紙の本
空を飛べば厄介に当たる
2015/09/30 11:23
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
《渡り鳥》と呼称される武装郵便屋「蝶と鯱」を営むウィリアム・スターリングとジェシカ・シルバーベルは、霧妖ひしめく蒼界を翼舟で飛び回り《封書》を届けるのが仕事だ。彼らの夢は、蒼界の向こうに広がる前人未到の雲界の先にあるものをみること。それは普通の人間からは笑わればかにされるたぐいの夢だった。
見果てぬ夢を目指しつつ、零細事務所を運営しているウィルのもとに、《渡り鳥協会》から召喚状が届く。それは、彼らがバディを組んで飛んでおらず、協会のルールに反しているためだった。もし審問会で不適格と判断されれば、彼らは翼舟を手放さねばならない。
進退きわまったウィルは、《夜姫》と呼ばれる霧鍵士ヒルデガルド・フォン・ヴィンケンにバディ就任を依頼するものの、あとからそれを知ったジェシカに盛大にへそを曲げられてしまう。そんな中、フェイ・リェイチュアンという依頼人が現れ、レンカ・クヨーという人物に《封書》を届けてほしいという。だがその宛先にいたのは、トランクの中に押し込められていた裸の少女レンだった。
知り合いのケイト・ブリュンヒルデが査察官となり、ウィルたちの配達に密着することになる中、ウィルとジェシカは《エインヘリヤル》に引き続き、「七つの鍵」のひとつである《レーヴァンティン》と、オリジナル《フェンリル》の事件に巻き込まれることになるのだった。
出歩けば事件に遭遇する名探偵のごとく、再び「七つの鍵」関連の依頼が「蝶と鯱」に持ち込まれる。もちろんそれは偶然ではないことは、本作の終盤で明らかにされるわけだが、依頼を受けた時のウィルはそんなことを考える余裕もなかった。下手すれば空を飛ぶという手段を奪われかねない状況で、なりふり構わず人に助けを求める訳だが、なぜか肝心の仲間であるジェシカには助けを求めない。
微妙な空気の中向かった仕事先では女の子を拾うことになり、記憶がないという彼女の身元調べまですることになるわけだ。余計なものをしょい込んだと思われがちなのだが、持ち込まれる厄介事は一つにつながっていて、かつ、それが自体を上手い方に向かわせたのは結果論と言うべきか否か。
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1巻の時点で絶対シリーズ化してほしいと思いましたが、これはいける。
より高く、より速く、より遠くへ。飛べない人間が空に夢見るロマンがここにあります。空を舞台にしてはいるけど、「空戦」ものではありません。キャッチコピーにあるとおりの「爽快冒険ファンタジー」です。
二人が二人で飛ぶ理由……表向きは「互いの欠点を補うため」ということになってるけど、そんなことどうでもよいのです。どちらも独りでは飛べない未熟者でも、共に同じ夢の先をを見られる相手だから、共に飛ぶのだ。
既存の作品だと「とある飛空士」とか「アリソン」とか、それらと違って「戦争」が背景にない。地上で抑圧された反動として空への夢を抱いているわけではなく、(少なくとも主人公は)他にも選択肢があった中で、空を飛ぶことを選んだ。良い意味で「悲壮感」がなくて、飛ぶことに対する純粋な夢が溢れている。
で、大好きな作品になりそうだからこそ、苦言というか改善点を。
終盤の魔法バトル展開はもう少し何とかならんのか……。既存の神話そのままのネーミングも稚拙だし、アクション描写もわかりにくい。詠唱シーンなんかは完全に自己満足でしょう。空戦をあれだけ書けるなら、戦闘アクションは今後改善するかも?設定に関しても、もう出しちゃった以上引込められないから、頑張って磨いてほしいところ。
順番としては、地上でのバトル展開を先に片づけて、クライマックスは空を舞台にした方がいいと思うね。今回は大空の追撃戦でハイライトを演じておきながら、辿り着いた目的地で魔法合戦が始まったのが良くなかった。
あとはせっかく「郵便屋」という設定なんだから、もう少し「想いを届けること」の方に重きを置いても良いんじゃないかな。
まあそんな感じで、とにかく作品の雰囲気は一級品。頑張れ作者。
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1巻と比べるとー…感はどうしても出る。
それでも物語の作りは自体はさすがですねえ。
フェンリルとの空戦も楽しめたし。
ただやっぱりワクワク感は半減してた。
なんでかって?
