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途中イライラした。要領悪い人出てくるとイライラしてしまうので…。でも最後まで読んでよかった。男女関係なく弱い人間がテーマなんだな、遠藤しゅうさくって。
地元図書館Bエ
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大学生の吉岡が一夜かぎりで遊び棄てた娘ミツは、後にハンセン病の診断を受け、御殿場の療養所に送られる。数週間後、診断は誤りだったとわかるのだが、一度は自由を得て外に出た彼女が選んだのは、療養所にもどり、患者たちのために尽くすことだった。内心の声にしたがい他人に奉仕することを選んだミツの魂の清浄と、社長令嬢を射止めて世間並みの幸せを得たものの、かつて棄てた女への悔恨を抱えつづけた吉岡の心の寂漠のコントラストが鮮やかな、遠藤周作中期の名篇。
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貧乏学生から普通のサラリーマンになってゆく吉岡努と、愚鈍で不美人だが苦しんでいる人をみると我を忘れて助けてしまう若い森田ミツ。二人の出会いと惨めな交流が「愛」をテーマに展開してゆく。筆者の細かい描写力は自分を吉岡努に感情移入し、その世俗的な欲望と人間臭さからくる嫌悪を自分に対してまで抱かせる。ミツを捨てるのは仕方のないこと。誰でもやっていること。だがそれは、心を刺して痕跡を残す。ミツは捨てられても裏切られても辛い人を見ると、手を差し伸べる。初めて愛した吉岡を愛し続ける。現実にはありえないほどに愛に純化されたミツと、ありふれた世俗的な吉岡が対照的。愛とは何かを考えさせ、答えが見出せない苦しさが残る。
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遠藤周作の本はどれもおもしろい。処女を奪った男と奪われた女の生涯を追った話。男なら実行するにせよしないにせよ、一度はそういう一夜限りの行為を夢見たことがある人は多いと思うが、この本の女はその一夜が生涯忘れられぬ夜になり、何度も男を思い出すことになる。一方男も折に触れて女を思いだし、接触を持とうとする。身勝手と断罪しきれない男の心理の表現が抜群にうまい。また遠藤周作の本に通して表現される神の存在。彼は女を通じて無垢の愛を表し、男を通じて人間に愛を気づかせようとしている。
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今でもなお読まれるべき作品ではある。ただ「名作」であるかと言われると、引っ掛かる部分もある。
ハンセン病ではないと分かり、なお施設で働くことを選ぶまではいいが、唐突に事故で死ぬ必要はあったのか。この辺り、『深い河』にも感じた違和感を感じる。
主人公は大学生の時に一度性交しただけの少女に対して、何も「棄てた」とまで責任を負う必要はないのではないか。
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人間、一度でも交わったら、相手に何の痕跡も残さないということは不可能だ。この言葉に救われることもあれば、心が痛むこともあれば、胸焼けがしてしまうくらい嫌な気持ちになることもある。
純粋に、一度だけ関係を持った男を想い続けるという気持ちは、自分に自信がなかったからのことで、心の拠り所にするものがたった一つしかない、という悲しい状況だったのだと思う。
娘が学生さんと交わった翌日、友人が話すくだらない話を、なんて子供じみているんだろうと、見下して優越感を持っているシーンが、とても印象的だった。人間、誰しも人に言えない経験をすることで、心が潤うんだ。美しい感情ではないにしても。
男は自分が一度でも関係を持った女が、惨めに転落していくのを見ると、気にかけてしまう。それも、そうなのだろう。なんて自己愛の塊なんだろう。一度関係を持った女が、いつまでも自分に少しでも気持ちがあると思っていられるからそんなことを思えるんだろうな。ある意味羨ましい。
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昔学生だった時に読んだ本。そのときも大きく突き刺さった
感じを受けたことだけを覚えています。
”沈黙”を映画をきっかけで、これも学生の時以来、
再読したのですが。それをきっかけで、遠藤氏の作品で
一番に頭に浮かんだのが、この本でした。
内容はほとんど忘れていましたが、読みだすと、いろんな
