投稿元:
レビューを見る
哲学者についての概説本。
デカルト、ホッブズ、ロック、ヒューム、ルソー、スミス、カント、ヘーゲル、マルクス、ベンサム、ミルの11人について、その人となりから始められている。
「どのような性格」で「どのような生活」をしていたのかがわかり、彼らの思想についても理解が深まるように構成されている。
思想そのものがわかりにくい思想家もいたが、文章自体も読みやすく書かれているので、あまり苦労することなく読み進めることが出来たように思う。
また、それぞれの章末に参考文献として推薦図書が数点あげられているのも、今後の勉強に役立ちそう。
以下、気になった文章。
自由には二つの種類がある。
(1)逃げる自由、じゃまされない自由
(2)なにかをできるという自由
近代人は国家の専制から逃げる。私の人生は私が選ぶ。私のすることにかまわないでほしい。これが自由である。他人と関係すると拘束もふえる。拘束がふえると私の自由がそれだけ減る。すると、自由人とはなるべく他人とは関わらない人、となる。
これが近代人の自由のひとつの型である。
しかし自由にはもうひとつの意味があった。なにかができれば私は自由であり、できないと不自由である。できることが多くなればなるほど私は自由になる。そして他人と共同すればもっと多くのことができるようになるとすれば、自由とは共同である。
こうして一方の自由は分離と自立を求め、他方の自由は連帯と共同を求める。
近代の政治哲学はこの二つの自由概念をめぐって旋回する。そしてこれにからんで資本主義と社会主義の哲学が衝突する。【はじめに】