紙の本
とことん不快な裁判劇
2000/11/26 11:40
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投稿者:OK - この投稿者のレビュー一覧を見る
真性邪悪作家ジャック・ケッチャムによる児童虐待リーガル/サイコ・スリラー。筋書きは少々むりやりなのだけど、よくもまあここまであざとく不愉快で不条理な裁判劇を描けるものだと感心してしまう。とことん不快な話なのになぜかやたらリーダビリティが高いケッチャム節。ある意味では『隣の家の少女』以上に救いのないダークな結末で、ひとつの邪悪をようやく片づけたとしても、その行為がさらなる悲惨な循環を招かざるをえない、といういずれにしても好転しようのない始末の悪い構造になっている。ほんとに底意地が悪いなあ。B級ホラー版パトリシア・ハイスミスといえば近いかもしれない。
『オフシーズン』や『隣の家の少女』のような、おなじみの直接的な残虐描写はそれほど多くない。というより意図的にいくつかの重要な場面を「描かない」まま進めることで、それらを読者の陰惨な想像のなかでふくらますに任せるような書法を採っている。これはやはりケッチャム流の洗練というべきなんだろうか。
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相変わらず鬼畜な話だ。
幼児虐待ものとでも言うのかな。
で裁判ものになって、最後はやはり後味悪し。
今までの中では、一番余韻があったかな。すこぶる嫌な余韻だけど。
ちょっと『ブラジルからきた少年』を思い出した。
かなり主人公に同情する話だけど、やはり救いがない。全くない。
途中、いきなりシリアルキラーが入りこんでくるけど、なんとなく宙ぶらりん。
いや、それはわざとなのかな?
生き残った犠牲者が安心できず、そんな人間は沢山うろついている、ということを表しているのかな。
なんとなく、キャラクターそれぞれのバックストーリーへの踏みこみが足りない気がする。
その場の説明のためだけの設定っぽく感じるところもあった。
それがどうなるの、とドキドキ思わせといてけっこう肩透かし。それがちょい残念。
ケッチャム作品の特徴は、逃げ場がないということ。
『隣の家の少女』は地下、『ロード・キル』は自動車。
この『オンリー・チャイルド』は閉じ込められてるわけではないけど、子供と言うやはり逃げられない立場。
逃げ回るのと同様、逃げられないのも恐怖の定石。
完全に受動的になっちゃうから、ひじょうにプレッシャーを感じる。
一気に読み終えないと安心できない。
読み終えてもほっとできないのがケッチャムの凄いところ。
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結婚した相手を見限った途端に、息子の妙な兆候に気づく母。最低なオッサンです。吐き気と涙で、子供を持ってる人には辛すぎる話。
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自分に子供ができても、こういう風になったらと考えると吐ける。虐待のおはなしと言われているが違うと感じた。
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子供は、無力ながら愛する親を守るため(だけ)に必死で生きている。日本でもどんどん深刻になっている(昔からそうなのかも。最近表面化するようになっただけで)虐待事件を見るにつけ、この話を思い出します。子供は親を守りたい。愛するものを力の限り守ってるんだと思います。
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暴力的で変質的で殺人犯の夫から息子を守るために闘う妻。
児童虐待が大きなテーマになってて、法廷の辛気臭ささにイライラさせられた。
今回もまた読者を裏切りつづけてくれる作品だったので満足。
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父親に虐待される子供、子供を守ろうとする母親。内容が重い上ラストがラストので読後感はよくない。けれど、面白いと思う。
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イライラした。
父親に凄いイライラした。
悪い事が起きて、
良い事が起きて、
もっと悪い事が起きて、
みたいな作品
ちょっと気を抜くと、突き落とされる
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ケッチャムの中でも1番まともじゃないかと思います。
父親の異常さがリアル。
後半は裁判モノのような感じ。
ケッチャムにハマッてた時に友達に貸したら
引いてました(泣)
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リディアがどれほど訴えたところで、ロバートは奪われ、虐待者の自由に出入りできる場所に置かれてしまう。
これは法律で決まっていることなのだ、これに従わないのは法律違反だ、と言われて、リディアはとうとう実力行使に出てしまう。
どうしてそれが実刑判決なのか。情状酌量の余地ってものはないのか。
それでも、とリディアは自分を慰める。自分の息子を苦しめるものはもういないのだと。
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生理的嫌悪感を容赦無く抉ってくる。
怖いのは、これは小説だが、世の中には
これに近い狂気が存在する事だ。そして、
自分が持つ正義感が通用しない絶望感。
どれを取っても、後味の悪さを残すのである。
期間を置いて、二度目を読んだ。
久しぶりにケッチャムの描く不快感を味わいたかったからだ。期待通りではあったが、駆け足の読書。闇が連鎖する。
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裁判シーン、じわじわむかむかと嫌な気持ちになる・・・
寄生虫
赤ん坊のアーサーがルースに虐待されるところで始まり、ルースがロバート(アーサー?)を抱き寄せるところで終わる…
細い木の枝を母親も折檻に使っていた・・・
リディアが命がけで守ったと思ったロバートが外ではルースに虐待されているの、やりきれない
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久々のケッチャム作品。
相変わらず胸糞悪い。
なのに手にしてしまう。
ナゼか?
私が頭の狂ったサイコパス、シリアルキラー物が好きだからであり、本作がケッチャム作品だから。
以前読み終えた同じくジャック・ケッチャム著「隣の家の少女」を彷彿させられました。
説明
内容(「BOOK」データベースより)
アーサーとリディア。二人が出会わなければ、こんなことには…。1953年、アーサーはこの世に生を受けた。母親からの虐待を受けながら育ったアーサーは、狡猾な悪ガキへと成長していった。大人になってからも、アーサーは邪悪な感情を秘めたままだった。その後、内気な女性リディアと知り合い、彼女は不安を残しつつもアーサーと結婚。だが、彼は変態セックスを強要したり、しだいに凶暴な性格を表していく。抑圧された日常の中、彼女は一人息子ロバートに愛情を注ぐが、ロバートもまた奇妙な動作や習癖を見せ始める―。
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ルースは疲れきっていた。何をしても赤ん坊は泣き続ける。気がつけばルースはトイレの流れる水に赤ん坊の頭を押し込めていた。我にかえり、赤ん坊を引き上げ、抱きしめる。そんな母親に育てられたアーサーは、狡猾な悪ガキに成長していく。だが警官のダッカンだけは彼の正体を見抜いていた。やつはいずれ人を殺すと。
リディアは一度の離婚後、男に懲りていたが、アーサーと結婚する。だがそれはすぐに後悔に変わった。変態セックスを強要する夫も自分だけ我慢していればいいと思っていたリディアだったが、愛する一人息子ロパートにまでその手がおよんでいたことを知り、離婚を決意する。一見アーサーが不利に見える離婚劇に思えたが、事態はリディアの思ってもみない方向へ進んでいくのだった――
いや……酷い。個人的には「隣の家の少女」より酷いと思いました。アーサーの人格もケッチャム作品の中でも最悪の部類に入る。ところがそのアーサーも虐待の犠牲者だという、虐待の連鎖の恐ろしさが嫌でも描かれている。
あまりに理不尽な結末には、しばらく身体の力が抜けてしまうくらいショックを受けた。向けるところの見つからない怒りが込み上げて。そういうわけで非常に疲れる読書となります。覚悟の上でどうぞ