季節感あふれていて、引き込まれるし。
経験することのないシチュエーションなだけに、
興味深く、とても楽しめる小説だった
投稿元:
レビューを見る
刑務所あがりの女性二人+ズッコケ新米巡査。
人間の持つ「悪」の部分を、万人が持つ要素として描かれ、それが表に出るか、止まるか。
こうやって生きている人がいるだろうな・・・と思わせる。
投稿元:
レビューを見る
乃南アサの本は、多分これが初めて。
会話と会話の間に過去語りが入ったり、
全体の組み立てが上手かったりと、読んでいて飽きない文章。
設定になっている人物、背景はあまり好みではなかったけど、
最後には少し泣かされた。
投稿元:
レビューを見る
さすが乃南先生。女性を書かせたら一味違うなあ。
思いテーマを、読みやすく、でも軽くは扱わない、
そして谷中の町を散歩したくなる、そんな一冊。
投稿元:
レビューを見る
暗い過去を持つ女性2人を
ガールズトーク中心で物語をすすめているので
そんなに暗くならずに、描いているところが
うまいな~と思った。
タイトルの付け方が最高。
ただ、もうちょっと期待しちゃったけど。
乃南アサだけに。。。
投稿元:
レビューを見る
刑務所から出所して、ひっそりと下町で暮らす芭子と綾香。
マイナス思考で過去に捕らわれがちな芭子と、明るく前向きで、夢に向かって頑張る綾香。
対照的な二人が、なぜかとてもしっくりきててとってもいい。
二人が暮らす下町の、二人を取り巻く人たちもいい。
下町ならではの温かさというか、面倒くささというか。
最後の弟からの手紙が、とてもぐっときました。
私も、色々がんばりたくなってきた。