今回の敵が反則の様な。例外の様な相手だったから。
空旅としての楽しみが無かったから。
その辺が問題なのでしょう。
あとちょっと、バトル描写がわかりづらいかな。
空戦も、あれ?って思う事が多かったかな。
次巻はもっとワクワクしたいです。
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空を翔るファンタジー第2弾! ウィルとジェシカの事務所の命運に、謎の少女、黒狼、敵……。最後までドキドキで面白かった。再登場はないだろうけどザックス好き。
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第2巻を読破。
待っていましたー(*´▽`)
空に浮かぶ島から島へと手紙を運ぶ仕事をしているウィルとジェシカ。
本当ならば二機一組で飛ばないといけない〈渡り鳥〉。
けれどウィルとジェシカは二人が一機に乗っていて。
それが規則違反だと〈渡り鳥〉協会から指摘されてしまうのです。
査察官の前で二機で飛べることを証明しなければならなくなり、ウィルは一人で抱え込み、一人でどうにかしようと思ってしまうのでした。
のち、これが仇となり、ジェシカとケンカすることになるわけですが……。
ケンカしていてもちゃんと“やるべきこと”がわかっている二人は、〈封書〉を送り届けに飛ぶわけです。
どうも彼らはトラブルに巻き込まれやすい体質のようです。
〈渡り鳥〉仲間で査察役として同行したケイトもあきれるほどで。
って、そうか。
渡りって命がけで大変ですが、ウィルたちみたいな目に遭っているのは珍しいのか。
どんだけだよ、ウィルたち(;^-^)
で、今回の仕事は〈七つの鍵〉にまつわる事件で。
そこで出会ったのは記憶喪失の少女で。
人間嫌いのジェシカが珍しく少女――レンを助けようとしていました。
ラスト方面でその行動の意味を知るのだけれど、なるほどなって。
ウィルとジェシカの戦闘シーンはすごかったですね。
特にウィル。
普段はジェシカやレンにまでおちょくられて遊ばれているというのにwww
やるときはやるんです、ウィルは。
笑
今回の事件で「空に浮かぶ島を落とす」と企む組織が登場しました。
今後、どのように絡んでくるのかwktkです(*゚∀゚)
あとウィルのお師匠さんっぽい人も登場。
これは続刊も楽しみですね!
それにしても――
私としては、わんわんおとしてフェイさんには残ってほしかった……。
それくらい魅力的な人物でした。
レンとフェイさんがお話している姿をもっと見ていたかったな、と。
°・(ノД`)・°・
でもおもしろかったです。
ラストページのイラストもすてきでした。
あと今気づきました。
帯に「あいしてる」「ありがとう」の文字が……。
これ見てせつなさが増しました。
ほんと、余韻のある作品でした。
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霧の上を島が浮遊する世界で、霧妖という魔物が棲む空の海を飛び、想いを封じ込めた「封書」を運ぶ武装郵便屋の少年と相方ジェシカの物語。
今回は渡り鳥協会から突き付けられたある通知を受け、郵便屋を続けられない危機に。
そんな中、また、厄介な依頼を受けることに…。
空を描ける爽快感や空でのバトルはスゴク楽しいのだけど、特別な世界観を表す単語が多く、ちょっとわかりにくい結末やラストのジェシカの戦闘シーンがあんまり表現できてなかったりと残念な点も見えてきたかな。
ワクワク感やキャラ立や世界観はホントに好みなんだけどなぁ。