ことが思い出して、よみがえってきて、心が震えました。
今思うに、この本が私の中でのバイブルでしたし、
人生観、恋愛観、人との関係性、他者とは何かについて
の今の自分の奥底、ベース、基幹部分としてあるような
気がしました。
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森田ミツは、クリスチャンでもないのに神の愛をとことん最後まで実行した。作者はなぜノンクリスチャンの神の愛の行為を描いたのか私は疑問だった。森田ミツの神の愛の理由は、幼い頃から困っている人、悲しんでいる人を単に見ていられないからだと幼少期からのミツの性格について語っている。
ミツの真の愛徳は、ミツの心に自然にふってわいた感情なのだ。そこには、クリスチャン、ノンクリスチャン、全く関係のない 神の愛がみえる。
最終的に、エゴイスティックに生きる吉岡までがミツを聖女だと称えさせた。
《自分の苦しみは他者の苦しみとつながるためにある。》《ぼくらの人生をたった一度でも横切るものはそこに消すことのできぬ痕跡を残すということなのか。寂しさはその痕跡からくるのだろうか。神はそうした痕跡を通してぼくらに話しかけるのか。》
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内容紹介
大学生の吉岡が二度目のデイトで体を奪ってゴミのように棄てたミツは、無知な田舎娘だった。その後、吉岡は社長令嬢との結婚を決め、孤独で貧乏な生活に耐えながら彼からの連絡を待ち続けるミツは冷酷な運命に弄ばれていく。たった一人の女の生き方が読む人すべてに本物の愛を問いかける遠藤文学の傑作。
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久々に遠藤周作を。主人公の女性は「川越から出てきた田舎娘」で、下北沢もただの汚い駅扱い。他にも御茶ノ水とか馴染みのある地名が多くて、終戦直後ってそんな感じだったのか―、とか新鮮。
この本をネガポジ反転させると「深い河」が出来上がる、といった内容で、「軽小説」と括るには重たい。
今後は他の作品をもっとペース上げて読もう、と思うと同時に、ヨブ記についてもっと勉強してみたいなあ。旧約聖書は最初の数ページで挫折したので、山本七平や内村鑑三の著書で探るのがいいかな。
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ミツの存在で吉岡の心に最終的に何かを残した
ことは良いことなのかもしれないけど
なんだかなー ミツが最後の最後まで想い続けるほど
吉岡はいい男じゃないし
ミツももっと幸せになるべきだった気もするし。。
他人を自分のことのように愛するのは
簡単なことじゃないし素晴らしいことだろうけど、、
ウーン、吉岡君のことはすぐ忘れてよかったよね。。
まりこと付き合ってからも利用しようとしたしさ。
なんだかなー。
山形さんの手紙とか、ミツの優しさっぷりは感動したけど 、、 これが聖女なのかは分からない。。
おもしろかったし、考えさせられました。
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どういうことが幸せか。
吉岡みたいな状況は無数にあると思う。
ミツみたいなこともあると思う。
神を否定するミツに近い気持ち。
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20代の時に読み、40代になって再びよみました。
キリスト教信者だった遠藤周作が日本人の美学を書いた本で、ひたむきで慎まやかな女性を見事に書いています。
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いやいや、最高にいい小説。あまり人には進めない方ですが、これはめちゃおススメです。新幹線で目的の駅を乗り過ごしそうでした。ヤバイ。
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初めて遠藤周作の本を読んだが、本書はかなり読みやすく、サクサクと読了してしまった。
吉岡とミツは逢引により出会い、たった1回のデートでお互いの人生が変わる。それぞれの人生が全く異なって変わっていく様を描いているが、ミツの心には必ず吉岡がいて、一方の吉岡にもどこかにミツがいる。そんな二人の様を、それぞれの視点で記した構成になっているのだが、純潔な恋愛小説でもないし、ハッピーエンドでもないが、人間の愛や欲望、何気ない日常の有り難みを強烈に感じさせる一冊である。